No036 アイリの野望、領主編 「新しい領と花火祭り」5郡を得て領主となり命名する。待望の花火祭り開催。 7歳7月~8月、
アイリは10日をかけて
前世で言う津の位置にある郡役場へやってきた。
途中で、配属された官吏院の内政官たちに
ねぎらいの言葉をかけながら移動した。
5郡の行政改革の始まりである。
どこへ行っても領民は歓迎してくれた。
先行して、領民に布告が出された。
税は土地の広さに合わせた土地借地料となる事。
これを定期的に納めれば、後は自由にしてもいい。
地区の中心となる場所には、自由貿易郷を作る。
そこでは借地代さえ払えば自由に商売が出来る。
後は、この地区を守るため、募兵を行う。
才能と努力があれば誰でもアイリの部下になれる。
これらは結果として、
税金代わりの土地代を払えば、成りたいものになれ
やりたいことが出来、努力が報われることを意味する。
もちろん仕事を変える者は、そうそういないが
その気になれば農民の子が内政官僚になれたりするわけだ。
自由貿易郷が出来れば生活も豊かになる。
アイリが直轄事業を立てるからだ。
アイリは人物事典を見まわして
この地の官吏院長官を任命した。
内務を行っていた人物で位は高くなかった。
いきなりの大出世となる。
サクゾウ(作蔵)33歳 統括スキル
バラバラだったこの地に向いているだろう。
地元の出身者で実績も積んでいる。
長い間報われなかったのに頑張っていたと言える。
こういった話も領民に伝わり
布告が本当だと信じてもらえた。
一緒にいた皇王様もアイリの行政を聞いて驚いていた。
この国では支配地が直轄領であることは珍しい。
アイリは広大な直轄領を保有している。
領主自ら事業を立てることも珍しい。
しかも税金を取らないというのはあり得ない。
警護に残っている軍隊の兵装も見たことがない。
これほど、領民に慕われる領主も見たことがない。
いろんなことが珍しくあり、驚かされるばかりだ。
更に10日ほどで、オカザキに帰ってきた。
既に皇王様の居館が建てられ始めている。
ここでも皇王は驚いている。
アイリの居館の外装と内装は見たことがない。
街に出れば活気にあふれ、人と物がたくさんある。
「誠に良き友を得た。」皇王は側近にこう言った。
皇王様のことは一部の者しか知らない。
自分の立場をしばらく忘れ、いろんなとこへ出かけては
目を丸くして興奮していた。
「素晴らしい統治方法だ。」
アイリはそう皇王様に言われた。
皇王の居館はほどなくできた。
職人の頑張りのおかげだ。
皇王は落ち着くと国内に布令を出す。
死んだのは、弟親王だから皇王は生きているという事。
これは事態収拾のための策でもある。
アイリはこの地で皇王から初の任命を受ける。
新しく追加された5郡による領主任命である。
「其方を5郡の地を持って、ミエ領の新たな領主とする。」
家名はそのままだ、誰かに継がせることはできる。
これにより3郡しか持っていない領主は力を失い豪族になる。
新領地名は、ミエ(三重)とした。
現在の北部5郡は、イセ(伊勢)地区とする。
南部は、キイ(紀伊)地区だ。この地区5郡は支配外になる。
準備が整えば、隣接する2郡の豪族は排除するつもりだ。
イゼ地区は
桑名郡、伊賀郡、志摩郡、鈴鹿郡、一志郡 の5郡
長島郷は桑名郡に編入した。
貿易自由郷は、津の辺りになるが、
「ツ」と一文字だと伝わりにくいため
アノウ(安濃)とした。
7月も終わりが近づいてくる。あと2日で祭りが始まる。
矢作川付近では、花火大会の準備で忙しくなった。
追加5郡のまとめのために若干予定より遅れたのは否めない。
8月の初めから10日間を花火祭りとした。
初日と最終日は花火大会となる。
露店設置場所はすでに決めてあり、場所の予約が満載だ。
何せ、期間中は無料開放だ。すでに露店の準備を行っている人もいる。
何を出しても何をやっても構わない。
商人だけでなく領民も参加だ、フリーマーケットのようになるだろう。
食事処からも多数参加する。
もちろんアイリの露店もある。
アイリは、お好み焼きとたこ焼きとイカ焼き
祭り食の三大露店を出す。これらは、醤油味になる。
ソースがないから焼きそばは、断念した。
代わりに焼うどんの露店を出す。焼うどんはこれがデビューだ。
この地には、うどんを焼くなどの料理はない。
フランクフルトを串に刺して焼く店も出すつもりだ。
他にも射的場を作る。
おもちゃのような矢で的を狙うタイプと
景品をそのまま布玉を投げて当てて落としたらもらえるタイプの二つだ。
弓を使う方の景品は、アイリ工房特製のぬいぐるみとクッション。
ひもを引いて先についている景品が当たるくじ引き露店も出す。
これらはアイリの現代人としての祭り露店のこだわりでもある。
お祭りには最低欲しい露店として準備した。
2日が立ちいよいよ花火大会当日になった。
参加者は全員浴衣姿必須である。
浴衣姿でなければ、参加しちゃダメだとアイリが布告したからだ。
この日のために皇王様にも浴衣を送った。
絞り染めのやつだ。珍しがって喜んでいた。
なんだか、皆が開催宣言をしろと高い台を用意していた。
仕方がないので簡単に開催宣言をすることにした。
「皆さん、今日から10日間は是非楽しんでくださいね。以上」
こんなでも大いに喜ばれた。
早速花火が始まる。大玉の打ち上げ花火などはない。
家庭用レベルの小さな奴だ。
それでも数は揃えた。
しだれ式に吊り下げて雨のように火花を出す花火も作った。
この日のために、花火師が苦労して噴射式の花火を作ってくれた。
棒に火薬を付けた手持ち花火も用意した。
これは参加者なら皆もらえる。
最初は、花火を見てびっくり怖がっていた人々も楽しく遊んでいる。
皇王様も楽しんでいるようでなによりだ。
アイリの出した露店巡りをしている。
あちらこちらに移動するから側近の人が付いて回るのが大変そうだ。
花火が終わっても、露店はかがり火で照らされていて明るい。
夜遊びなどしたことがないこの国の人々にとって
新しい娯楽になったことだろう。
ちなみに、露店ではお酒は禁止にした。
酔って暴れる人がいたら困るからだ。
祭りは大盛況の催しになった。
うちの両親も遊びに来ていた。相変わらず二人揃って仲がいい。
祭りの期間はメイド隊も浴衣だ。自由行動を許している。
この時ばかりは、気楽に遊んでほしい。
芸人たちも芸をする露店を出して、皆を笑わせている。
何やらコントの様なものと漫才の様なものが形になってきた。
アイリの前世知識によるものだが頑張っているようだ。
子供の迷子が出ると思って、迷子コーナーを作ってある。
祭りと言えば迷子だ。
参加者にも迷子を見かけたらそこへ連れて行くように説明してある。
巡回係りもいるから安心だ。
私は、サヤカと一緒に楽しんだ。
準備もお金も大変だけど毎年やりたいと思う。
最終日
祭りが終わるときに、鐘を打つ ゴーン・・・ゴーン・・
年末の除夜の鐘のように、鐘が鳴り終わるとおしまいだ。
この国には除夜の鐘がないから代わりにやってみた。
鐘は突きたい人がいたらやっていいということにしてある。
最後の思い出作りなのだろうか意外に参加者がいた。
両親と皇王様も鐘を突いた。
私もサヤカに助けてもらって鐘を突いた。
私の突く鐘が最後の鐘だ。今年はこれで終了になる。
明日からしばらく片付けだ。
祭りの翌日は、寝坊から始まった。
なんだか終わると寂しい気になるのが祭りでもある。
「さぁ、今日からお仕事がんばろう・・ふふん」
アイリはそう言うとベットから起き上がるのだった。




