No089 アイリの野望、激動編 「企み」 様々な対応と変化。 9歳9月~
アイリは今、京都侵攻を行っている・・事になっている。
大阪の地で、内政をしながら鑑定をしまくり使える者は登用を行う。
一方でメイド隊として領境への監視を行う。
怪しい侵入者が捕らえられると、それも鑑定した。
中には抵抗して戦う者もいたらしいが全て返り討ちにあっている。
こういった怪しい存在の中には、
人物事典の経歴で、トウキチロウと言う人物との接触記録を持つ者がいたりする。
アイリの予想通り、何やらまた暗躍している様だ。
単なる黄色い存在や赤い存在もいるが黄色いのは悪さしに来る人物で、
多くの赤色は単に西から侵入した情報取得の人物の様だ。
この赤色の中に、トウキチロウとの接触をしている人物が含まれる。
情報取得なのか、それとも刺客なのかは捕縛出来たら聞き出せるが
戦って死んでしまうと聞くことが出来ない。
トウキチロウが情報取得をしているのは知っていたが、
これほど次々送ってくるのは、めずらしい。
向こうもこちらを警戒しているのだろうか。
本人が来たらそれは聞けるのだが、トウキチロウらしい人物はいない。
変な能力持ちだというのは鑑定で分かるはずだ。
アイリは、トウキチロウと言う名は
単にそう名乗っているだけではないかと思い始めている。
暗躍する者が本当の名を出すのは変だ。
きっと偽名だろう。
そうなるとまた、ややこしいことになる。
いちいち経歴を見なければならないからだ。
だから今は経歴を必ずチェックしている。
トウキチロウであれば、細川家で動いていた記録があるはず。
それを持つ人物を捕まえれば、トウキチロウの件はまず終わりになると思える。
たとえそれが本人でなくても糸口は見つかる。
本人が乗り込んでまで、力を使おうとするかどうかはわからない。
いや、今までの状況を顧みると本人が動く可能性は高い。
自分が潜り込むために情報取得に躍起になっているのかもしれない。
一度の人数は多くなくても、度々こういう連中が捕まるから、本当にしつこい。
そんな人物に危険な能力を授けた神様が悪いと思う。
神様がいればの話だけど・・。
そして何故私がターゲットになるのか、アイリ探偵は考え・・・・無かった。
それより楽しいことを考えるので精一杯だ。
自分のやりたいことに前向きなアイリだった。
アイリは城の計画で、重要な事を忘れていた。
基本的に城で生活をするのは不便だ。
歴史でも城主は城の前にある館に住んでいた。
戦時だけ城に入る。
だから、平地に自分の領主館を建てておかなければならない。
それは、風呂に入るのが大変になるからだ。
アイリは元日本人だから風呂に入れないとか、その為にすごく苦労するのは嫌だ。
風呂の為にも、領主館をもう一つ作らなければならない。
一気に支配地が増えたことで、官吏院の長官が不足してしまった。
アイリはアイチ領からスキル持ちのベテランをこちらに移動させた。
オカザキは、カンドウ爺に任せることにした。
オオサカは自分もいるし、オイチが既に内務官として働いている。
アイリにとっての右腕だ。
ちなみに左腕は、天才のギンだったりする。
ギンの能力は全く持って羨ましい限りだ。
所詮前世の知識でチート化している自分は、真の天才には勝てない。
オイチにしても天才なのだが、ギンのはやはり違いがある。
と言うことでアイリは、皆が出来ない新しいことを考える係りになっている。
天才と言えば、努力の天才のキチョウもいたが、伸びしろではマナリがすごい。
マナリのスキルの発展形は今まだ謎なのだが、どうにもすごい感じがする。
スキル自体が発展形で、大きく変化する感じが否めない。
鑑定でも、ひとりだけ謎スキルになっている。
スキルと言えば、自分のスキル成長時期でもあったことをアイリは思い出した。
何が伸びてほしいかな、それとも何か新しいもの出てこないかな。
今アイリが欲しいものは、実は命名が簡単に出来る物だったりする。
いつもそれで悩むからだ。
しかしランダムでそんなのを決められたらたまらない。
「だめだこりゃ。」どこかで聞いたようなセリフが出る。
そういえば、世界事典にしても人物事典にしてもどんどん能力が上がって
便利になる反面、面倒になる。
地図とかもそうだが、人物事典と世界事典と地図の全部を頭に浮かべるとやたら大変になる。
そこへ前世の知識が入るから、アイリの頭の中はすごいことになる。
「おお、そうだいいこと思いついた。ナビゲーターカモン!」
「それがだめなら自動検索、タブレットみたいに扱える奴でもいい。」
本は好きだが、ページが増えたり記載事項が増えてきたから大変だ。
読むというより必要なものを、抽出してくれるのはありがたい。
鑑定と連動してくれるとますますありがたい。
それを答えてくれるともっとありがたい。
アイリはそんなことを考えた。
それはちょっと高望みしすぎな気がするのだが・・・。
「あれ、なにもこないぞ。」
やはり、高望みだったようだ。
とりあえず、寝るまでずっと念じてみた。
翌朝目覚めて気が付くと、アイリのスキルは変化していた。
と言うより新しいスキルが発生していた。
一応頭の中の本棚には、世界事典と人物事典と世界地図がある。
これらは、世界事典スキルの機能拡張であって新しいスキルではない。
今までと同じように鑑定をすれば記載が増えるのも変わらない。
世界事典と鑑定しかなかったスキルに、「検索スキル」が増えた。
「そう来たか・・。」アイリは思った。
入力機能が鑑定で、世界事典が記憶機能、検索は出力機能とでも言おうか。
アイリはこれを「検索君」となずけた。
検索君はアイリが必要だと思った情報を、引き出してくれる便利スキルだった。
これにより人物事典を見て、記載内容の意味を調べるのに世界事典を見る必要はなくなった。
地図も知りたい部分だけ勝手に開いてくれる。
「あきらめずに、やってみるもんだわ。」
鑑定時にもそれは連動していて、トウキチロウに関係する者と思うだけで。
目の前の人物の判定が可能になった。
これを応用すると、スキルがある人と思うだけでスキル所持者がわかる。
いちいち人物事典を調べる必要はない。
知らないスキルだと、これは何だと思えばその内容が頭に浮かぶ。
アイリに取って検索君は、超ラッキーな存在だった。
「検索君めちゃ使える子じゃん。ふふん」
実はその後に知ったのだが、検索君はアイリの持つ知識の検索も可能だった。
言わばアイリの頭の本棚に、世界事典と人物事典と世界地図の他に前世知識事典があって
それは、検索君で連動できるという物。
例えば、世界地図でここは前世のどこだと思えば知識の中の現代地図が出る。
なんていう地名だっけと思えば地名が出る。
命名が苦手なアイリにとってすごく便利だ。
牛丼の作り方と思えば、前世知識からレシピが表示される。
うーん何だっけとか考える必要はない。
前世知識事典にその記憶があれば、検索君が仕事をする。
これは同名者などの判定にも活かせる。
「この名前は、誰になるのかな」なんて考えれば候補が出てくる。
もちろん記憶が欠落してたり、前世の記憶にないものは無理だ。
これは事典にそいう言う記載がないのと同じである。
検索君のおかげで、かなり効率よく鑑定が使えるようになった。
人材登用や仕官面談の時間が短縮でき、内政に力が入れられる。
もちろんアイリは、軍隊構想なども行っている。
アイリの兵器は、初見殺しだ。
信長の鉄砲隊もそうだった。
それが後期になると、盾を使って銃弾を防ぐ戦いが出てきた。
それは、竹を重ねて作るだけで出来上がるものだから
陣の前に立てたり、持ち歩くなどが出来た。
こういうのが無駄になったのは、威力が上がる時代になってからだ。
だからアイリは、威力の向上に出来る限り務める。
爆弾や大砲などがいい例で、防ごうにも対策が大変になる。
銃もそう言った意味で、弩や弓に変わる時代が来ると思っている。
火箭においてもかなり脅威的な武器だが、課題はやはり射程距離と威力になる。
防御が無駄になった戦いは、戦いが無かった江戸時代末期から始まる。
明治維新だ。その時代から、突撃が特攻に変わった。
銃弾をもろともせず、敵陣に乗り込み近接戦闘を行うという物。
それは近代戦まで続いた。
アイリの軍も防御を捨てて、機動力と速度を重視している。
鎧などは身に付けず、軍服で戦う。
結果、歩兵だけでも武器の性能と相まって戦闘力が高い。
乱戦になれば、よりその差が広がる。
アイリの検討事項は、海兵隊の発案にあるように、
遠距離戦と近接戦の両方が行える部隊にある。
初見殺しの様な奇抜な兵器に頼らず、自力で強い軍隊へのバージョンアップ。
歴史での信長軍は、弱兵扱いだった。
それを信長は兵器運用の工夫で、時代を切り開いていった。
アイリの戦い方は、兵器の性能が大きく勝るとはいえ同じだと言える。
ただ盛んに訓練を行い、自力をあげるようにしている。
まだこの国の領主は、アイリの軍には追い付いていない。
前世の知識と言うチートなのだから追いつけるわけがない。
アイリは既に、世界視点で考えている。
ポルトガル人は、わざわざこの遠い地に火縄銃を売りに来た。
これは火縄銃が比較的、手に入りやすいことを意味する。
要するに旧式の武器で、捨て値で買い集めて高く売れるところで高く売るという物。
これは近代国家でもよくやる手段だ。武器商人の常套手段でもある。
廃棄するぐらいなら、欲しい奴に売れ。
近代では余計なことに、欲しい奴を作れまでやるから始末に負えないのだが・・・。
となると最新の武器は?その武器を使った戦い方は?と言うことになる。
アイリの戦いは、この国の領民を守る事がその中心にある。
今は、内部の害を取り除くのに精いっぱいだが、外敵は脅威だ。
仮定として、歴史の強制力があったとしても異世界だ。
これだけ歴史や文化が異なるということは、ゆがみが世界規模で酷いかもしれない。
となると海外から人が来出した近い未来では、
その戦力で植民地化される危険性が全くないとは言えない。
とにかく海外の情報はさっぱりなのだ。
ポルトガル人も金儲けだからそういう情報は漏らさない。
彼らは火箭に驚いていた。
だからそういう兵器は珍しいか、該当する物はないと思える。
ただ火縄銃があれば、最低でも大砲はある。
歴史でも、大阪の陣では大砲は普通に運用されている。
それに悩まされた結果、外堀を埋めて講和するという愚策をおこなった。
アイリは、それを思い。
武器の向上と新しい戦い方の工夫を考えなければならないと思った。
兵種別の運用はそのままで、主力である歩兵性能の向上。
防衛兵がいまだに、槍が主武器なのも考え物だ。
遠距離射撃が主体の軍なら防衛などできない。
それは、アイリ自身が証明している。
アイリは、領内の平和維持の警察機構である衛兵の力を増す傍ら
それとは別に、攻めることが出来る兵を防衛に回すことが大切だと思った。
今までと異なり、防衛兵と言う名称は消える。
主武装として、平時には刀を所持して、戦時には、それに加え銃も手にする。
それがアイリの支配領における、基本兵装になる。
こうして、トウキチロウの嫌がらせにメンドクサイと思いながらも新しい構想を進める。
アイリ直下の軍需産業ともいえる鍛冶工舎に、大量の刀製作が指示された。
それは最新の技術を使った、和刀改=軍刀だとアイリは言った。
刀身は、なんちゃって日本刀である本和刀よりやや短いが、その分取り回しが良くなる。
海兵隊も同じ武装になる。
従来の和刀と比べてその性能は高い。
近接戦闘における主武器として問題ないと考えた。
銃が出来るまでは、弩がその代わりを果たす。
銃が主武器に変われば、銃剣を装備できる形式の銃を作り。
槍としての運用もできるようになる。
槍兵としての技能は無駄にはならない。
もちろん、刀の方が乱戦時には有利になるだろう。
それは使いどころ次第だと考えている。
そして、銃だが
これは、サイエンら研究者と技術者集団頼りだ。
アイリの望むものが作られれば、銃の大量生産に移行する。
それは、火縄銃の試作改良型のさらに改良型になる。
既にアイリは、紙筒式の私製薬莢という物を開発している。
弱点の連射はそれで補える。これの実使用はサヤカに渡して実証済みだ。
あとは、飛距離と威力だけになる。
それが量産型として、歩兵に配備される武器となる。
信長時代のように竹の盾で対策されるというのでは話にならない。
それを突き抜けるだけのものが欲しい。
これは、技術者集団の手により改良がどんどん進んでいるところだ。
前世歴史では、日本は自国生産の火縄銃が大量にあって
それがある意味、海外から日本を守っている。
偶然でもあるが、国の中で盛んに戦いに使われることによる大量生産の結果だ。
火器による防衛力の脅威度が他国からの支配を阻んだ。
この国では、銃がない。
歴史と異なれば、他国侵略を防ぐことが出来ないということになる。
量産型火縄銃の改良だけでなく、次世代の銃の開発も同時に進めている。
1650年代、マッチロック式と言われた火縄銃は、火打ち式のフリントロック式に変わる。
その間に存在するのが、ホイールロック式という銃だ。
引き金を引くと歯車状のやすりが回転してこすれ火花が出て火皿の火薬に着火する。
いわゆる100円ライターだ。
アイリは、撃鉄の参考にとそれをサイエンに伝えた。
フリントロック式はバネの力で火打石が打ち付けられ火花を出す方式になる。
既にバネを作らせたアイリは、それも参考にと教えた。
サイエン達研究者チームは、面白そうだと夢中になって取り組んでいる。
海外の歴史まで考えれば、ギリギリセーフくらいで禁忌には触れないとの予測だ。
ホイールロック式は、機構が複雑で、機能しない粗悪品も多かった為、
不発になることが多く、作成も高価になるため海外で普及しなかった。
フリントロック式が日本の歴史で登場しなかったのは
湿度や雨の問題と良品な火打石が入手出来なかったことにある。
当時の日本は、火縄銃が自国生産を基本にしていたことから、
フリントロック式も自国生産を目指したが、着火性が高い良いものが出来なかったのだ。
その先は海外からの銃の輸入になっていく。
アイリは対策として海外貿易で、着火に向いた資材購入を進めている。
海外で断念され、日本に来なかったホイールロック式もすでに歯車がある。
どちらの方式であっても試射をして判定する。
ライフリングが使われた銃は、ライフルと称され
その全盛期はアメリカの独立戦争にある。
全米ライフル協会が、政治に対する力を持っているのはその為である。
ライフリンクにより命中度が上がり、長距離射撃が可能になったことで戦争の主武器になる。
歴史からいえば後期になるため、禁忌に触れそうだが
技術的には割りに取り組みやすいため、単に発案の問題だけだと認識している。
井戸ポンプがいいなら、これもセーフだというアイリの目論見だ。
ライフルまで作ればアウトだろうが、火縄銃レベルに利用するならいいじゃない。
という気楽な考えだと言える。
既に取り組んでからしばらくたっているから、何か知らの成果が出るだろう。
アイリはこの後、海兵隊に並び、歩兵隊の形を大きく変えていくことになる。




