表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/173

No069 アイリの野望、領主編 「花火祭りの準備」 新作花火? 8歳7月~

アイリがオカザキにたどり着くと、そこには仕事が溜まっていた。

あと二日で祭りが始まる。


優先順位を決めて仕事を処理しなければならない。

アイリは焦りながら分別作業をしていった。


翌日

明日の花火祭りの準備視察を行う。

昨年同様アイリもたくさんの露店を出す。


その後、花火の状況を確認する。

打ち上げ花火はどうなっているのか。


それは兵器運用も兼ねた試みだった。

このために各地で登用した人材を投入している。


主任研究員として送り込んだ人物。

名をサイエン 精製スキルと言う珍しいスキルを持っていた。

しかも技能も調合である。

彼の元にも、支援するための技能持ちを助手として送り込んでいる。


また発射台のための職人も登用しオカザキに送り込んだ。

アイリが人材登用を行っていたのは各地の活性の為だけではない。

登用した中には、こういう役割を持つ人材も含まれている。


「どう、サイエン火薬の具合は。」

時間がないから挨拶もそこそこに本題に入る。


「やや、姫。お帰りでしたか、なかなか面白いものが出来ましたよ。」

彼は少しやつれ気味のようだったが、

何かに目覚めたように研究に打ち込んでいたらしい。


アイリは、にやけた。

頭の中で、「マッドサイエンティスト」の文字が浮かんでしまったからだ。

そう言えば名前が・・・笑。


「そう、じゃあ明日の花火で見させてもらうね。」

アイリは、元からそういう予定だった。

「事前に何度も確認しましたから、自信ありますよ。」

サイエンは、自身があるようだ。

なんだか今にもウヒヒとかイヒヒとか言いそうな顔でニヤニヤしている。


アイリはサイエンの経歴を見て、だいたいのことは理解できる。

そこにはかなりの苦労と試行錯誤がうかがえた。

簡単に出来たものではなく、努力の結果だろう。

だから自信がある。


次に花火師のところに行く。

サイエンがつくった火薬を使い花火を作っているはずだ。


花火師の所にも職人の人材は送っている。

造られた花火の試作を見る。


いろいろな形をしているが、妙に気になるものがあった。

「これ、誰の作品?」

聞いてみると、アイリが送り込んだ職人。

造形の技能持ちだった。

何かに使えるかもしれないと登用していた。


アイリは、火箭やロケット花火の形を絵にかいて渡していた。

しかし、その先端に花火を付けるとどうしても球体が付く。

普通はそういうものが出来てしまうだろうと思っていた。


アイリの目の前にあるそれは、ミサイルのような形だ。

発射してからの直進性と飛距離を伸ばすことを考慮すると

どうしてもこうなるらしい。


それはアイリも理解している。

それで花火はどうなっているのかが肝心だ。

先端部分に、球体の小型花火がいくつか入っているとのこと。


ロケット花火を例にすると火薬の燃焼は飛びながら下から上に上がる。

上まで来たら小型の球体花火に火が着くと同時に

先端部分にある火薬が破裂する。

小型の球体花火が飛び出し、次々と爆発するらしい。


そうか、花火なら球体状に火花が飛び散るほうが、見た目きれいだが

武器転用なら球体状に火花が飛び散る必要はない。

見た目にきれいであるのは、花火大会の花火だけでいい。

アイリの注文は殺傷能力を高めるわけでなく、驚かせればいいという物だった。


何も尺玉のような形にこだわる必要はなかった。

小さな球体花火が飛び散り、それぞれが火花を出せば注文通りになる。

小型の球体花火が無差別な方向に飛び散っても敵の中のどこかになる。

威力は無くても飛び散った先で続けて爆発すればいいという事か。


花火としては、見た目が面白くないが、しかし武器としては有効になる。

しかも小型の球体花火の種類を変えると火花ではなく燃焼にも使える。

新しい遠距離火計にもなる。


アイリは、これは花火としては失格でも、武器として最適だと伝えた。

花火大会は試作品の打ち上げ実験でもある。

これも打ち上げるから実物が見れる。

成功だとアイリが判断すれば、量産化する。


次に発射台の作成を行っていた職人のところに行く。

そこにも助手を送り込んでいる。

木工師と鍛冶師に共同で作らせていた。

これもアイリが絵をかいて渡してある。


こちらもいくつか用意してあった。

なるほど、花火を打ち上げるなら大きな筒状になるわけね。

武器なら工夫を利用して多連装も可能になる。

それと騎馬軽弩の時に使った技術の応用で装填式もできるのか。


大きな筒式と言うのはアイリが想定した

ロケット花火の先端に尺玉がある花火の打ち上げ用だ。


しかし武器としてミサイル型と言うのがあれば

小型の筒をいくつか並べて連弩のように発射すればいい。

アイリが言う多連装型とは連弩の発想を転用したものだ。


そして装填式とは、ロケット花火を並べた置台を横にスライドさせて

筒に移動させて装填するという物。

何も上から入れなきゃいけないわけではない。

横から入れても性能に支障が無ければ問題はない。


置台とは下半円形の形をした物にロケット花火を置くもの。

発射台は上半分円形である。スライドさせれば筒状になる。


火薬の力だけで発射するなら筒の密閉度は重要かもしれないが

元々発射台の発想はバネ式で射出を行う物。

密閉度を犠牲にしてもかまわない。


あとは、たくさん射出するか、連続で射出するかということね。

これは武器の運用に関係する。

アイリの判断が重要だ。


一度にたくさんと言うのは短時間での効果が見込める

連続と言うのは長時間の効果が見込める

ある程度の台数が確保できれば連続で持続性があるほうが

敵への脅威度が高いかな。


要するに一度で多く射出するものが何台あっても

次に発射できるまでには、装填にその分の準備時間がかかる。

範囲面積的に言えば、同じ場所に同時に飛んでいくだけになる。


連続射出なら方向や角度などを変えながら場所を変えることも可能になる。

しかも、置台のスライドを一方向ではなく左右に移動できれば継続できる。

装填は置台に置くだけだから筒の先から入れるより時間も短い。


どちらも横に広がるから大きさは変わらない。

アイリの判断は継続使用が可能になる装填式。

但し、置台は双方向へのスライドが可能になる事だ。


いくら大きくなると言っても大型投石機から比べれば

軽いから運びやすく、寸法も小さい。

大型特投石器の飛距離より長いのであれば全く問題はない。


問題は射出時のバネの威力。

これはスプリング型のバネを製作する技術にも関係する。


太いバネを使うと威力がありそうに見えるがそう簡単ではない。

あまり太いと収縮性と弾力が失われる。

これもいくつかあった。

アイリが言うように太いもの1本や細いのを数本使うかなど


その中に中くらいだが異常に長いものがある。

バネ自体の長さを長くして威力をあげるという考え方のようだ。

アイリの注文は射出速度をあげろという物ではない。

ある程度の距離を飛ばして稼ぐという物だ。


確かに長いというのは面白いかもしれない。

収縮性は失われず威力が増す。

後は発射するロケット花火とのバランスだけだ。

ロケット花火の点火タイミングと重さ。


点火は筒から出る瞬間からやや前がいい。

バネの先にある押し出しの板が噴射の威力を助けることが出来る。

これは導火線の長さで調整可能だ。


残る問題は重さ。

再びミサイル型のロケット花火を思い浮かべる。

細長いのとか出来るかな。噴射時間が稼げて軽くできる。

先端にしまい込まれた球形花火は縦に入っていても構わない。


ただ長すぎると直進方向性とのバランスが悪くなるんだよね。

あーいっそプレデターみたいに羽つけてみるとか。

それは飛行機形状の操縦式ミサイルの名だ。


アイリは、オタク歴女時代の黒歴史知識だけではなく

オタクルーツ時代からの記憶がやや戻ってきている。

ミサイルのように後方に羽があるだけでなく

前にも羽を付けることで飛行安定性が増す。


長距離誘導ミサイルではないから羽の長さは、短くても行けるだろう。

安定性が保持できる程度でいい。

どうせ装填式なら羽が外に出る隙間があっても問題ない。

これならいけそうな気がしてきた。


アイリが考えた案をまとめて指示する。

もちろんいつものように絵をかいて説明する。

打ち上げ花火は、遊びだからまあいいとして武器の話だ。


花火大会最終日までには時間があるからそれまでに試作を作れば

最終日には結果が見れる。

花火を上げるのは祭りの最初の日と最後の日だ。


最悪間に合わなければ別の日にでもやればいいし・・。

でも目標は立てておくほうが真剣になる。


あくまでも古代兵器の利用だから、

形がどうでも火箭と言うことで押し切って禁忌から逃れよう。


こうして花火祭り当日を迎えることになる。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ