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No024 アイリの野望、内政編 「謀略」 母妊娠発覚。特殊諜報員出動する。6歳7月、

季節は夏、アイリは浴衣姿でバタバタ忙しくしている。

東部の政策は西部で初めて取り組んだ時よりは楽なのだが

アイリが、かかわる事業が増えているからだ。

それに、並行して西部のほうも管理している。

先行で強兵政策を実施しているため指示確認も必要だ。


「分身の術が使えたらなぁ・・・ニンニン。」

孫悟空の次は忍者だった。

領主館では、メイド隊もメイド服をやめて浴衣にしている。

もちろん、アイリが出かけるときはメイド服着用だ。


両親も浴衣でうろうろしている。

「暇そうでうらやましい・・。」

アイリに政策を丸投げしているからだとは言うまい。

それにしても、いつも何故一緒にいるんだろう。仲がいいのはいいけどね。


この後、思わぬ話が出てくる。

両親揃ってアイリの前にやってきた。

「アイリいつもご苦労である。今、時間あるか?」

父がいつもよりまじめな感じがする。威厳もない。

「アイリ、実はお姉さんになるのですよ・・うふふ。」

唐突な母からの爆弾発言だ。


気が付いたら領主館に人が増えていた。

アイリもキヨスから人を連れてきているから、今は大所帯だ。

なんだか春ごろから小さい子が来てると思った。

自分のことを棚に上げるとはこういうことだ。

明らかにアイリのほうが小さい。


シキノのところに女の子が奉公に来ているのだ。

あーあれだ、乳母の勉強だったんだ。今更感が強い。

「父上、母上ひょっとすると春ごろからお気づきだったとか・・」

これは、あくまで疑問点の追求だ。


「うむ、アヤノからそれらしいとは聞いていたが・・。」

父は少し弁解気味だ。

「春頃は、まだはっきりしていなかったのですよ。うふ」

「確信を持ったのは、梅雨の頃でしたからね。」

母は淡々としている。母は強しとはこのことか。


梅雨の頃と言えば、その前後は確かに一番忙しかった時期だ。

アイリも出かけていることが多かった。

領主館に帰ったらほとんど寝るだけという生活状態だった。

「私が忙しくて、言いそびれたのですね。」

その頃、両親の顔も見ていない気がする、少し反省した。


「うむ、アイリが大変そうだったから、多少落ち着いてからと思ってな。」

父が頭をポリポリしだした。

「それは失礼しました。遅れながらですが、おめでとうございます。」


「うふふ、安定期に入ってから、アイリに知らせようかと思ってたの。」

「少し遅くなっちゃったけどね・・。アイリも喜んでくれるかしら」

もちろん私の仕事の安定期ではなく、母の身体の安定期だ。


安定期とは医療の進んだ現代日本の感覚だと5か月過ぎたくらいだが、

この国では流産も多いから大体6か月過ぎてからという感じだ。

あくまでもそれまでは、らしいという感覚でしかない。

体型に変化が出てくる頃、実感ができるというのが安定期でもある。

私は、アイリ治療院の名誉院長だからね・・ふふん。多少の知識はある。


「もちろん、姉になるのは大変うれしいですよ!父上、母上。」


この後、仕事を忘れて久しぶりの親子の会話をした。

色々話を聞くと、母のつわりが始まった瞬間

妊娠だと決まっていないはずなのに、奉公に出た子をスカウトしたっぽい。

これは父の早業だ。気が早いのはいいのだが、父に覚えがあったのだろう。

あーあれだな、私があげた布団セットだな。どうやら私にも要因があった。

さすがにこれ以上のゲスイ考えは、やめにした。


とにもかくにも、どうやら秋ごろ私は姉になるらしい。

前世の兄弟の記憶は全くない、記憶がないだけでなく

いた感じが全くないから、たぶん一人っ子だったのだろう。

いずれにしろ初めての兄弟だ。いや姉妹や姉弟かもしれないけど。


守るものが増えたことに、責任と感動を感じるアイリだった。

幸せに育つような環境にしてあげよう。アイリは心に誓った。

きっと父も私が生まれると分かった時、そう思ったのだろう。

だから早々に戦争を終結させて、領主の認定を受けた。


私がいなかったら、残り2郡も手に入れてたのかもしれない。

歴史にIFはないというが、今ならきっとそうだと思えた。

なら、私がそれを成し遂げる。


この後、特殊諜報官にアイリから命令が下る。

反カザマ豪族に対し、詳細調査と攪乱工作を仕掛ける指示だ。

ここへきて本格的に忍者の登場・・・ニンニンなんちゃってね。


今回命令したのは、特殊諜報官3人。

3人とも変わったスキルを持っている。

特殊諜報官はアイリが武術訓練を行ったので自衛手段も持つ。


潜伏スキルを持つ センゾウ(千蔵)26歳

元領民。目立つことを嫌い、人に合わせるのが得意だ。

アイリ曰く「モブ化能力者」

アイリの能力である鑑定の前では役立たずだが、

性格から来る潜在型の認識阻害ではないかとアイリは言っている。


暗視スキルを持つ サクロウ(佐久郎)27歳

元漁師、夜釣り師だ。アイリ曰く「サクロウではなくフクロウ」

夜目が効く技能持ちは多い、アイリはスキルまで昇華したのではないか

と思っている。ゆえに後発スキルと認識している。


遠聴スキルを持つ タクスケ(琢助)25歳

元猟師。アイリ曰く「動くソナー兵器」

聴覚技能者からのスキル昇華だという認識だ。いわゆる地獄耳。

獲物を探すための職業病でもある。ちなみに大音声に弱いということはない。

集中することで相手の位置や音をとらえることが可能だ。


アイリの命令とは

センソウには、領民に紛れ込んで、噂を流し不満を煽り扇動させる。

「カザマ領とこちらでは大違いだ。あちらはいいよな。」なんて具合だ。

自分たちと同じ立場にいる人間だと思い込めば、容易に乗るだろう。


サクロウには、夜中に活動をしてもらい、あちこちを荒らしてもらう。

畑を荒らしたり、家に付け火をしたり、正直セコイが領民の不安は煽れる。

センゾウと連携すれば「何の対策もできない無能な豪族の下にはいられない」

と不満を煽ることもできる。


タケスケには、相手豪族の詳細情報取得。

マサツグ領をどう思っているのか。戦いの準備や戦力はどうなのか。

何を考えどのような性格なのか。側近は誰で誰を重んじているのか。

逆に誰を軽んじているのか。不満は何なのか。など

噂ではなく本人、もしくは本人直下の人間の言葉を聞いて来てもらう。

その為、領民に扮し豪族の住む居住館周辺にいてもらう。


1か月ごとに進捗状況を報告をしてもらいたい。

これらは普通の諜報官では無理な仕事だ。

こういったことは現代日本でもよく行われている。

神社に油をまく、デモを行い行政の邪魔をする、反政府論をばらまく

などなど言い出したら切りがないだろう。


そういった国民への煽りは、情報戦の一種だとアイリは認識している。

「戦わずして戦わせる。」これは謀略の第一歩だ。

最悪、内乱が誘発したらそれでチェックメイト。

こちらから攻めるときに、領民の味方だと宣伝すれば大義名分も付くし、

領民が味方なら、戦後処理もかなり楽になる。


この後、何事もなかったように

アイリは素知らぬ顔をして、いつもの仕事に入るのだった。

忙しさは何も変わらない。

内政なんてまじめにやるしかない地味な仕事だ。


良くも悪くもアイリ自身が手を広げまくった結果でもある。





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