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No012 アイリの野望、内政編 「防具試作と秘策兵器」 防具と兵器にもこだわってみる。4歳1月~、

アイリは、いつも通り内政指示を終えると

今日もまた鍛冶工舎へと出かける。

このところ、こういった感じで日々過ぎることが多い。


今日は、防具の確認だ。時間が出来たら新兵器も見たい。

「防具の視察は、巻きで行かなきゃ」


防具は、制作が武器ほど難しくはないが、とにかく種類が多い。

アイリが防具に目指しているのは、重厚な和鎧一式ではない。

機能を追求した軽鎧装備だ。戦い方は、機動力重視を目指す。

課題は、軽量化と動きやすさの上で防御力の向上を目指すこと。

オタクロマン的には軍隊装備っぽく見えるのがいい。


鎧、一応、身体全体は守りたい


そこでアイリが提案したのが、鎖帷子。

チェーンアーマとかチェーンメイルともいう。

十字軍時代でも使用された。

鎖帷子と言えば忍者が有名だが、武士でも甲冑の下に着こんでいた。

重ね着ができる利点もある。

こちらが防御重視の鎧となる。


そしてもう一つ、皮鎧。

レザーアーマーやハードレザーアーマーだ。

西洋で実運用された実績はある。

ゲーム世界などの冒険者御用達品でも有名だ。


どちらかというと気休めっぽいのだが

着物よりはいいし木鎧よりは見た目マシって感じ。

よって、素材とデザインの問題だけだ。

防御としては、下に鎖帷子を着る予定にしている。


盾、円形盾にする。決してナベの蓋ではない。

バックラーともいう。中世ヨーロッパでは、結構長く運用されていた。

小型の手盾だ。これも冒険者御用達品でもある。

弓や槍、刀を防ぐ、打撃防御ができるというのが一番の利点だ。


これは単純に素材を鉄か、銅か、木にするかの問題だけだ。

重量とサイズの兼ね合いもある。


兜、まぁヘルメットだよね。

ドイツ軍ヘルメットとかジオン軍ヘルメットにロマンは感じるけど。

デザインタイプは、いわゆるドカヘルでいいと思っている。


頭は大切なので鉄製は譲りがたい。

問題は、出来るだけ重くないようにする工夫が重要となる。

試作しては、現在の刀で叩いて、強度確認するのを繰り返す。


籠手、剣道で有名な奴。ガントレットともいう。

頑丈なら盾代わりになるという冒険者御用達品もある。

忍者とか刀防いだりしてるし。


これに関しては、革に鉄心入れるだけでいいと考えている。

まぁ鉄の細い棒を何本にするか、どれくらい細くできるか程度。


足防具、レガースともいう。スポーツ防具としては有名だ。

小型盾の弱点である足元を守る役割になる。

足元を「薙ぎ払えー」された時の用心でもある。


こちらは、課題的には籠手と同じ。デザインだけ。


軍靴、そのまま革靴のつもり。

戦国時代では足の甲を守ってたけど足の裏大丈夫だったのかな。

靴代わりに足袋タビ履いてたから布靴と言えば靴なんだけど。

足袋アシフクロってカンドウ爺に突っ込み入れられてたなぁ。

一応、靴なら草履や下駄よりは動きやすくなる。


革を使うのは決定事項のようなもので、ほぼデザインのみだ。

足首までカバーできるくらいで良しと考えている。


この中で課題的に終わっていないのが、鎖帷子と盾になる。

他は、すでに量産試作に入っているけどほぼ問題はない。

もちろん担当職人は皆、花丸マーク付きとなっている。


鎖帷子の担当職人は、金属細工が得意な鍛冶師。


シゲゾウ(茂蔵)41歳

かなり鍛冶師としてもベテランだ。もちろん技能も高い。


現在、コストと扱いやすさから銅主体で検討してもらっている。

この国に鎖という概念がなかったのがいたかった。

だから、最初の円形の金属をつなげるということ自体が問題になった。、

それと円形の数の多さは、工程が簡単でなければ量産できない。


まずアイリが指示したのは、細い銅棒の作りからだ。

銅棒を作って、切ってから円に曲げる。ここまでは何も問題はない。

切断面をつなげるところが難しい。

ここには、溶接的技術がない。、


アイリが指示したのは、

少量の溶かした胴を切断面に垂らして成型するという方法。

何とか出来たのだが少し雑な感じだ。

強度に問題ないからいいかと妥協した。


しかし、大量に作るとなるとさすがに大変だ。

今日は少し方向性の修正をしようと思っている。

「シゲさん、お疲れー。」

「おお、お嬢か・・で何を考えてきた?」

事前に方向性を変えてみると連絡してある。


「うん、可動部分は鎖にして、それ以外のところは鉄板にするわ。」

例のウサギポシェットから紙を出して説明する。

「例えば、こんな感じで胸は板で腹は鎖、下腹部は板にする。」

下腹部と言ったが、男性にとって股間近辺は大事だろう。

さすがに鉄パンツを作るわけにはいかない。

「それをつなげるとお腹が曲げられるでしょ。」

これはあくまで例題なので、あとは職人さんに考えてもらう。


「おお、これなら量産しやすくなるな。」

紙に書かれた絵を見ながらシゲゾウは言う。


「問題は鉄板部分の厚みと大きさかな。」

「重すぎると動きにくいから、その検証はしてね。」

一応念だけは押しておくことにした。


「任せろ、鍛冶師だからな。鉄板考えるくらいは、お手の物さ。」

シゲゾウは胸を張る。


「それと皮鎧の下に着るのは無理だから、皮鎧の上に着るように変える。」

とりあえず変更による追加点は言っておく。


「少し、大きめになるわけだな。それは問題ないだろう。」

もう色々考えだしているようだ、シゲゾウは腕を組んで答える。


「じゃ、それでやってみて、また次きたとき見せてね。」

こんな感じでバタバタと話をまとめていく。


「慌ただしいなぁ。じゃあな、お嬢。」

アイリはシゲゾウのもとを去っていく。


次にアイリがやってきたのは、円盾を担当してもらってる鍛冶師。


アサヒコ(朝彦)32歳

かなりの鍛冶技能持ちだが、普段はナベとか作っている職人だ。

以前、フライパンを作ってとお願いしたこともある。

何となく形が似てることもあり、円盾作りの担当をしてもらった。


「アサさん、来たよー。試作、見せて見せて。」


「ほう、お嬢か、忙しくて大変だろ。ここにあるから見てってくれ。」

盾としては、木だけでは無理だと思ったので外枠と中央だけを鉄にしてもらった。

まずはそれを見ることにした。

「鉄と組み合わせてみたけど、やっぱ木はダメだね。」


まあ予想通りだ。次に銅と鉄を見比べてみる。

「鉄と銅って重さ、あんまり変わんない気がするよー。」

見ただけでは違いが分からないから持ってみた。


「実はそれ比べておいた。小さいと気が付かないけどな。」

「前にくれた天秤計とかいうやつで比べたら、銅のほうが重かったぜ。」 

アサヒコは、アイリが来る前にすでに鉄と銅の重さを比べていたようだ。

「えー、じゃあ鉄製で決まりだねー。」


サイズ違いも、用意してくれていた。

「大きさはこれくらいがいいかな。」


「ほう、じゃあ後は形と厚みだけだな。」


「厚みは、軽くしたいけど、鉄刀で叩いたり槍でつついて検証してね。」

「形は真ん中が少し膨らんだ、横から見たら曲がって見える感じ。」

持っていた、紙で絵をかいて説明した。

「裏側に手を入れて持つから、握った時に手が邪魔にならないくらい。」

中華鍋と言ってもわかんないだろうけどそんな感じだ。

あ・・今度中華鍋作ってもらおう。


「それくらいならやっとくぜ。どうせまた見に来るだろ。」


「わかってるねー。それじゃお願いしておくから頑張ってね。」

盾はもう完成するだろう。


アイリが時間を気にして、さっさと終わらせたかったのは

懸案中の新兵器を見たかったからだ。


新兵器とは、投石機である。


投石器には、スリングとカタパルトの2種類ある。

スリングは紐状で石を挟んで回して飛ばすものだが今回は除外だ。

弓と弩があるから、威力や飛距離が比較にならない。


今回のアイリ考案は、カタパルト型の投石機。

攻城戦をするわけではないが、

戦場に大きめの石が飛んでくるというのは、

相手の陣や隊列を乱すのに大いに役立つ。

この国には城がないため攻城兵器がない。

多分驚くだろう、そう言ったところにも目を付けた。


歴史上ではかなり古くからあるので非常に簡易的な形のものもある。

単にシーソー型にして片方に重りを付けておくだけで投石可能だ。

日本でも弥生時代には似たものが使われていた。

今にしてみると、本当に日本人の優秀さがわかる。


飛ばせるのは、石だけではない。

投石器の端の形状を浅い箱型にしておけば何でも飛ばせる。

油壺を飛ばして一面を油で浸し火矢で火をつけるとか

単に藁球に火をつけて飛ばすだけでも効果はある。

考え方によっては、遠距離火計にも使える。


第一次大戦でも手りゅう弾を遠投するときに

小型の投石機を利用していたくらいだ。

応用範囲は広いと思う。


作りも簡単なので、小型模型を作ってもらった。

工夫したのは車で移動できるようにしたため

投石時の反動で動かないように支え足を付けただけだ。

実際の運用では、移動は牛に引っ張ってもらう。


サイズ的には、さほど大きくしないつもりだ。

矢が飛ぶ距離より、やや遠くに飛べばいい。

壁を破壊するわけではないから大きな石はいらない。

要するにやや大きめの荷車に

投石機が乗っている程度でいいわけだ。


荷車の前後に反動を抑える足を4本折りたたんでおく。

投石時にそれを支え足として荷車に取りつける。

クレーン車の支え足と同じイメージ。

クレーンを伸ばすときに横から伸びてくるあれだ。

違いは横方向ではなく前後方向に足が付くというところ。

動いたり倒れないように足を付けて踏ん張ればいい。


重りのついたシーソーの反対側を引き倒すのは、移動で使った牛でいい。

投石器の引き縄の端に鉤状のフックを付けておく。

切り縄の両端にフックを付けておく。

牛のひく引き縄側にもフックを付けておく。

そのフックを全部引っかけるだけで作業は終わりだ。

後は、枝切りバサミの様なもので切り縄を斬る。

それだけで、投石発射できる。

人員も投石機1台で3人もいれば十分だろう。

量産も可能だ。


この話をしたら、技術院を任せてあったゲンタクが立候補した。

大工師にお願いするつもりだったので全く問題ない。

アイリは、小型模型の投石実験を見る。


「ゲンさん、作りは申し分ないね。これは合格だわ。」

それほど大変でもないし、ゲンタクならやれると思っていたから

ほぼ一発合格に近い。


「お嬢、じゃあ実際に使う大きさのも作ってみるか?」

ゲンタクは楽しそうだ。

この話を受けたとき、「こんな経験、一生に一度あるかないかだ。」

と弟子に言ってたそうだ。


「うんゲンさん、実物大の試作機作ってみて。」

これで、実用可能になるだろうとアイリは思った。

「こっちからお願いしたいくらいだぜ、お嬢任せときな。」

自信満々でゲンタクは答える。


何の問題もなく終わったようだ。

「実物試作が合格したら花丸あげるよ・・ふふふ」

アイリは満足そうに鼻を鳴らした。


今試作している武器、防具、兵器が完成すれば戦いが変わる。

アイリは、そう実感していた。




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