表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/173

No073 アイリの野望、領主編 「内政と事業と人材」 事業拡大と人材登用。 8歳8月~

アイリは、今まで人材登用のために視察を行っていた。

それは、ほぼ達成できている。

アイリが行ったことが無かった場所では鑑定が出来ていなかった。

ギフ領は、アイリが一度は行った場所になる。


これ以上、ギフでの滞在を伸ばすより戦いに向けた準備が大切になる。


まだ内政の課題も多い。

軍を維持して戦い続けるためには、それを支えるものが必要だ。

アイリにとって、戦争で領民を苦しめることなどはできない。

無理に軍費や兵糧などの徴収は行わない。


避難民や孤児たちの支援で資材や資金をかなり使った。

アイリが予定してなかった出費である。

しかしそれを悔いているわけではない。

「今まで以上に頑張ればいい。」それがアイリの思いだ。


アイリが支配する4領の中心。

オカザキに戻り、残り5か月を内需拡大に向け努力する。

まだまだ、仕官してくる人間もたくさんいる。

当然、面談も待っている。

採用した人物に対する教育も必要だ。


アイリはオカザキにいた短い期間、残務と祭りで手が回せなかった。

視察の旅に出る前に、戻ったらそれを行う予定だった。

しかし、ギフの件があったため対応が遅れている。

「全ての遅れを取り戻すわ。」アイリはオカザキに戻ることにした。


孤児院の子供たちに話す。

「私はこれからオカザキに戻る。」

「その後はたぶんここへは戻ってこれない。」

悲しそうな顔になる子が多い。

ここにいる間で新しく来た子供達とも仲良くなった。


「私と一緒にオカザキに行きたい子は連れていきます。」

それはアイリが前から思っていたことだ。

孤児たち同士でも友達が出来ている。

判断は子供たち自身に任せる。


アイリや同行者に特に馴染んでいた子供ら12人が希望した。

アイリが得に面倒を見ていた子供が多い。

同年代のアイリにとって、仲の良い友達でもある。

中身はおばさんなのだが・・・。


多くの子供たちは、残ることを選んだ。

もう孤児にとってここは、いるべき場所になっているのだろう。

アイリは、少し安心した。


帰りの準備を急ぎ、アイリ一行はオカザキへと向かう。

子供たちは皆馬車に乗る。

ギンは努力して乗馬が出来るようになった。

帰りは自分の馬に乗って帰りたいらしい。


残る子供に別れを告げ、乳母役の女性たちに後を託す。


帰りの道中、孤児たちははしゃいでいた。

まだ見ぬオカザキの地は、ハシマより大きく、そして発展している。

この子たちは、それも楽しみにしているのだろう。

オカザキの孤児院は完成して、受け入れが出来るという。


アイリは事前に、孤児の面倒を見てもらう女性を登用している。

祭りの最中の様々な人材登用はそれも兼ねていた。

乳母教育は、頼んでいたシキノがやってくれたはずだ。

彼女はサヤカの先生でもある。


「そうだ、紙芝居メンバーも孤児院で子供達の相手をしてもらおう。」

アイリは、ギフで子供達のために紙芝居をやっていた。

紙芝居は、楽しいだけでなくいろいろな教育にも生かせる。

情操教育や文字の教育、話をわかりやすく伝える事などなど。


題材にした物語が絵本にあると、それを一生懸命読む。

中には絵本を片手に紙芝居の真似をする子もいた。

子供たちは遊びの中で自然にいろんなことを学び、伝え合う。

文字がわからない子には、文字を知っている子が教える。

アイリたちが教育をしなくても、そういった流れが出来あがった。


アイリはいろんなことを考えながら

一方で同行者たちとも会話を交わして移動する。

サヤカ、キチョウ、オイチ、シホウ、マナリ、ギン、そしてジロウ

今は、アイリの身内と呼べる存在は7人になった。


ジロウは意固地になって男性を貫くことをやめたらしい。

アイリと一緒にいて、女性であってもやるべきことをやる姿を見ていた。

女性だからできることもあるということを知った。


オカザキに帰ったらアイリの部屋に来るかと聞いたら

それはもう、すごく喜んでいた。

アイリにとっても指揮官教育の弟子だ。

前向きに努力する姿を見て、将来性があると思っている。


アイリの周囲には努力者が多い。

アイリは気が付いていないが、それはアイリが努力しているからだ。

その姿を近くで見ていれば、自分も頑張ろうと思う。


「強い思いをもって、努力する。」

アイリは、前世の幼少の頃に父のその言葉を聞いて、それを実行してきた。

それがアイリの全ての根底にある。


マナリは、武術訓練をしているし、ギンは一生懸命勉強をしている。

シホウはキチョウに直接指導を受け、めきめき実力を上げている。

オイチは既に、内政技能が発生し内政官レベルになっている。

サヤカはメイド隊の軽弩の先生だ。唯一、射撃という技能を持っている。


アイリは思った。

これってすでに私にとっての十勇士なのではないか・・と。

無理に十勇士を作らなくても、自然に人が集いそれが出来上がっていく。

強い信頼関係を持った仲間達。


まだまだ皆、成長途中である。

それはアイリにも言える。

この世界では8歳、世に出始めてから5年しかたたない。

まだこの世界や国について、知らないことも多い。


何故か、歴史で名を知られた人物や家名が増えてきている。

その意味するところなど全く理解はできていない。

今はとにかく目の前の課題に努力する。


やがて、オカザキの地に到着する。


子供たちを孤児院に案内し、

その後、子供たちとオカザキの街へ繰り出した。

「ここが、私の領地の中心だよ。」

子供たちを前に、何やら自慢げに話す。


今オカザキでは見世物小屋と言うより、

劇場と呼べる施設の建設が始まろうとしている。

アイリが領民の娯楽を作るための演芸場だ。

花火祭りの会場の隣接地にそれを建設する。


子供達にも花火祭りや演芸場の話をした。

「来年またやるからその時は一緒に遊ぼうね。」

その後、牧場まで足を運び、アイリが動物園だと言うところで

子供たちは動物と戯れた。


オカザキの孤児院は、大きな風呂がある。

大きな風呂を作りたいため、アイリは湯を沸かすための設備を考えた。

風呂桶に2本の筒を上下に取りつけ、それを外にある釜につなぐ。

釜で火を焚けばお湯が沸くという物だ。これは風呂釜である。


風呂桶には、直接水が入れられるように

井戸に取りつけた手押しポンプも風呂桶の上に筒がつながる。

花火や兵器のために、いろいろ筒状の物を作った技術で

いわゆる水道管という物に利用できた。

これは、アイリがやってきたことの副産物でもある。


これが出来たことで、アイリの湯屋にも展開されようとしている。

もちろん領主館敷地内の建物すべて対象だ。

新しく建設される孤児院では、初めから組み込めるため実行しやすかった。


アイリは風呂にお湯を入れる苦労を知っていたが

なかなかそこへたどり着けなかった。

アイリの知識も技術が無ければ役に立たない。

技術が進めば、こうして新しいのものに応用できる。


漏れない長い筒一つとってもこの国では大変なのだ。

この筒を作る技術が進めば、鉄砲もできるだろう。

以前は、抱え筒レベルの大きさまでしか作れ無かった。

密封度も高くなく、長さも長くできず火薬の力も弱い。

だから断念していた。


アイリの人材登用による効果は大きかった。

彼らは従来の職人と違い、自ら工夫し研究することが大好きな集団だ。

元からいた職人たちと協力し、技術革新が始まっている。

それが騎乗用の軽弩であったり、新兵器の火箭を生み出した。


子供たちは遊びのように自らポンプで水を入れ

風呂釜の薪をくべて風呂を沸かした。

アイリも一緒に入ろうというのだ。

何も子供たちにやらせるつもりで作ったわけではない。


しかし、子供たちの思いは伝わった。

いくら大きな風呂とはいえ何回かに分かれて入る。

アイリもその中に混じった。

アイリの身内たちもそうだ。


風呂の中でアイリは、アニメソングを歌う。

子供たちは面白がって真似た。


こうして孤児とのコミュニュケーションをしながらもアイリは日々仕事に打ち込んだ。

色んな新しいアイデアを盛り込んだものを作らせて売る。

一方で生産高をあげるために生産院に課題を出していた品種改良の作物や

効率のいい育成方法を広げていく。

今すぐ回収できなくても来年再来年と効果は大きくなるだろう。


造船技術が進んだことで、かなり遠方まで海運が出来た。

領外貿易が近領だけでなく、離れた領へも広がっている。

アイリはそれに合わせて芋類の発見を頼んでいる。

ジャガイモやサツマイモは外来品だ。

どこかの地ではそれを手に入れて育てているかもしれない。


海路の安全は水軍が行っている。

キヨタカは、短期間で信用を勝ち取り副船長になったらしい。

本人のやる気と努力、そして素養があったのだろう。

何といっても海戦のスキル持ちだ。


あの後、遠海で海賊退治に参加したらしい。

海路が広がれば、海賊との遭遇率も上がる。


キヨタカは、九鬼嘉隆の同名者


九鬼嘉隆は、織田水軍の指揮官として有名だ。

歴史では、最初伊勢国の北畠氏に属していたが、後に織田信長に仕えた。

伊勢国とはアイリのミエ領になる。


信長軍として長島一向一揆攻めに九鬼水軍を率いて加わる。

その後、石山本願寺攻めで大砲をのせた鉄張りの船を製造して毛利軍を打ち破った。

これは、鉄甲船である。嘉隆による案で作られたものだ。


九鬼水軍は小田原城の北条氏攻めや朝鮮出兵でも活躍している。

朝鮮出兵の時は伊勢国で製造した日本丸と云う巨大船で水軍を率い。

指揮官として名を轟かした。


水軍指揮官は、船長としての技能と指揮官としての技能が必要になる。

キヨタカの頑張りが、うかがえるというものだ。

アイリは、クシモトの地で埋もれていたかもしれない子供を登用し

手厚く教育するように船長に託していた。


それだけ期待していたからだ。

アイリはその時、水軍の総指揮官になれる人材と称している。


そうか、努力していたのは身近にいる仲間だけではなかったんだ。

アイリはキヨタカのことを聞いて思った。

海の上では早々会えるわけでもない。

しかし、いつかきっとまた接点があるだろう。



アイリは、荒れ地でも林でも森でも平地に属するなら

開拓を行い土地を確保するように言う。

水田に向いているなら問題ないが、無理なら野菜類や麦などを作らせ

北の厳しい場所には、蕎麦を作らせる。


アイリの領に来た移民に支援を行い。農地を任す。

もちろんすでにいる農民が生産高をあげるために土地を広げたいならそれも支援した。


女性の雇用はアイリ直轄事業の拡大で補い。

大量生産で各地に販路を広げる。

塩、紙、木炭、布類、陶器類など移動に適したものは遠地へも売る。


近隣には、乾物類も販売できる。技術が上がって日持ちするようになってきた。

乾麺などはかなり好評だ。

戦争で食糧に困っていた人々からすれば主食にできるし助かるのだろう。


絹やお茶などの高級品もよく売れている。

支配が終わった領主など権力者が次に望むものとして贅沢品がある。

そういった意味で高級品類も欠かせない。



そしてアイリが検案していた直轄の食事処も次々開設されていく。

まるで全国展開のチェーン店のように。


まずは、レストランである。

アイリ考案のメニューとレシピ。考案と言うより前世知識なのだが・・。

レシピがあることで、誰でも作りやすく、どこでも同じ味が期待できる。

アイリの各事業との連携で様々なものが提供できる。


そこに務める女給、アイリにとってのウエイトレスには教育を行い。

制服を貸与している。もちろんウエイトレス仕様の洋服だ。

これは思わぬところからの反響も生んだ。


常連を産むという結果につながった。

いやメイドカフェではないのだが・・。この国では同じ効果があるのだろう。


もちろんメニュー表もあり、金額が表示されている。

選ぶ楽しみと安心感が出る工夫だ。



ファーストフード店も開設する。

カウンターで販売し、テーブルで食べることが出来る。

花火祭りの露店で試した結果、需要が期待できると考えたからだ。


ホットケーキやドーナッツ、オレンジジュースやイチゴミルク

砂糖を使うと高くなるので、果物類からジャム類を作った。

これを選ぶことが出来る。

自然の甘さでも充分一般領民に好まれることになった。


ここでは、時間限定メニューとして

パンとハムエッグなどのセットメニューも出している。


メイド隊やうちの幼少組、孤児たちも利用するらしい。

子供と女性がこう言うのに弱いのはどこの世界も同じようだ。



甘味処としてのお汁粉屋も作った。こちらは高級店だ。

そこでは一般人になじみの薄い緑茶も出す。

トッピングで餅や、梅干しなども提供する。


これは、甘味カフェと言う感じだろうか。

砂糖を使った甘い物とかお茶は高級品だ。

しかし、思ったより好評になった。


店内の装飾にこだわり純和風の落ち着いた雰囲気にしたのもよかったかもしれない。

ちょっとした中庭を作り、それを囲うように席がある。

商人などは、商談の場所として利用することが多い。


うちの両親や皇王様夫婦なども時々行くらしい。

ああ、いつも仲良くていいね。

実は無料利用だから儲けにはならないのだけど・・。

まぁ幸せそうならいいか。心の中で次の子が誕生するのを期待しておこう。


そして同じように高級店の食事処。

天ぷらやフライなどの揚げ物類。

ウナ重、すき焼き。これも甘味出しの為、出し汁には砂糖も使っている。

握りずしなども海に近い店にはある。


生魚のままでは怖いので、度数の高いアルコールにしばらく付けた後

しゃぶしゃぶのように湯通ししたものだ。

タレ付けとか炙りとかもある。


他にも、唯一お酒を出す店として串焼き店を作った。

色んなものを串にさして焼くだけだ。

酒もアイリの直轄事業で作っている。

酔っぱらいは困るが、これも領民の楽しみの一つになった。


出来るだけ、品料金は下げたのだが売り上げは高い。

追加のあらしになるようだ。



その他には、軽戦車によるレース。

競馬の様なものだ。単に騎兵の訓練を利用しただけのだが・・。

賭け事は嫌いだが、これも領民の人気になった。

娯楽を兼ねて、お金を賭ける程度なら許容範囲と言える。


もちろん大金を賭けることはできない。

見学料として固定金を払うだけだ。それで賭けが出来るという物。

レースごとにそれを繰り返す。

見られている騎兵もやる気満々で面白い。


たんに走り回るだけでなく色んな障害も作られている。

戦場を意識して作った訓練場だからだ。


メイド隊による騎馬レースを開催したら、それはもう人気がすごい。

メイド服の女性が馬を駆るというのは何かしらあるのだろう。


残念だが勝っても、お金には換金できない。身を崩す人が出るのは困る。

勝った人は景品場で、ほしいものを選べる。

だが勝つだけで満足する人が多い。


まるでイベント会場のようになった。

娯楽を兼ねてお金を儲けるなら神様も許してくれると信じる。


演芸場が完成すると、お金を払っても人が集まる。

元々人気があったからすぐ軌道に乗った。

後はいろんなものが、出来るようになると飽きられずに続けていけるはずだ。


ということで、よさこいダンスの女性ダンサーを育成中である。


太鼓に合わせて女性が揃って踊るというのも行けるのではないかと考えた。

もちろん手には、あの鳴子を持たせる。

アイリデザインの専用衣装もアイリ工房で制作している。

当然、先鋭的な和装だ。


彼女らには、胸に番号を付けて

客が応援している女性の番号に票を入れることが出来るようにする。

票は入場券だ。入場ごとに1票の権利がある。


これは、女性のやる気と客の熱狂を向上させる意味がある。

そのうちスター的な子が誕生するかもしれない。

軌道に乗るまでアイリも踊り子として参加するつもりだがそれは内緒だ。


領主幼女が踊るなど絶対に領民が集まるから、これは反則技に近い。



アイリは、内政の仕事をこなしながら新しい事業もこうやって展開していった。

すべてアイリの直轄事業内で連携支援可能だ。

だから短い期間でどんどん展開していく。


半分楽しんでいるような気もするが・・・まぁそれは言うまい。



肝心な、仕官面談はと言うと


仕官希望者はことのほか人数が多く。

アイリは面談の時間を作るのにすごく困った。

内政の仕事はオイチの助けを受けて何とかその時間をやりくりすることになる。


おかげで、使える人間を多数登用で来た。

その中でも特に

有名武将の同名者が2名、指揮官候補として採用できたのは大きい。


一人は

名を ヤハチロウ(弥八郎)

ヤハチロウと言う名は、本多正信が先に仕官している。

アイリは同名者が複数いても当たり前だという事実を知っていたから驚かない。

問題はその人が持つ経歴やスキルからそれが誰に該当するかだけなのだ。


以前のヤハチロウの時、アイリは人物事典の情報や会話から、

このヤハチロウは本多正信の類似者であると断定した。


今目の前にいるヤハチロウは、「孤高」と言うスキル所持者だ。

経歴から見ると剣士の様な武士と言う感じだ。

浪人生活が長いがその間、訓練を続けてきたというのがうかがえる。


面白いことに「采配」と言う技能を持っている。

あまり見たことが無いが、名称から指揮技能と同類のようだと思った。

世界事典で見ると軍師の派生技能らしい。


全体的に、何かちぐはぐな感じだ。

剣士の様な武士で軍師としての関連技能もある。

優秀だと思うのだが何故長く浪人だったのだろう。


これらの情報からアイリがオタク歴女としての記憶を探る。


そこから一人の人物を思い浮かべた。

後藤基次、通称名は、後藤又兵衛。 幼少名はヤハチロウ


歴史では、主に恵まれす浪人となり、その後は仕官のタイミングも悪く

幾多の大名から請われていたのに仕官できずに浪人が続く。

武将として有名なのに浪人としても有名な人物でもある。


歴史で大きく名が出るのは大阪夏の陣。

創作では単独、身一つで浪人から豊臣側に参加したとなる。

真田信繁こと真田幸村の元ネタになった人物と共に寡兵で徳川家康と戦った。

その時の扱いでは軍師格である。


いくつかの進言をしたのに用いてもらえなかった。

又兵衛の策を推薦したのが信繁である。


謎が多い人物で大阪夏の陣で死亡したことになっているのに

その後も生きているという記録が残っている。

こういった不思議な人物像を元に創作物が多い。


アイリは話を聞いてみた。

何故浪人生活を続けていたのかなど。


仕官を希望する相手がいなかったことが一番の理由だが

仕官を誘われた先から、突然断られたこともあるらしい。

だから一般兵として戦場には出ていたらしい。

それはある意味傭兵に等しい。


兵を率いる能力がありながら、それが出来なかったわけだ。

アイリの元に来たのは他に理由がある。

アイリは基本的に採用を断ったことはない。

教育と訓練を行い、能力に合わせてそれぞれに適しているところへ配置する。


それは実は鑑定と人物事典のなせる業だったりするのだが・・。

しかし他からすれば、

4領を支配する大領主で皇王様の直臣が仕官を断らず、重く用いるとなる。

これが多くの仕官希望者を引き付けている理由なのだ。


アイリ曰く「仕官者ホイホイ」らしい。

仕官希望者から見れば、好条件の物件になる。

長く仕官に恵まれなかったヤハチロウは、それを聞きつけ

今度こそはとやってきた。


アイリは言う

「あなたを指揮官候補として採用します。しかし努力は怠らないでくださいね。」

これにはヤハチロウはびっくりだ。

まさかいきなりの大抜擢になる。

夢でも見ているのかと思ったのだが、目のまえの幼い領主は言う。


「あなたには、優秀な才能があるの。だから指揮官として勉強を励みなさい。」

これを聞いて夢でも、間違いでもないと理解した。

この幼い領主は、無名に等しい初見の自分を認めてくれたのだ。


ヤハチロウは感激した。

「やっと得るべき、すばらしい主が見つかった。」

この主に出会うために自分は仕官できなかったのではないかと思うほど

運命とも取れる感動を伴っていた。


いや、そんなものではなく鑑定と人物事典・・ゲフンゲフン。



もう一人の人物はアイリにとって、いたらうれしいなと思っていた人物だ。


名は ヨロク(与六)

名前だけ見れば、農民かと思う名前だが

「才気」と言うスキルを持っていた。

何となく文字から頭がいいことは理解できた。

技能に「軍略」がある。これも珍しい。


世界事典では、才気スキルは知略向上のバフ的なものらしい。

軍略は、軍術の類似らしいが、変化における対応力に優れている。

受け身に強いと言えばいいのだろうか、相手の動きに合わせる技能のようだ。


「なるほど・・政治的にも戦略的にも窮地に強いという事かな。」


そこでアイリのオタク歴女としての記憶が該当する人物を見つけ出す。


きっとそうだろうと予想を付けた人物は

直江兼続。 ヨロクとは、兼続の幼名である。


直江兼続は、後に直江重次と言う名になる。

重次への改名は徳川家康に忠誠を誓った時だ。


歴史では、幼少期から少年期の記録が少ない。

上杉謙信の死後、上杉景勝時代の重臣として脚光を浴びる。

創作では有名だが戦歴はそれほどではない。

どちらかと言えば負け戦が多いのだ。


ただ非常に有名な撤退戦の逸話が残る。

あまりに素晴らしい撤退戦の例として

旧日本陸軍参謀本部の日本戦史で取り上げられた。


兼続の功績は戦争と言うより

上杉家を立て直すための領内における内政手腕と

上杉家を滅亡させないように苦心した交渉力にある。

これが忠義の士としての創作の人物像の元だ。


徳川家において重臣であった本多正信と交友を持ち

正信の次男と兼続の娘の婚姻によりさらに付き合いが深くなる。

正信の支援もあり、徳川家康から上杉家に有利な条件を引き出せた。


二人とも不思議と正信がらみだったりする。

まぁ一人は名前が同じだけなのだが・・・。


「なるほど確かに内政が得意で、撤退戦に名を残したわけだ。」

スキルや技能との関連から類似の存在であることはこれで間違いないと思った。


本多正信ことマサノブは、知略スキルもちだ、政治力に強い。

直江兼続ことヨロクの才気スキルは知略向上、それはやはり政治力系に効く。

ただ言えることは、ヨロクは合わせて軍略技能がある。


マサノブ同様に防衛寄りの任務も任せられる。

アイリが留守中の領に置いておくのもいいし、

もしもの撤退時の保険で後陣にしておくこともできる。

指揮官としての才能が出れば、対応力を活かして前線でもいい。


もちろんアイリにとってスキル所持者は採用だ。

と言うか基本不採用者はいない。

指揮官候補としての採用になる。


「これからもっと努力して、指揮官の勉強をしてください。」

アイリはヨロクに告げる。

「あなたを、指揮官候補にするつもりです。」

アイリの軍を率いて指揮官力をあげれば、課題の攻撃力も上がられるだろう。


ヨロクは、16歳になったばかりだ。

少し程度の軍事経験と軍術を学んだに過ぎない。

「まさか指揮官と言うのは・・・。」

あまりい破格な申し出でヨロクは恐縮してしまった。


「重い役目になるほど、あなたは真価が発揮できるのですよ。自信を持ちなさい。」

アイリは、固まっているヨロクにそう告げた。

それは鑑定を持つアイリにしか理解できない。


しかし、年若いヨロクは、アイリの言葉を聞いて期待に応えることにした。

「頑張って姫の期待に応えるよう努力します。」


こうしてアイリは、新たに指揮官候補2名を採用した。



その後の、抜刀隊、メイド隊の仕官面談でも優秀なものが採用でき

それぞれの隊員が急増していくことになる。


アイリは、理想とする人材面が充実していくのを実感した。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ