No038 アイリの野望、領主編 「会談まで」 メイド隊と抜刀隊(近衛兵) 7歳9月、
アイリはことのほか順調に進んでしまったことに少し動揺していた。
今川イベントと道三イベントの順番が違うからだ。
そんなことを言い出したら
信長と家康の両方の役のアイリなどは、もっととんでもない。
だいたいこの国は歴史がめちゃめちゃだ。
ただ単にオタク歴女としての
歴史イベントの楽しみ方に対する「こだわり」というだけである。
アイリの指示により
着実に新5郡のミエ領は発展している。
自由貿易のアノウ郷にも市場が出来て商人が商売を始めている。
アイリ直轄事業も始まりだした。
北部では農地にできる土地が多く取れた。こちらは農耕主体にする。
南部や西部は、木材が非常に供給しやすく海に面している地域が多い。
海産業だけではなく、建築や造船や木工に力を入れた。
領全体としては、やはり海産物が豊かだ。
真珠養殖は今は無理なので、新しくカキの養殖を事業として組み込んだ。
でも天然真珠は取れるかもしれない。アコヤ貝も養殖してみる。
アイリ直轄の養殖公舎が主体になる。
順次募兵という形で、兵も揃ってきた。
この領だけで自力防衛が可能になるだろう。
この地には、ゲンタを指揮官として赴任させてある。
そのまま採用指揮官に任命した。
なんちゃって真田氏が伊勢にいるのは変だが・・。
気にしている場合じゃない。
アイチ領においても、第4次募兵が行われている。
こちらも順次募兵という形をとった。
これは、少数でも集まり次第、兵に採用するというやり方だ。
採用指揮官としてドウキを任命した。
アイリの鑑定にばかり頼らす兵種適正を見極める。
実技技能を見て決めるのは、採用指揮官の仕事にしてある。
アイリのような鑑定持ちでなければこの選別が大変だ。
当然、少人数事に採用して選別するほうが効率がいい。
何かあるたびにアイリが移動しなければならないということは避けたい。
アイリの領内巡回の時にまとめて確認すればいい。
いろんなことは、出来るだけ部下で回るように変えた。
だが、女性が来たらアイリ直々に面談する。
これにだけはアイリのこだわりで、見た目試験というのがある。
メイド隊の採用試験だ。
メイド隊の正式隊員は、既に50名を超えている。
これはアイリが、「女性も募集するよ」と告知したせいだ。
メイド隊になる事が、女性にとってはとても羨ましい事らしい。
「こんなに人気が有るとは思わなかった。」とアイリは言った。
領外からの応募者を待たずしても領内からすごい勢いで応募者が殺到している。
現在領主館ではメイド館の建設中だ。
きっとこの先、もっと増える事だろう。
メイド隊員は献身的で、自己努力を惜しまない。
今日も訓練に励んでいる。
濃姫ことキチョウは、今や小隊長だ。
メイド隊は基本10人で1小隊になる。
アイリが連れて歩くのに10人単位が多いからだ。
この小隊では、1軍、2軍、3軍・・5軍、予備軍
という順序がある。
1軍のメンバーになれると非常に名誉になる。
アイリが連れていくのは、1軍メンバーだからだ。
いくら見た目で採用と言っても
現実はこういう実力社会になっている。
前世の女性だけで構成された、何とか歌劇団といっしょだ。
女性といえど実力が無ければ認められない。
年齢による引退制度というものもある。
メイド隊員は20代までだ。
今のところ、ほとんどは10代だから先のことになるだろう。
30歳超えたら教官になってもらう。
アイリはこう言っただけなのだが、これが引退制度と呼ばれている。
結婚や恋愛は禁じていない。
家庭持ちでも子持ちでも問題ない・・アイリはそういう。
しかし場合によっては死を覚悟できるかどうかだ。
メイド隊員たちは、心が弱くなるからと自ら禁じているようだ。
キチョウも自分の隊員たちに言っている。
「いざというときにアイリ様の代わりに死ねるかが私たちの役目です。」
いや、怖い覚悟だけど・・。
ちなみにキチョウは、2軍の隊長だ。
やはり初代メンバーが強い。経験の差も大きいからだ。
アイリは会談と称するこの領堺の受け入れ時に
最新装備の兵を3000ほど率いることにしている。
先頭に位置するアイリはメイド隊を50人連れていく。
「会談イベントには皆、引き連れてくからね。」
アイリは先日こう言った。
意味は分からないが、これに感激したらしく
2軍以下のメンバーは、訓練に一層励んでいる。
メイド隊は騎馬に乗り薙刀を持つ。
薙刀が持てない場所の想定で、短剣術と体術を覚える。
普段から短剣は所持だ。
訓練以外では、使用人の仕事もしている。
「基本はメイド、ここ大事。」
というのがアイリのオタク的こだわりでもある。
メイドの数が多い事で、今は男性の使用人はいない。
料理も重労働も、すべてメイドの仕事だ。
彼女たちは密かに下積みと呼んでいる。
アイリは「順番でいいんじゃない」と言っているのだが
上位メンバーは、アイリ直々の仕事が多い。
したがって下位メンバーが必然的に行うことになる。
新しく、皇王様のために守護部隊を編成した。
アイリ念願の抜刀隊である。これを近衛兵と称した。
剣士たちを主体に、15人集めた。
3人一組で剣士を班長にして近衛兵として側に仕えてもらっている。
性格と実力を重視し採用した。
個人の武術技能的には、アイチ領一の精鋭ともいえる。
アイリの皇王様に対する防衛の要と言っていい。
皇王であることを知らせた現在では
例えアイチ領内が安全と言えども
出歩くときには近衛兵を連れて行ってもらう。
抜刀隊は皇王様の近衛兵だとわかる兵装をしている。
白い軍服に古来日本刀モドキの一品物の軍刀。
これにも希望者が多い。
皇王様の近衛兵という立場は、男性にとっての名誉らしい。
皇王様の屋敷は、志摩にあった形を継承した。
前後二棟の続きになる形状だ。これは皇都の居館でも同じだという。
周囲を板塀で囲み鳥居のような門を付けてある。
もちろん敷地も建屋も志摩の時の倍ほど大きくした。
後ろの小さめの建屋が皇王様の住居で、側近と暮らす。
前の大きめの建屋には、人と会ったり、詔を発する広間がある。
その広間の周囲が、使用人や近衛兵の部屋になる。
台所があり、料理はここで作られ
側近により皇王様のところへ運ばれる。
料理人はアイリが採用していた者4人を付けた。
アイリ直々の料理が作れることもあって、皇王様はすごく喜んでいる。
もちろん側近や近衛兵のメンバーも同じだ。
ゆえに料理人のいないアイリのところは、メイドが料理人になっている。
秋が始まるこの時
アイリは、軍を率いて北へと出発した。
皇王様や両親に見送られ、「気を付けて行ってこい。」と励まされた。
領民は盛大に、この出発を応援してくれた。
いよいよ会談イベントになる。
話には聞いているが
北の領主と皇族の姫が、どんな人か気になるアイリだった。




