No019 アイリの野望、内政編 「スキル成長」 叔父に会う。あれ?地図が出来た。5歳7月、
スキルが成長します。
カザマ領東部は、中川流域と東川の西側一帯になる。
中川と東川の間の広大な平野は農地に適している。
それに対して北は、今だ未開拓地になっている。
森が多くその先には山があり、冬は、雪に埋もれる。
その先は、他領になる。大豪族が領主らしい。
お互いの領境が明確ではないが、今のところは問題が無い。
さらに北東奥に行くと山が険しくなり火山があるという。
例の硫黄のあるところだ。温泉もある。
南は海が広がり、砂浜が非常に多い。
湾内らしく波も比較的穏やかだ。
気候が安定し、比較的温暖だといえる。
中川中流から下流一帯、海までが中川郡
中流から北が北中川郡
東川中流から南の海までが東川郡
東川中流から北が北東川郡
マサツグらしい実に安直な名称だが、この4郡が東部となる。
中川郡は、郡としてはやや大きい。中川を挟んだ東西は農地が広がる。
領主館がある本郷に郡役場があり。領地の中心になっている。
だが、位置的に言えば、カザマ領の東寄りに本郷が存在する。
よって、中心であるはずの本郷は、カザマ領東部となる。
本郷のさらに南、東部自由貿易郷予定地から
アイリは、東へ移動しているところだ。
目指しているのは、東川下流に近い位置。
ここに、東川郡役場がある。周りは、農地と農民しかいない。
カザマ領が隣接する他勢力の中で
敵認定の反カザマ家の大豪族は、東川の先にある郡2つを拠点としている。
1つは平野と山林、もう1つは半島だ。東川を挟んで対峙している状態である。
アイリは、東部政策において、この敵対勢力を危険であると位置づけている。
そのため、遠く離れた西部を先に政策対象とし、地力を付けてから、
東部政策にとりかかった。
現在、西部で行っている募兵や装備は、その為に準備していると言って良い。
幼いアイリにとって東川に行くことは、今まで非常に危険だった。
だから、今回初めて自分の足でその地に向かう。
危険がある地だと言って、軍を率いて移動すれば刺激する可能性もある。
だから、メイド隊を引き連れている。
今回サヤカも一緒だ、東部出身であることから同行している。
見た目には幼女と女性の異様な集団だ。
徒歩ではなく全員馬に乗っての移動となる。
移動に一日かかる距離なので、荷物はリュックとポシェットに入れてある。
道中は何事もなく東川郡に入った。
更に東に向かい東川沿岸に行く予定だ。
東川郡役場に到着すると意外な人が出迎えてくれた。
カザマカネツグ(兼嗣)22歳
マサツグの弟、アイリの叔父だ。
確かに話には聞いてはいたが・・。こっそり人物事典を見た。
私、初めましてなのかな・・・。
サヤカが「お久しぶりでございます。カネツグ様。」と挨拶した。
「おう、サヤカは少し見ないうちに、すっかり大人になったな。」
「いえいえ、あ・・こちらがアイリ様でございます。」
いやどう挨拶したらいいんだろう・・。
「は、初めまして叔父上様。よろしくお願いします。」
とりあえず普通にしてみた。
「ほう、お前がアイリか幼いが賢いそうだな。」
「あの赤子が、こんなになるとはな・・。兄上も驚きだったぞ。」
アイリが生まれた時、カネツグは領主館にいたらしい。
「お前が生まれてすぐ、東川郡に赴任になったからな。」
「一度顔が見てみたかったから、ちょうどよいわ。」
やっぱりこれが初顔合わせか・・。
「この度は東部4郡の政策を任されました。」
「叔父上は、いつもどこにいらっしゃるのですか。」
気になったので聞いてみることにした。
「ここから東へ行った軍駐屯地でこの地を守れと言われてな。」
「時間が取れるようになった頃には、お前が西に行っていた。」
「領主館でも、なかなか会えなかったのだ。」
はははと笑いカネツグが答えてくれた。
この後色々と話を聞いた。
この領がまとまったのは、私が生まれる1年前。
ようするに、母が妊娠した時になる。
その時、まだ東川郡の情勢は安定していなかった。
反勢力の豪族が隣の郡にいたからだ。
私が生まれると知った父は、残り2郡を残して戦いをやめた。
領主の任命を受けて大義名分だけ勝ち取ると。
叔父に東川郡の安定のため軍を駐屯させる指示を出した。
東川郡が落ち着きを取り戻し、安定した頃には、
すでに私は西部に行っていたらしい。
なるほど・・・。
この後、カネツグと西部の出来事を話して盛り上がった。
叔父は、裏表なくとてもいい性格だった。
ただ、武人であるから政治の難しい話はダメだ。
そこは兄弟だなと思った。
それと人物鑑定を見ると父はどちらかというと猪武者
それに対して、叔父は考えて戦うタイプのようだ。
確かに防衛向きだと言える。
この先
3千人規模の軍団を3つ作るとき
私と父と叔父で軍団指揮ができるようだ・・。
これで1万人の軍隊が機能する。
ちなみに父の配下1500人の武官のうち500人は
叔父と共に今なお、この東川郡に駐屯しているようだ。
この日は、東川郡役場で宿舎に泊まり、翌朝に東川へ向かう。
途中、軍の駐屯地も見学した。もちろん鑑定しまくりだ。
その後、東川沿岸へと向かう。
東川へ着くと川を越えた先に住民が見えた。
かなり遠距離だが鑑定を試みる。反カザマ豪族の支配地の領民だ。
鑑定は出来たと思うのだが、
視覚鑑定なのに人物事典に情報があまり入らなかった。
情報が限定されている・・?
距離の問題なのか、他に要因があるのかはわからない。
言えることは、赤色ではなかった。
要するに、アイリに対する敵認定はされてない。
東川沿いを南へと移動する。途中も何人か鑑定したが同じだ。
南へ移動するとやがて海が見える。
東川河口まで来たところ、向こう側に海に迫り出す大地が見えた。
「あれが、あちらの半島郡なのかな・・。」
かなり大きいから単に大地にしか見えない。ずっと海の先まで続いていた。
このあたりは、何故か漁師がいない。海は境界として微妙なせいかもしれない。
マサツグ領側にも人がいない。
次は北へ向かう事にした。目指すは領堺にある関所砦だ。
それは、東川沿岸にある。一度通った道を戻ることになった。
これといった情報も得られずアイリは少し残念だ。
夜に入る前に砦に到着。今日はここで宿泊だ。
砦と言っても石塀で囲まれた平屋でしかない。物見櫓があるわけでもない。
この関所がある位置は、渡河船がある。行商人や旅人が移動するためだ。
もちろん、対岸にもある。
そこにも似たような建物があり、多分兵士がいるのだろう。
翌朝、渡川船で移動する人が見えた。
向こうからやってくる人を鑑定する。
人物事典は同じ反応だった。情報が限定されている。
やがて移動してきた人がカザマ領に入ると鑑定情報が増えた。
人物事典には普段通りの情報が記載された。
アイリの持つスキルの機能は、すべて解明できているわけではない。
今回の結果から、アイリの支配地にいる人間とそうでない人間に
鑑定情報の差があることが分かった。
移動してきたのは、ほとんど行商人だ。半日ほど眺めてみたが同じだった。
移動を判断して、更に北上する。東部3つ目の北東川郡に入った。
そこにも渡川船があり、関所砦がある。
当日はそこに泊まり、翌朝同じ事をした。
結果は同じで、大した発見もないので早々に移動する。
北東川郡役場に入り、周辺探索。翌日には、北中川郡に行く予定だ。
ここまで、役場や関所には行政改革が進んでいた。
税制改革の説明もされていた。領民は、どこでも歓迎しているみたいだった。
東部自由貿易郷の説明が追加されていたのには驚いた。
予定地の区画指示を始めてから数日しか立っていなかったからだ。
一番距離のあるこの地で説明されているということは
準備がかなり進んでいいると言える。行き過ぎた手伝いが大勢いたのだろう。
翌日、東部最後の北中川郡に向かう
1日かけて郡境の関所に到着すると鑑定に反応が出た。
人物鑑定ではなく土地鑑定だ。地域鑑定ともいえるかもしれない。
世界事典に反応が現れる。
「え・・・・」アイリは絶句した。
世界事典が明滅を繰り返した後、世界地図が発生した。但し空白だ。
その中にカザマ領というページがある。見てみるとそこだけ空白ではない。
「なんだこれ?どうなってるの!。」アイリは動揺した。
それは、アイリが視覚鑑定した範囲だけ記載される地図だった。
アイリは、移動しながら鑑定を行っていた。
その部分だけ地図化される機能。
「これRPGでよくある、マッピング機能だ。」
カザマ領の地図を拡大して詳細にしてみる。
タブレットのように使える。
何か、光るマークが出ているところがあった。
そのマーク周辺をさらに拡大する。
「あーこれ、例の機能だわ・・。」
そう、これもよくあるあれだ。マーキング機能だ。
アイリが視覚鑑定をしたものがマーキングされるのだろう。
アイリの情報量が増えたせいなのか
カザマ領を全郡踏破したせいなのかは知らないが
何かかトリガーになって世界事典の機能が成長したようだ。
しかし、世界地図とは大仰だ、カザマ領以外、白しかない。
カザマ領でもアイリが自ら移動したことろしか記載がない。
地図内に移動するマーキングを見つける。
「これ、人物鑑定した人だな・・・。」
前世、オタクの黒歴史を重ねた幼女はもう驚かない。
どちらかというと、世界地図やっちゃったね状態。
と・・いうことはこのマーキングを
タップだか、クリックだかすると・・あれだよね。
移動マーカーをタップ。
「はい、人物事典のページが開きました。」
かー、やりすぎでしょこれ。もう笑うしかない。
案の定というか、予想通りの結果だった。
「キヨスみたいに人が多いところじゃ使えないじゃん。」
そう、マーカーだらけになると予想。
では逆引きならどうか、アイリは試してみることにした。
人物事典から母のアヤノのページを開く。
ページをタップして位置情報確認と心の中で言う。
思うといったほうがいい。
何故かというと、どこにいるのかなと思っただけで
地図が反応したからだ。
地図に領主館周辺が表示され、マーカーが出る。
「おやおやー????」
何故か、アヤノだと思われるマーカーの上に花丸が出ている。
うわっ、やっちゃったのは実は私だなコレ。
アイリは少し反省した。
トリガーうんぬんはいいけど
アイリが欲しいと暗に思う機能が追加される可能性が高い。
花丸マーカー、
それはアヤノのぺージにアイリがつけていた花丸マークだ。
「うわっ・・使えそうでいいけど」
欲望に任せて変な機能付けすぎたな。
アイリは理解した。
確かにトリガーがあってスキルが成長すると思う。
発生条件は不明。
アイリのスキルは、連動性である。機能も連動する。
ここからが問題だ。
スキル成長時に、なんとなくほしいと思っていた機能が
付加される可能性がある。
「人物事典の時に気が付けばよかった・・。」
最初使えないと思っていた世界事典。
確かにアイリが見聞きした情報しか載らない。
だが成長の仕方が面白く、
だんだん、いろいろ使えるようになっていくのは楽しい。
自分のおもちゃとしてはなかなか良いと思う。
それ以降、ますます鑑定と人物事典を使いまくった。
最後の目的地、北中川郡役場へと到着。
丸一日かけて周辺探索をおこなう。
やはり、アイリが自分で動いて鑑定したところが地図化された。
世界地図のマーカーだが
人が多い場合の対処がわかった。
実は人物事典の星マーク、あれが類別機能だったのだ。
「はい、星1つの人だけ表示・・」なんてことができる。
適当に「星3つ」とか使っていいものではなかった。
行商人を皆、星1つにしておくと
行商人だけ地図にマーカーが表示されるという使い方が出来る。
翌日、領主館へ戻ることにした。
全部で10日間程度の旅だった。予定より領内の情報は沢山得た。
それよりもスキルの事が分かったのは大きいと言える。
新しく増えた世界地図、
アイリにとって位置情報がわかるのは大きい。
「この国、いや世界を見て回れば地図が完成する。」
アイリに新しい野望が増えた。
「私は伊能忠敬になる!」
海賊じゃないのかというツッコミは置いておく。
ちなみに伊能忠敬とはかなり正確な日本地図を作製した人だ。




