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No061 アイリの野望、領主編 「ミエ領の旅2」 夢を見て記憶を思い出す。 8歳6月~

アイリ一行はタイチの郡役場を離れ

次の勝浦郡にある自由貿易郷のシングウを目指す。

距離的にはやや離れているが、

そこには官吏院や郡役場などもある。

ミエの南部地域である紀伊地区の経済の中心だ。


シングウでの都市開発区域は、かなり大きい。

土地が開け、熊野川を利用した水運が利用できる。

もちろん海に近いから大きな港が併設されている。

ここには、水軍もいて軍船がある。海賊対策の為だ。

いくつかの軍船以外に最新の武装艦が一隻配備されている。


途中、街道沿いにある大きな郷をいくつか抜けていくことになる。

タイチ郡範囲にある郷もまだ残っている。

北へ移動しながら視察することで効率を上げたかった。

それと、タイチ郡役場を拠点とするには心もとない。


移動しながら一気に視察して通り抜けて

シングウを拠点にしてから落ち着いて周辺を回るつもりだ。

時間はあまりかけない。

郷役場での人事を確認すると次の郷役場へと急ぐ。

距離は長いが移動速度は速い。


前世現代で言う太地、湯川、を抜け勝浦の辺りまで来た。

このあたりは勝浦郡になる。

ここからアイリは視察をやめて、一気にシングウを目指す。

もちろん鑑定は続けている。


ところどころ山が迫り海が近くなる。

危険な街道になるが、赤い存在はいなかった。


アイリは別のことを考えていた。

シングウの地は確かに最適だが拠点としては遠い。

勝浦の辺りを、支援郷にしなければ

タイチ郡とは経済的につながらないだろう。


ここは平野もあるので区画もとりやすい。

シングウについたら官吏院に指示しておこう。

名目的には経済支援郷とでもしておき、

港を含んだ商業都市化する。

いわばシングウの商業衛星都市のような感じだ。


そこからは郷役場の視察もスルーして

シングウへの移動を優先した。

ここまで来るのはかなり遠かったしシングウまで結構かかった。

やはりミエ領は異常に広い、というか縦に長い。


アイリは、御前崎の時の苦行を思い出す。

クシモトからシングウにたどり着くまでには、

郷役場の宿舎に泊まることになっていた。

郡役場と異なり部屋が狭く、人数も多いため雑魚寝状態で過ごしてきた。


精神的な疲労ではなく肉体的疲労がたまってきたころ。

やっと目的地のシングウに着いた。

既に夕方に入り当日は夕飯の買い出しだけに終わる。

シングウは、かなり大きい。

アイリの居館もそれなりの大きさがある。


久しぶりに大きな風呂に入れる。

アイリは長い旅と困難を経て今や仲良し4人組になった

オイチ、サヤカ、キチョウと風呂に入った。

その後で夕飯にする。


準備してくれたメイド隊には感謝だ。

同じように疲れていたはずなのに頑張ってくれた。

メイド隊員には、お礼を言った。

アイリは久しぶりのベットでふかふか布団に入る。


ほどなく睡魔が来て眠りについた。



アイリはまた、リアルな夢を見る。

前世と同じ背格好の自分だ。

今は、よく食べていたチェーン店でラーメンを食べている。

隣の席には、カップルがいて楽しそうにしていた。

自分は一人だ。


別にその様子を羨ましいとも感じない。

店を出ると、その店は何か大きな建物の中にあった。

自分が建物の中にいるのは周りを見ると分かる。


店の前のフロアには、自動販売機が並び

横にエレベーターの入り口の様なものがある。


そのエレベーターの入り口のようなところに入っていく。

行くとそれはエレベーターではなく、

地下鉄の電車のような乗り物の搭乗口だった。

駅とでもいえばいいのだろうか、ホームに人がいる。


好奇心で、目の前にある乗り物に乗る。

中は狭く小さい電車だった。


しかしそれに似合わないほど窓が大きい。

左右が、ほとんど窓と言っていい。

何故か皆、その窓の外に視線を送っている。

家族で乗っている人たちが多く、子供が何やら楽しそうにしていた。


電車が動き出すと景色が変わる。いきなり、緑豊かな光景になった。

するとそこに大きな宇宙巨大戦艦みたいなのが現れた。

外では、いきなり戦闘警戒のようだ。

突然、ロボットのようなサイボーグのようなヒーローがやってきて

その巨大戦艦と戦闘を始める。


乗り物の中にいる人たちは大はしゃぎだ。

戦闘の衝撃と轟音は乗り物にも届く。

やがて巨大戦艦が破壊されると

勝利した、ヒーローが片手を上げてこちらに挨拶している。


その後ヒーローは去り、窓の外の景色は田園風景になった。

しばらくして乗り物が止まる。駅なのだろうか。


そこで目が覚めた。

以前見たリアルな夢は、家族になっていて子供がいた。

確かリアルな夢は、パラドクス上の自分が体験した情報だとか聞いた気がする。

その時の自分は、オタク歴女ではなくただの人で結婚していた。


今回は、どうやら結婚をしていないオタクだったみたいだ。

乗り物はライドのようなものだと思った。

イベント会場か博覧会か遊園地にでもいたのだろう。


いい年してヒーロー物のライドに1人で乗っていたようだ。


何故かそこで、今まですっかり記憶から抜けていたものが思い出された。

前世、まだ幼少だったころ。家族と遊園地にいった時の事だ。

そこには、何とかランドとかいう少女向けの着ぐるみキャラがいる場所があった。


頭のでかいネコキャラだった気がする。

そこに行くと言われて喜んで遊びに行ったら、父親がライドに乗ると言い出した。

それは夢の物とは違い、小さな部屋の様な物だった。


座席に座るといきなり誰かが小さな画面に現れ話しかけてきた。

何やら自分たちの乗り物を守る人らしい。


乗り物の外は宇宙で、ロボットが戦闘をしていた。

戦争中らしい、自分たちは避難用の乗り物で戦場を脱出するようだ。

ライドはその都度あちらこちらが揺れていた。

何故か自分はそれが楽しくて、父親と一緒に3回も並んだ。


今まで記憶の存在として、もっとも影の薄かった父との記憶だ。

幼い頃の私は、何故かその後ヒーロー物にのめり込んでいく。

父と二人でロボットアニメなどをさんざん見た。

他にもいろんなヒーローものは見た。


確かに美少女戦隊ものは少しだけ記憶に残っていた。


幼い自分は、父に聞いた事がある。

「ヒーローになれるの?」

父はあれは、作り物だから無理だと言った。

確かにアニメのヒーローは無理だろう。今ならよくわかる。


父の部屋には、色んなおもちゃがあって

娘だった私は、ぬいぐるみや人形よりも父の部屋で遊ぶ方が好きだった。

棚には本ではなくロボットが並んでいて

部屋の隅には大きな8の字のサーキットで小さな車が走る。


父親はその部屋にパソコンを置いていてゲームをしていた。

自分は父の膝の上でその画面を眺めているときもあった。

ゲームは歴史ものの戦略シュミュレーションだ。


三国志やら信長が出てくるあれだった。

父親は言う、アニメのヒーローにはなれないが、

こういう歴史にいた人たちの様なヒーローにならなれると。


「それには強い思いをもって努力すること。」

何故かその時の父の言葉が、今アイリの口から出た。


その後、私はヒーローを目指し努力していく。

一方でオタクに染まっていった。 

あれは・・父はたぶんオタク族だった。


小中学時代の私は、オタクとして既に下地が出来ていた。

歴史物のヒーローにあこがれていたから歴女ともいえる。

同年代の子と話も行動も合うわけもなく、一人でいることが多かった。

でも、一人で何やらコツコツやるのが楽しかった。


高校時代になって、できた友達はオタク仲間だ。

それは私がオタクだったからだ。


ヒーローを目指していた私は、何かにつけて努力していた。

成績優秀だったのは、単に記憶力があるだけではなく

その努力の成果だった。


忘れていた記憶の断片は、オタク歴女のルーツ。

思いの強さと努力を重ねて黒歴史が構築された。


「何故こんなことを思い出したんだろう。」

前回は何か歴史の禁忌に触れたからだと思ったけど

今回は何も思いあたらない。


ただ頭の中には

「強い思いをもって努力すること。」だけが印象に残った。


結局二度寝する羽目になったのは言うまでもない。

翌朝アイリは、誰にも起こされることなく早起きした。


今日から朝は早朝訓練するのだ。


居館の外に出ると敷地の中では、メイド隊が訓練している。

そこには、当然キチョウがいたが、その近くにサヤカもいた。


アイリの知らないところで、戦闘訓練していたようだ。

「あー、だからあの時対処できたんだ。」

シズオカでの危機一髪の時のサヤカを思いだしてつぶやいた。


アイリは皆に挨拶をして、居館にいる間は自分も訓練するといった。















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