第34話 突入
――百二十日目
早朝、俺たちはルーキータウンの冒険者ギルドへと向かっていた。
「アリサ、すまないな。振り回すようなことをしてしまって」
ギルドの扉を押し開けながら、俺は隣を歩くアリサにそう声をかけた。
彼女のジョブを【剣士】に戻すためだ。
いよいよ十層のボス戦が迫っている。目先のレベル上げも重要だが、命を落としたら元も子もない。戦いの場では、慣れたジョブの方が確実に動ける。
アリサは光魔法の適性がFになったことで【魔法剣士】にも就けるようになっていた。ステータス上昇率が高いのは魅力的だったが、ボス戦という重要な局面では安定を取るべきだと判断した。
また、【求道者の書】を使い、光魔法の適性をEに引き上げて【光魔導士】にする案もあった。専用魔法を覚えさせるという選択肢も検討したが、それはボス戦後に回すことで意見がまとまった。
慎重に準備を進める俺に、アリサは柔らかく微笑む。
「私も慣れ親しんだ【剣士】の方が動きやすいから、気にしないで」
【名 前】アリサ
【ジョブ】☆剣士(0/0)
【状 態】良好
【L V】30(7up)
【H P】485/485
【M P】288/288
【筋 力】188 (14up)(+40)
【敏 捷】219 (21up)
【魔 力】143 (49up)
【器 用】219 (21up)
【防 御】164 (14up)(+25)
【魔 防】178 (28up)(+15)
【適 性】剣術D(5/10)・光魔法F
【重 量】90/188
【装 備】鋼の剣
【装 備】剣士の法衣
【アクティブスキル】
・《二連切り》・《スラッシュ》
・《ライト》
【パッシブスキル】
・《索敵》
このレベル7upは紛らわしいかもしれないが、【光魔法使い】で上がったステータス。だから上昇値は低い。
ちなみに、もし、アリサが【求道者の書】を使い、【光魔導士】になっていると、以下の魔法を覚えることができる。これは【光魔導士】のユッカから教えてもらったことだから間違いない。
《フラッシュ》
【MP】10
【CT】50
【威力】-
【詳細】対象の目を眩ませる
《シャイン》
【MP】20
【CT】90
【威力】50
【詳細】対象に光属性でのダメージ。対象の目を眩ませる
《シャイン》はその威力だけで言えば、《ライトニング》と同等。さらにデバフ付きと、かなりのポテンシャルを秘めている。
この魔法が強力なせいで、アリサと今後どうするのか議論を重ねているのが現状だ。
ちなみに俺もレベルアップはしている。
【名 前】ユウト
【ジョブ】雷鳴士(14/20)
【状 態】良好
【L V】25(3up)
【H P】363/363
【M P】665/665
【筋 力】153 (18up)(+40)
【敏 捷】179 (21up)
【魔 力】380 (48up)(+10)
【器 用】179 (21up)
【防 御】153 (18up)(+10)
【魔 防】213 (24up)(+20)
【適 性】火魔法E(2/12)・風魔法E(2/12)・水魔法E(2/12)・雷魔法D(4/10)
【重 量】130/153
【装 備】鋼の剣
【装 備】魔術師のローブ
【アクティブスキル】
・《ファイア》・《フレイムスロウワー》
・《ウィンド》・《シルフィード》
・《ウォーター》・《ウォーターミスト》
・《ライトニング》・《ライトニングウォール》
【パッシブスキル】
・《鑑定》
・《雷の加護》(14/20)
完全に魔力特化型。間違いなく現状でプレイヤー№1の魔力を誇っていると自負をしている。
そして火魔法、風魔法、水魔法の適正がEになったことで魔法を覚えていた。
《フレイムスロウワー》
【MP】20
【CT】120
【威力】50
【詳細】近距離対象に火属性でのダメージ
《シルフィード》
【MP】10
【CT】120
【威力】-
【詳細】対象の敏捷を30秒間10%UP
《ウォーターミスト》
【MP】10
【CT】120
【威力】-
【詳細】対象の魔防を30秒間10%UP
《フレイムスロウワー》の射程は槍より少し長い程度。同じ消費魔力で威力の《シャイン》がいかに優れているのかが分かる。
ボスに魔法が効けば、大いに活躍できるだろう。
セントラルシティの転移門に到着すると、すでに【白銀騎士団】のメンバーが全員揃って待っていた。
その場の空気がピンと引き締まる中、シルバが俺たちの紹介を始める。
「知っているとは思うが、【魔法剣士】のユウトと、【剣士】のアリサだ。二人と連携を取るのは少し難しいと思うので、基本的に二人にはツーマンセルで動いてもらう」
どうやら俺のことを【魔法剣士】だと勘違いしているらしい。
冷静に考えれば無理もない話だ。アリサと合流してからというもの、俺はほとんど剣を使って戦っていた。
シルバが指揮を取る以上、今ここで訂正するのは無用な混乱を招く。俺たちは彼の指示に従い、作戦の一端を担うだけだ。
「アヴェンとノエル。お前たちもツーマンセルで動いてくれ」
シルバの指示に応じて、新たに【白銀騎士団】に参加したアヴェンとノエルの【剣士】と【火魔導士】も別行動となるようだ。
「ユウト班とアヴェン班は危なくなったら、すぐに俺たちの後方に下がること。こっちには【騎士】三枚と【土魔導士】、【水魔導士】、さらには【神聖魔導士】がいる。遠慮はするな」
全体としては賢明な判断だろう。連携が不十分な状態では、不慮の事故を招く危険性がある。それを未然に防ぐためにも、この編成が最適解だと思われた。
【白銀騎士団】全員を軽く紹介されると、俺たちは十層ボス部屋前へと転移した。
転移先にはすでに多くの冒険者たちが集まっており、その目は期待と緊張で輝いていた。彼らは固唾を飲みながら、俺たちの動向を見守っている。
「――よし、行くぞ!」
シルバの力強い掛け声が響き渡る。そして、彼は迷いなく巨大な扉に手を掛けた。
扉がゆっくりと開かれる。
その先に待ち受けていたのは――まるでデュラハンを模したかのような巨大な石像だった。
だが、この石像にはさらに異様な特徴があった。切り離されているのは頭部だけではない。剣を握る右手、魔術書を抱える左手も、それぞれ胴体から浮かび上がるように離れていたのだ。




