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No011 アイリの野望、内政編 「武器試作」 武器にこだわってみる。4歳1月~、

オタク歴女としての拘りです。

アイリはいつも通り、いろいろな内政指示を午前中に終わらせる。

午後は、職人街へと向かい鍛冶工舎へやってきた。

今日は武器の試作進行状況の確認だ。


この鍛冶工舎では

武器防具などを含む兵器の開発に重点を置いている。

鍛冶師、木工職人、革職人、などを集めてそれぞれに指示を出してあり

試作品が作られたのでそれを確認しに来ているのだ。


アイリは試作品を作るにあたり、自ら紙に絵をかいて説明した。

前世の記憶と今世の世界事典を頼りに、

現時点の技術でできるであろうものを割り出した。


まずは部品単位で確認していく

「うーん、これはこうしたほうがいいかな。」

気に入らないものは改善の指示を出す。


合格すると

「よくできました。花丸あげるね・・ふふふ」

と言って手の甲に木版画で作った小さな花丸マークを付ける。

最初は渋い顔をしていた職人もいたのだが

今はこの花丸をもらえることをすごく名誉としているらしい。

「お嬢から花丸もらったぜー」もらった職人が自慢する。

「俺なんかこの間もらったから手を洗わずにとってあるぜ」

いやいや、手は洗ってね。

とにかく職人たちのやる気が維持できたのは良かった。


花丸の木版画はアイリの手作りである。アイリはこれを花丸君と呼ぶ。

ウサギポシェットの中に紙と筆記用具と花丸君を入れて持ち歩いている。

忙しいはずなのにこういうことは、大好きな幼女だ。


試作で合格したものは、量産に入ることができる。

もちろん量産化する場合に不都合が出る場合もある。

量産化の工程自体も試作でしかない。

工程を見直しすることもある。

酷ければ最初からやり直しだ。

職人のやる気を維持させるというのは実はとても大事なことだったりする。


手作りで優秀な一品物を作れというわけだはない。

多人数に持たせる統一規格のものを作るのだ。


鍛冶工舎筆頭鍛冶師

ゴウエイ (剛英)40歳  貴重な鉄工スキルを持っている。

鍛冶技能も申し分はない。


「うーん、うまくいかねぇなぁ」

ゴウエイは、今日もうなっていた。


アイリは、武器の中でも一番重要視している刀の試作を頼んでいる。

ただ作るというわけでなく、技法、工程を確立しなければならない。


この国は、なんちゃって日本の異世界である。

日本の歴史と大きく異なるのが武器防具などの類であった。

技術レベルが、かなり違うのだ。

いや日本の技術レベルが、桁違いに高かったというのが正解だろう。


武器で鉄刀などは使われているが、かなりの粗悪品だった。

折れないように刀身は厚く、大した研磨などされていなかった。

先端もそれほど鋭く尖っていない。

反りもなく直刀のようだ。

斬る突くというより叩くが正解と言える。


アイリの最終目標は、なんちゃって日本刀である。

日本の歴史では、縄文時代にすでに鉄器があった。

弥生時代には、製鉄が始まりそこから技術が研鑽されてきた。

そういった長い歴史があったからこそ日本刀が完成した。


初期の材料は、鉄鉱石の使用から始まるのだが

やがて砂鉄になっていき玉鋼の制作が基本となった。

たたら製鉄という技法が確立されたからだとされる。

しかし意外にも完全に技術が確立されたのは江戸時代とされた。

私の知る現代日本では、この玉鋼という材料を使った工程でできたものが

日本刀とされていた。


何故工程の確立が江戸時代なのか・・・理由は2つ、

1つは、二次大戦の米占領下による刀狩り令

実は日本刀自体は、かなり昔から多様な工程できたものが存在している。

占領下において美術品として古来の鍛錬技法によって作られた刀は

刀狩りから除外できるという法の目をかいくぐった結果、

苦肉の策で継承された1つの工程が生き残った。

それが江戸時代に確立された技法であったというのが推論されている。


2つ目、その江戸時代に確立された砂鉄を使う技法

実は鎖国令により鉄鉱石の輸入がなくなったことがあげられる。

代用として砂鉄が使われたことにより砂鉄から玉鋼を作る技法になった。

結果、玉鋼を素材として利用する工程が日本刀制作の工程となる。


古来刀と称される室町時代前後の日本刀はどうなのか・・。

これは、私の知る現代日本には、ほとんど伝承されていない。

だから、アイリの知識でも古来の製造過程の全てが理解できない。


ここでは、江戸時代以降の技術なんて全く参考にならない。

古来刀こそが長い戦国時代の実戦の刀。

それを目指す・・・結果として、なんちゃって日本刀なわけだ。


アイリは記憶に残っている断片的知識を探る。

鉄鉱石が材料、ある程度の研磨はするがしすぎない程度、

折り返し鍛錬とは違う方法、

焼き入れ焼き直しに工夫されている。

刀身が意外に柔らかい・・・実は、鋼材と軟材の練り合わせで素材が作られた。

丸鍛えという技法・・これは一枚の素材で作るものだったはず。

これらは現代日本では忌み嫌われるやり方だ。


「うーん、私がよく知る日本刀とは根本的に違う気がするなぁ・・」


しかし、そのつたない知識で、この国のこの時代に合わせた技法を作るしかない。

それがアイリの結論だ。


現在この国では鉄がある。鉄鉱石が入手できるからだ。

これは古来日本に近い条件だと言えるよね。

すると材料の鉄鉱石の質にまず、何かあるのかなぁ。

たぶん現在の鉄刀は材料が一種類で、熱してて叩くだけで作ってるわね。

だから薄くすると折れやすくなるし、研磨しすぎると刃こぼれしやすくなる。


頭の中で整理したことを、ゴウエイに指示していく。

「材料の選別から始めます。商人たちから様々な鉄鉱石を買い集めましょう。」

「それを熱して叩いてみてください・そうすれば違いが判るかもしれません」

「私の予想するに、硬いのと柔らかいの2種類の鉄鉱石を使うのがいいはず。」

「なので材料選別出来たら、練り合わせて素材を作ってください。」


第一段階の試作、素材作り・・これがアイリの注文だ。


そして今、ゴウエイが悩んでいるのは第二段階。

材料の配分と焼き入れ焼き直し具合による刀身の強度の問題。


アイリのイメージは日本刀だ。

古来日本刀の形であっても、現在のこの地の鉄刀と比べると

刀身は長く細く薄く先端は鋭い。


ある程度の材料を絞ってきたものの、2種類を混ぜ合わせる場合の配分が不明。

焼き入れ焼き直しの程度が不明。

叩き具合も不明。

「柔らかく折れないというのが難しいんだよな」ゴウエイは呻く


そこへちょうどアイリが工房に入ってきた。

「ゴウエイのおじちゃん。」

「今日はいい物持ってきたからあげるね。・・・ふふふ」

幼女が手にしていたのは、1本の剣であった。


「なんかねぇー、商人さんが、手に入れたんだよね。これ。」

小さな身体に似合わない長さの剣を、ゴウエイに差し出してきた。


それは、やや曲った刀のようだが、刀身の幅や薄さ先が尖っているなど

日本刀との類似点がある。

たぶんこれ、異世界のシミターかシャシムールかな・・。


前世歴史だと中世ペルシアあたり、形から14世紀後期くらいかな。

モンゴル帝国の影響で曲剣が流行ったから。

それの曲がり具合が少しづつ直線気味になっていった。

これだけ細身で曲がり方が反る程度になると以後はサーベルの時代だ。


前世日本で言えば鎌倉幕府以降だといえる。

室町時代が1336~1573年だから、

この世界の年代は、やっぱり室町時代あたりか・・。

1400年後半だと仮定すると、応仁の乱の頃だし

1500年代に入れば戦国時代となる。


それにしては、技術や文化レベルが低いし、独自性も多い。

まぁ異世界だからね。

あくまで、前世の歴史は比較にならないようだ。

アイリは、その剣を手に入れたときにそう思った。


「ゴウエイのおじちゃん。」

「この国の刀とは異なるけど、少しは参考になるかな。」、

参考になるかどうかと言えば、難しいのだが

ゴウエイは、この国の刀とまったく別の刀を見るのは初めてだった。


しかし、職人としては「こんなもの作る奴がいるとは負けられないなぁ」となる。

やる気を取り戻して再び、アイリの無理な注文を叶える努力をするのだった。


アイリは次に槍作りをしている職人の所へ行く。


アイリの注文する槍は、この国の長槍とは異なる形だ。

ハルバートのような、斧槍の形状。

先端は、槍だから鋭く尖ってはいるものの、

槍先の下には、斧のような刃形状が付いている。

斧は大きすぎると先が重くなるので小さめにした。


最初、アイリがイメージしたのは、三国志武将が持っていた方天画戟。

ロマンは忘れない幼女だ。ああ・・オタク歴女だった。

しかし、大量生産しなければならない。

技術的に考えて、作りやすい形状に修正をおこなった。


刺すだけでなく、叩きつけての攻撃も可能だ。

「大軍で薙ぎ払えーとか面白そう・・・ふふふ」

いや、大人数で振り回すなど無理な話だ。実際なら隣が邪魔でしょうがない。

しかし、オタクロマンを忘れない相変わらずのアイリである。


もちろん全員同じ装備に統一するため、長さの基準を決めた。

試行錯誤して、長さを2.5~2.7メートル程度とした。

一応単位は尺だが、アイリ感覚で言う1メートルが1尺だ。

歴史と全然違うのはアイリが産業院に圧力をかけた性である。

ちなみに1寸は1センチになる。あいまいなアイリ感覚基準なのだが。

その長さなら騎乗でも使えるかもしれない。


振り回しても邪魔にならない程度で、槍衾にするためにはそこそこの長さは必要。

三間槍だの四間槍だのにしなかったのは、取り回しが邪魔だからだ。

どこかの武将曰く「長槍は突くものではなく叩くもの」らしいのだが・・・

「柄が木材なら長すぎると曲がっちゃうよ。振り上げるだけで大変だし。」

遠くから叩かれて「イタタタ・・嫌だもう」にはなるだろうけど・・。

使えないロマンは採用しないでおくことにした。


ちなみに、信長の長槍部隊が使用したとされる3間半槍は、約6メートル。

再現して検証されたが重さ3キロ強だ。意外に軽い。

当時の身長が150センチ程度だとすると持ってるだけで威圧感は出るだろね。

検証者曰く「使えん・・」だったらしい。身長180センチ現代人のお言葉だ。

一応歴史上、強かったとされる長槍部隊の長槍は3.5メートル程度。


実は槍兵とは、歩兵を意味する。

アイリは、中世の西洋イメージを入れ、歩兵として活用するつもりだ。

だから軽円盾も装備させる気でいる。

西洋の歩兵である槍部隊でファランクスという戦闘隊形が有名だが

そちらでも6メートル級の槍を使っていた人がいたらしい。


相手が長い槍持ってきても、遠距離投射攻撃しちゃうつもりだから

長さ競争にはこだわず、運用と威力重視の方向性でいいと思う。

これがアイリの結論だ。


盾に関しては、突撃時や前進時は手に持つが、これは弓対策的なものだ。

ファランクスを意識しているわけではない。

あれは機動力のある刀を持つ兵がいたら使えないとアイリは思っている。


盾は移動中や部隊の転回をする場合など、腕に装着できるように考えている。

また、腕に装着するというのは、槍を両手で持つことができる時でもある。

アイリ風に言えば、「薙ぎ払えー」と言いたい感じらしいのだが

実際には、横に振りぬくのではなく、上から下に振り下ろし叩きつける。

この場合に、斧形状が有効となる。

槍で押し込み動きが停滞や膠着したら叩くに代わる。


槍を任されているのは、ゴウエイの弟子。

ゴウエイ曰く、この槍なら刀より簡単だから弟子で充分らしい。


弟子は、ツネトキ(恒時)31歳

スキル持ちではないが、経験も多く、技能も高いので十分な人材だ。

「おお、嬢ちゃん。頼まれてた試作とやら、出来たけどどう?」

アイリもいろいろ呼ばれるが、職人さんたちは「嬢ちゃん」という呼び方が多い。


「うん、形としてはいいけど、もう少し槍の先端部分を長めにして欲しいかな。」

長槍と違って突きも重視している。

「あと、斧使うとき叩き割れる感じがいいな。でもほとんど完成だね。」

槍のほうは、順調のようだとアイリは思った。

「おし、じゃぁもう少しだな。花丸待ってるから頑張るぜ。」

ツネトキは、いい感触がもらえて機嫌がいいようだ。


「じゃあ、また次きたとき見せてね。」と言ってアイリは、鍜治場を離れる。


次に見るのは、射撃武器。木工職人のところだ。

直線的に狙い撃つためのものを注文している。


本当は銃が欲しいのだが、技術力が無いので断念した。

代替え案として、弩を考案した。いわゆるクロスボウである。

簡単に出来るかと思っていたが、使うとき取り扱いにやや苦戦した。

現状は、サイズをやや小型にして軽量化しているところだ。


当初より威力や距離は劣るが取り回しやすく扱いがいいと考えた。

とはいえ、殺傷力が落ちすぎてもいけない。

すぐに壊れてしまうようでもいけない。

結局、作って試射することを繰り返すので結構忍耐が必要になった。


弩が日本歴史で活用されなかった理由として

一番よく言われるのが日本人の弓の技能が高く

連射性能において、弩が不利だったという説がある。


弩の有利性である距離と威力についてだが

日本のように和弓を使い弓技能が高ければ、

他国の弓兵より、かなり高い性能は示したが

実際の所は、弩のほうが威力も距離も上だった。


実は、鎌倉時代に弩が輸入されてきたが

ちょうどその時代は鎌倉武士の時代で、騎馬が発達した時だ。

騎馬の発達は、和鎧が重厚になったという背景もある。

重い鎧で移動するには馬は便利だからだ。


騎乗して弓が扱える鎌倉武士の技能が高かったとも言える。

弩では騎乗に向かないからだ。

弦を引いてから矢をつがえるという2度手間が必要になる。

弓は矢をつがえながら弦を引ける。

そう言った背景で弩という武器は消えていったのが日本の歴史だ。


馬は、木曽馬のような小型の日本馬だった。

戦国武士の身長は150センチ程度、

場合によってはそれより小さかったりする。

小型の馬でも充分乗用に適している。


それと、鎧の重さだ。

戦国時代の戦い方は、突撃撤退を繰り返すヒット&ウェイ

重厚な鎧武者が軽快に移動できるわけでもなく

足軽などの軽装兵と同じ速度で移動しようと思えば

自分の足でなく馬のほうが早い。


ただ、間違えてはいけないが

日本馬の速度は、鎧武者を乗せたら人間の小走り程度だとされている。

突撃と言ってもその程度の速度で充分な戦い方だったのだとも言える。

ただ馬の操作性の高さには利点もある。


飛び越え、転回、乗馬のうまい人なら横移動も可能だ。

山間部においても鎧を着て移動するなら馬のほうが便利だ。

但し、戦場以外では鎧は着ていなかったという説もあり、

移動時などは馬に鎧を乗せてを引いていたとも言われている。


一方、この世界において、重厚な日本鎧は存在しない。

軽装鎧程度だから、騎乗するのは珍しい。

弩の活用としては、信長鉄砲隊の3弾撃ちの逸話を真似る。

3人入れ替わり交代ではなく、補助をしたタイプの方だが。

実際には、弦を引き矢をつがえるサポートがいれば

連射が可能となる。


火縄銃の運用に関しても、連射する場合は

火薬を入れて弾を入れる人間と射手は別だったと言われている。

今回、3人組で助手2名、射手1名の小隊での運用を考えている。

弩を2つ準備して順に回せば、運用で連射の弱点を補える。


また、弓の特徴である曲射と弩の直射を組み合わせれば

長距離戦闘において、矢を避けようがなくなる。

それと、弩の最大の利点は、弓と違い射手の技能がそれほど高くなくても

命中精度が確保できるというのもある。


サポートを使えば射手は射撃体勢を維持できることから。

更に、命中率があげられるだろうと予測した。

これらが弩の採用につながっている。


これに加え、弩は接近されると弓より退避しにくくなる。

この場合を考え、接近されたらサポート役が守備に回り

射手を戦場から退避させやすくするつもりだ。


弩の威力維持のためには弦を弾いて戻す弓部分の質が大切になる。

木材の反発力を上げる工夫が必要になった。

弓部分を大きく丈夫にすれば威力は上がるが

弦を引くときに異常に力を入れなければならず、合わせて重量も増える。


弩の弦を引く際に弓部に足をかけて弦を引く挿絵が残っているくらいだ。

城塞においての守備時ならともかく、それでは野戦には向かない。

弩をよく使っていた中国などでは、野戦で大型の弩を運用する場合

実は、1発撃って撤退するという物だったりする。


前世の歴史で解決されなかったこの小型軽量化の課題は厳しい。

弓部を小型化すると反発力が増して力が多く必要になる。

かといって軽量化すると反発に負けて折れてしまう。

現在、素材の異なる木材や竹を重ね合わせるなど、

合板の工夫を行っている。

それが、なかなかうまくいかないところだ。


担当する木工職人は、木工職人長

カクジン (格仁) 38歳

彼も職人としての技能レベルは高い。職歴も長いので安心して任せられる。

以前、弓を改良して和弓に近いものを作ってもらった。

それからの付き合いでもある。


この国の弓は、木材主体の丸弓が使われていた。

弓は猟師が使うことが多く、森の中という使用条件のせいか

サイズが小さかった。この国の丸弓は1メートル弱程度。

日本の和弓は2.2メートル程あったから半分以下だ。


幼女のアイリにとっては、使用に問題なかったのだが

戦場の武器としては飛距離が足りない。

そのせいもあるのか、この国で弓兵は珍しい存在だ。

弓兵がいても猟師が兵に雇われたりしてたのだろうか。

武術としての嗜みで武官も弓を扱うが、基本は刀か槍となる。


そこで、主材に木を使い竹で前後を挟み熱で成型する方法を伝え。

なんちゃって和弓を製造してもらった。

サイズは日本和弓よりやや小さめ2メートル弱。

和弓独特な形状も絵にかいて説明した。


アイリの直営する弓術道場の弓は、このなんちゃって和弓を使っている。

弓兵の弓もこれにするつもりだ。

しかし、さすがに弩ともなると、かなり違いが大きい。


「カクさん、うまくいってる?」アイリは言葉をかける。


「嬢ちゃん、なかなか苦戦してるよ。」

だろうと思っていたから見に来てるんだよね。


「弓部の素材にてこずるならと、面白いもの考えてきた。」


「弦を引くカラクリ機構なんだけど・・・。」

ウサギポシェットから紙を出す。

アイリが準備していた紙には歯車が書かれていた。

「こうやってね、これを組み合わせると小さい力で大きい力が出せるよ。」

「これだと弓部が頑丈でも大丈夫だから素材検討が楽になるかなって。」


「おいおい、嬢ちゃん。こりゃなんだ。」カクジンは驚いている。


「歯車っていう物なの、いろんな組み合わせで力が伝えられるもの。」

「カクさんなら、こんな形でも木で作れるでしょ。これも検証してほしいな。」

これは巻き取り機だ。アイリの最終秘策でもある。


「すげーな、一度作ってみるわ。面白そうだしな。」

「嬢ちゃん、こんなの考え付くなんて、やっぱただもんじゃねーな。」

木工職人の血が騒いだのか、カラクリ機構に目覚めたのか

カクジンはやる気満々になった。


「じゃぁ次来る時までに、試作しておいてね。」

アイリは、カクジンに手を振ってからトコトコ出口へ歩いて行く。


こうしてこの日は終わった。

こういう試行錯誤を繰り返し、試作は進んでいく。




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