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No098 アイリの野望、覇王編 「日常と変化」 武田家との戦い再び。 10歳5月~

アイリたち一行は何も大きな出来事が無く、アイチ領へ戻ってきた。

平和が何よりなのだが、次から次へと発生する出来事になれてしまったのだろう。

幾分物足りない気がしていた。


妹のアイルは、子犬と仔馬を可愛がった。

子犬も仔馬もお互いを怖がることもなく、良好な関係だと言える。

子犬はアイリたちの部屋に住んでいる。

アイリの部屋は今は13人と一匹になった。


アイリのベットには、妹と義妹、それに子犬が増えた。

妹同様に子犬も仲間たちのアイドルだ。

子犬もすぐに仲間たちに慣れて、順番に抱かせてもらったりして皆喜んでいる。


子犬はハチと呼ばれるとそこへトコトコ向かっていく。

アイリが興味本位でお座りとかお手とかを教えたらすぐにできるようになった。

小さな子犬なのに頭がいいらしい。

人の言葉が理解できるのかと思ってしまうほどだった。


アイルはひざの上に子犬を乗せて勉強を頑張った。

アイルの勉強の時間ハチはひざの上でおとなしくしている。

妹の勉強が終わると、走り回る。

走り回ると言ってもトコトコうごく程度だが・・。


最近、キチョウに2段階目のスキルへの変化が表れ始める。

無双だったのが、更に無双になっていく。

抜刀隊の上級者でも太刀打ちが出来なくなってきた。


マナリの変則的な戦い方も磨きがかかり、これもかなりの腕前になっている。

仲間の中ではキチョウは別枠として、次に強いのはマナリだったりする。


シホウもナオトラも正当な戦い方をする相手なら、かなり強いほうだ。

しかし、マナリの変則的な戦い方の前では、正しい技術が通用しない。


アイリから見ればシホウとナオトラは、どちらかと言えば指揮官向けのスキルだ。

そのうえで個人の能力が上がる。

それに対してマナリは謎が多すぎるスキルだが、個人技に向いているのだと思っている。

ひょっとしたら戦闘に特化したものになるのかもしれない。


ただナオトラは防御が上手い、マナリから攻撃をされてもギリギリかわす。

スキルの影響で感がいいのは知っているが、確かに身を守るのに向いている。

そんなナオトラを防戦に追い込めるマナリがすごいともいえる。


アイリは、生まれながらに技能が高く、戦闘技能も高かった。

訓練も頑張ったが、シホウにもかなわない。

シホウは努力で技能を上げ続けている、スキルの助けだけではない。

無双のキチョウと一緒に訓練をしていればそれも納得なのだが・・。


そんな4人に、頑張って追いつこうとしているのがリンコだ。

リンコはまだスキルに目覚めているわけでもなく技能も発生していない。

今まで訓練などしていないのだから仕方がない。

しかし、筋がいいからアイリはすぐに技能が発生すると見ている。


目覚めていないスキルでも影響がある。

それが底上げをしている可能性があるのだろうと思っている。

スキル名だけはわかっているが「知勇」と言う名から

これも指揮官向けなのだろうと思う。


確かに頭がよく回り、軍術の勉強も進んでいる。


アイリは指揮官訓練に、ボードゲームを運用している。

将棋やチェスの類だといえる。

これはアイリが考えた戦術ゲームである。


もちろん駒はアイリの軍に沿った能力を保持する。

それぞれの兵の種類やその能力をうまく運用させるために勉強の一環としておこなう。

文字を頭に詰め込んだだけで、即戦場で役に立つわけがない。


これがリンコは、すごく得意だ。

ダントツに強いのは、ギンだったりする。

考案者のアイリもギンが相手だと苦戦しながらやっと勝てる程度だ。

天才にはかなわない、諸葛孔明張りの軍師になれる逸材だと思う。


他の連中でギンに勝てる者はいない。

あえて対抗馬と言えば、意外にオイチだったりする。

オイチは内務官になる為、軍務のことを学ぶ必要があり、その流れで軍術の勉強もしている。

戦闘には向かないと言いながら、その戦術技能には目を見張る。


回りがそんなだから、目標「お嫁さん」のネイも勉強以外に訓練に参加し始めた。

今の目標は「戦えるお嫁さん」らしい。

お嫁さんを外さないところがとてもかわいい。


サヤカは銃の手入れに余念がなく、まさしくスナイパーだ。

時々、サイエンに呼ばれて試射を手伝っている。

サヤカの意見はとても重要視されていて、鍛冶工舎でも量産中の火縄銃を検品したりする。

サヤカが忙しくなって、ツヤは妹の乳母のサオリから側仕えの指導を受けている。


ツヤもサヤカのように戦う側仕えを目標にしだした。

側仕えとしてもそつなくこなし、そして戦えるというのが憧れになったらしい。

だからサヤカの時間がある時は、側仕えの指導ではなく火縄銃の指導だったりする。


妹は乗馬の訓練を頑張っている。

乳母のサユリも乗馬ができるようになりたいという希望から仔馬を与えた。

二人ともギンから馬の世話や扱いなどの指導を受けている。


二人の乗馬訓練は、アイリが面倒を見ている。

仲間もメイド隊の初期メンバーもすべてアイリの乗馬指導によるものだ。



こんな平和な時間の中でも、アイリの元には色んな戦場の情報が入る。

北陸方面軍のケンシンが越後で活躍中だ。


信濃を追われた、元三浦家こと蘆名はその拠点を越後に置いた。

越後はまだ豪族が残る地で、切り取りやすかった。

武田家が信濃への進軍を強化すると、逃げるように越後を取り始めたのだ。


蘆名と言うのは、蘆名家の同名者だからだ。

しかし何故かこの国では、三浦家名を名乗っている。


武田家が信濃をほぼ手中にするころ、蘆名は越後の半分まで占拠していた。

そのタイミングでケンシンが越後攻略に乗り出したから蘆名は連敗中だ。


戦国乱世と言うのは弱肉強食で、強い者は弱いものを攻め、さらに強い者に攻められる。

最早豪族化しているから、家名を名乗れない蘆名はどんどん落ちぶれていき

北へ北へと逃れて行っている様だ。


半ば放置された信濃を武田家は完全支配した。

何の因果か、ケンシンにより武田家の信濃支配が早まったともいえる。


ところが、武田家は信濃を完全支配すると次は越後を目指しだした。

ケンシンは、武田家と越後で対戦することになる。

これで蘆名はギリギリ救われたことになった。


現在は、ケンシンが越後6郡を支配、逃げながらも越後の豪族を退治した蘆名が3郡

残りは元領主だった豪族が最北の1郡

この豪族になった元領主と言うのが、朝倉家名を名乗っていたというのも面白い。


ケンシンは最初、武田の進軍対応に遅れたが、初戦は勝利。

武田家は信濃に戻った。

きっと、武田家は蘆名を追って越後まで取ろうと思っていたんだろう。

思わぬ強敵が現れて、作戦変更せざる負えなくなったのだと思う。


先に聞いていた情報を元に、アイリはそう理解した。


ケンシンがこのまま武田本軍を引きつけていれば、

アイリの武田包囲網が、指示通り動くだろう。

アイリのところへ情報が入るようにすべての軍に情報が入る。


アイリはたぶん皆が考え、今がタイミングだと見て動き出すとは思うが

念のため武田包囲軍全軍に伝令を出した。


アイリの伝令では時間差が出るから、各軍がそれぞれ指示通り動いていてくれるのを待つ。


北陸から5軍、関東から6軍、ギフから4軍

計15軍が各方面から武田軍を攻めるのだ。

兵数から見ても圧倒的な差になる。

アイリから見ても、もはや負けはないと思っている。


武田軍に残された方法は、目先で対陣しているケンシンに勝つ事。

状況として遅れれば遅れるほど、敵が四方からわき出してくるというものだ。

対してケンシンは、武田軍を引き付け防衛していればいい。

味方が後ろから、武田軍を攻める。


「これで、ひとつ懸念が減ったわね・・ふぅ」

アイリは溜息をつく。

戦争が続いた甲斐信濃の地の領民はどうなっているのだろうか。

心配はそれである。


一方、気になっていた豊臣軍は西侵により1領を占領し、なお西進を続けている。

現在、4領を完全支配した状況。

だが情報の速度が遅い、既に5領まで占拠しているかもしれない。


最西の領主は毛利家だと聞く、歴史と同じ位置にいるのだ。

もし同名者ならかなり強いと言える。

戦い続けて疲弊している豊臣軍は、勢いが削がれるだろう。


「武田家の脅威が消えたら、豊臣家対策だわ・・」

アイリの次のターゲットは、最大の敵になるであろうヒデヨシ。


その為には武装の統一と編成のし直しで更なる大軍を編成すること。

そして四国を手に入れ、瀬戸内海を水軍が制覇すること。

その為には、時間がかかる。


アイリの支配領内では、今だ募兵が続いている。水軍募兵も進んでいる。

もちろんこの国の最高権力者と言う魅力で集まるのは兵だけではない。

仕官希望者も続々集まる。


防衛兵を汎用化するだけでも兵数は増えるが、相手が相手だけに手は抜けない。

アイリが仕官採用した者や各地で登用した者の教育も急務だ。


兵がいてもそれを指揮できるものがいなければ軍として成り立たない。


そして、新たなる兵器・武器の数々。


アイリは、ライフリングを大砲に利用し、

いわゆる砲弾型の玉の利用と信管を使った爆弾を指示している。

完成すれば、大砲による遠距離爆弾攻撃になる。


海外からも火薬を取り寄せ、その材料も入手し火薬も改良を加えている。

火箭の爆発力も増加させる。


アイリは、移動弩や投石機に変えて大砲を使用するつもりだ。

火箭はその性質からさらに改良することで近代兵器への道はあると思っている。

しかし、弩や投石機にはそれはない。

歴史を見ても、銃と大砲に代わる。



新たな軍船案には、上陸用舟艇の工夫を入れる。

前方が開くあれだ。

輸送船に上陸用舟艇を乗せて近海まで行き、そこから海兵隊を乗せて上陸する。


奇襲上陸では船の着岸が大変だった。

奇襲なのに、まさか敵の港に入るわけにもいかない。

投石機などの兵器を必要としない海兵隊であれば、上陸用舟艇は奇襲上陸に最適だ。


あとは、新兵器と言うか新武器の手投げ弾。手榴弾の事である。

爆弾の技術で作った小型爆弾を人が投げる。

これは、火縄を使ったものでもいいからすぐに運用可能だ。

スリングやスタッフスリングを運用すれば人の力でも敵の弓よりは飛ぶ。


スリングとは、投石器で紐と布を使って石を包みくるくる回して遠心力で

遠くへ飛ばすというものだ。

スタッフリングは棒の先に投石を乗せて後ろから前に振り出して飛ばすもの。

投げ釣りのような格好だと思えばいい。


手榴弾の課題は小型で威力があるもの。

これは火薬の改良で検討が進むから、派生的に達成するだろう。


これを、歩兵隊や海兵隊が持てば、個人の戦闘力は高まる。


歩兵隊や海兵隊の装備の完成形は

銃剣が取り付けられる火縄銃、軍刀、手榴弾になる。


海兵隊は海からの上陸作戦で、歩兵隊は陸上作戦の違いがあるが本質は同じだ。

この兵隊が大量に存在する軍隊に代わっていくことになる。


アイリの目標は、夏が終わるまでに目途をつけること。

昨年から大量に作り続ける武器類。

それを元に軍編成を行い、新しい軍として運用する。


いつしかアイリはあるかどうかもわからない世界崩壊よりも目先の領民を助け

この国の平和を望み、戦いをなくそうと考えていた。

その戦いに勝ち抜くための努力は惜しまない。











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