私と氷河の山
氷河の山 -その場は、かつて特に特徴もなく、周りの山より高いだけで他はなんら変わらない場所だった。しかしある日のこと
何やら、その山の頂上付近からとてつもない冷気が吹き出すでは無いか、その凄まじいほどの冷気は止まる気配が見えず、何ヶ月、何年と吹き荒れている。そのおかげか雪が積もりに積もり高い標高が更に高くなり、積もった雪やら氷やらが自重により固まり氷河の山と言われるようになった-
話を聞いたフシは夜が明けた今、その場所に行ってみることにした。
「それじゃ、私は氷河の山に登って景色を見てみるよ。」
「フシ殿には、あまり変わり映えしないかも知れませんが、いつもと違った景色というのも乙でございます。」
「うん、そうだね。」
それから、フシは身体を1、2m程に戻し飛び立たんとするが、リナちゃんの様子が気になった。
「ほら、リナ、フシさんもう行ってしまうわよ、」
「うー」
何やら、リナちゃんは母親の影に隠れこちらを見ている様子
「ふむ、リナちゃんどうかしたかい?」
フシが近づきそう聞くとリナちゃんは、不貞腐れたようなおもむきでこう言う。
「だって、フシさん、もう行っちゃうんでしょ?、つれてってほしいのに……」
「さて、どうしたものか。」
フシは困ってしまった、永く生き続きてはいたがこういったやり取りをあまりしてこなかった為、どうすれば機嫌を治してくれるか検討もつかない。だか、代わりに連れていく訳にもいかない。どうしたものか。
「フシ殿、お困りならば氷河の山の頂上に咲くとされる、氷華を取ってきてはいかがでしょう?」
「氷華?」
「ええ、氷華は酷い極寒と魔力が漂う中、月の明かりで一晩だけ、その花を咲かせると言われ、とても美しいと聞き及んでおります。」
女の子の機嫌を取るには、ピッタリですよ。と村長が言う。
「(確かに、いい案かもしれないな)リナちゃん、どうだろう?氷華を取ってくるから、それで許しては貰えないだろうか?」
するとリナちゃんは、少し顔を上げこう言った。
「別に、華じゃなくても…… じゃあ、帰ってきたあと、また背中に乗せて飛んでくれる?」
「もちろん!」
リナちゃんは、その言葉を聞くと顔を綻ばせた
「なら、ゆるしていいよ!」
「まったく、この子は、調子いいんだから。では、フシさんいくら不死鳥でもお気をつけて。」
「ああ、ありがとう。では、いってくるねー!」
「いってらっしゃーい!」
そうして、別れたフシは、羽を広げ氷河の山へと飛んで行く
しばらく飛び続け、白い山、氷河の山に近づくにつれ吹雪が激しくなっていく、普通の鳥や人間ならば、何の準備もなしに来ていれば凍えているし、近づきもしないだろう。
あいにく、フシは不死鳥、不死なうえその身に炎も纏うためなんの障害にもならなかった。それに、目的は綺麗な景色と綺麗な華だ。
「ふぅー、だいぶ見通しが悪くなってきたが、まだまだ、大丈夫だね、……おっあれだね?」
近づき、その目で捉えた氷河の山は、まさしく氷の権化と言って差し支えないほど雪と氷を覆われ、吹雪を纏っていた。
「おおー、こうしてみると、やはり、とても綺麗だねー、それに、頂上は高すぎて雲の上にあるみたいだね、」
「まぁ、確かに氷華が咲くには、極寒と魔力の他に月明かりもいるからね、雲の上にない限りこの吹雪だ月明かりなんて当たらないか、」
「それに、私の考えが正しければ、冷気の吹き出す原因は……」
そうして飛んでいくうちに、フシは頂上までたどり着いていた。
「やっぱり 《フシギ》が原因か。」
そして、フシが見たのは、頂上にある謎の黒い穴から冷気が吹き出している光景だった。




