私、魔剣の暴走
次の日もまだまだ観光を続けるフシ。朝に木の上で目を覚まし軽いストレッチと運動のため42.195km飛び
武器や防具売り場へと足、もとい羽をのばした。
「いやはや、色々売ってるんだね、子供用の剣から、大人でも扱いが難しい、古代の魔剣まで……これここに置いていいのか?」
と色々見て回りながら観光を楽しんでいたフシであったが、ふと遠くの方で人々の喧騒が聞こえ、「またこれ、火酒の大飲み王、みたいなものがあるのかと」思い羽をのばす。
「さーて、お次はどんなものがやっているのかなっと、おやこれは。」
そしてフシが見た光景とは、二人組の男による、魔剣のお披露目だった。
「さぁさぁ、よってらっしゃい、見てらっしゃい!」
「これより執り行われるは、火の魔剣による試し斬り!私たちが丹精込めて作った、超絶すごい剣とくとご覧あれ!」
そうして出された魔剣を見てフシは眉を顰める、見た瞬間に感じ取ってしまったのだその見た目からもわかる程の禍々しい気配と濃密な怒気を。その禍々しい見た目から見に来ていた観客たちもざわざわとし始めたケロッとして二人は気にする様子を見せない。
「みなさま!大丈夫でございます!確かにこちらの魔剣、確も恐ろしく禍々しい見た目をしておりますが」
「はい!見た目だけで危険はところは一切なし!そして万が一に備え水魔法の籠められた魔道具を準備しておりますのでご安心ください!」
それでも尚、どよめきは収まりきらないが気にせず、魔剣の紹介を続ける。
「ではまず取り出すはこちらの丸太!こちらを魔剣で切った上で炭へと早変わりさせてみせましょう!おりゃ!」
と片方が丸太を投げ、もう片方が魔剣をその丸太めがけ思いっきり振り下ろし切った途端にボっ!と火を纏い魔剣により一瞬にして丸太は炭化どころがすぐさま燃え尽き跡形もなく消えてしまった。その様子を見たフシは確信を得たかのように眉間に皺を寄せ鋭く魔剣を観察する、すぐさまにも警告し止めた方がいいだろうがもし警告してる内に火に巻かれたものが出ればおしまいだ。ここは慎重に隙を見て吹き飛ばすしかないと考え直ぐにでも実行可能にするため構えを取りながら待機する。その間にも次々と魔剣は試し斬りを重ね対象を塵と化す。
木の模型をスパスパと切り伏せた後丸太同様に消し去り、次に手頃な肉の塊を、布を何重にも巻いた竹を、対象を切れば切るほど燃やせば燃やすほどに禍々しい見た目を増す魔剣。次に出したのが、十何冊と重ねた分厚い本を一番上から一番下まで切り裂き土台の板材までも貫通し本を燃やし板材まで燃えそうになったが間一髪のところ物を投げていた男が魔道具を使いなんとか消化し額の汗を拭う。
「ふぅー、ど、どうでしょうかこんなにも切り伏せようとも一切切り味が落ちた様子を見せず火の勢いも衰えを知らないがごとく対象を燃やし尽くします!」
そう力説するが観客は、切り伏せ燃やしたことに興奮よりも危険性を危惧してむしろ盛り下がっていた。
そのことに危機感を示した二人組は今度は大きな鉄くずを取りだし、次は刃を当てず炎の斬撃を飛ばし切り裂いてみせると豪語する。さすがにこれ以上魔剣を成長させる訳にはいかないフシ、吹き飛ばすため飛び出したが、その気配を察知してか、しないでか一気に禍々しい見た目と気配が増大し強大な炎を吹き出し周り全てを燃やそうとするが間一髪間に合い目にも止まらず男の手から弾き飛ばし一旦上空そして街の外へと飛ばした。
「ふぇ?あ、あれ熱くない?あれ?魔剣が火がなくなった?」
そのことを認識できなかった二人組の男たちと観客は疑問に思うが何とか一息付き、男たちは事情を聞くため街の警備隊の人に連れていかれ、何とか騒動は収まった。
「さて、あとは吹き飛ばしたあの魔剣、処理するだけだな、」
「おい、フシあの魔剣どうする気だ?」
処理をしにフシが魔剣の元へ行こうとするとフシに声をかける者がいた
「ん?おやガンザじゃないか、どうするも何も処理をしに消しに行くだけだよ、心配しなくともどこにも被害は出さないよ。それにしても私の動きが見えていたんだね?」
「ああ、何とかな最もお前が周りを気にせず更にスピードを出していたら分からなかったかも知れないがな……信用してもいいんだな?」
ガンザの問いにフシは笑い応える
「そうだね、信用というより安心してもいいよ。元凶を叩くから。」
「・・・・そうか、ならば一先ず安心しておこう、だが念の為準備はさせてもらうぞ?」
「うん、もちろん。会ったばかりなのに悪いね」
その言葉にガンザはなんでもないように答える
「なに、飲み仲間からの頼みだ、気にするな」
「ふふ、ありがとう」
その後魔剣を追いかけて飛び出し街を出るフシ。
すると見えてきた魔剣だが鍔から黒い触手が六本ほど出ており尚且つ刃の腹部分には幾つもの目がギョロギョロと動き最早呪いの魔剣と言われる姿に変わっていた。フシを認識した途端甲高い叫び声を上げ威圧して敵意を向けてくる魔剣
「ギョエェェ!!おのれおのれおのれおのれおのれ!貴様か!キサマナノカ!我が野望邪魔した不届き者はぁ!」
「ああ、そうだよ特に興味もないけど君、凶悪な魔物かな?大方人に恨みがあるとかそういう下らないことでしょ?」
その言葉に更に怒気を強めこちらを睨む魔剣
「ああ!そうだ、ソウダトモ!だと言うのにキサマキサマキサマキサマキサマキサマキサマァ!邪魔をよくも!邪魔をシテクレタナァ!我が炎に包まれ苦しみながら我が糧となり消えてユケェ!」
次にはフシの周りが禍々しい炎に包まれ今にも取り込まんとする様に襲いかかってきた
「フハハハハハハ!ドウダ!我が道を邪魔をするからそうなる!サァ、今こそ糧となりその悲鳴をキカセロ!!」
「残念ながらそれは不可能だよ、そもそも君の炎は私にとっては弱すぎる高々数十年生きただけの若造の炎が通じるはずがないだろう。」
「ナンダト!」
魔剣はフシの姿を見て驚愕する、何しろ魔剣の炎はフシに襲いかかっているというのに逆にまるで元々フシの物だったように吸収されていくのだから。
「ナンダ!ナニガオコッテイル!アリエナイ、アリエテナルモノカァ!」
「有り得るのさ、こんな微量なエネルギーなら簡単に吸収できる。そういった生物なんでね、」
魔剣はその言葉に言葉を失い自暴自棄になり自らの刃で襲いかかる
「ウソダ、ウソダァァァ!クソォ!」
「消えろ、これが本当の炎だよ。【不滅の炎】」
その言葉と共に羽を広げ深紅の炎を纏い魔剣を燃やし尽くした。
「ギィギャァァァァ!」
そのまま魔剣のみを燃やし最早そこには何も残ってはいなかった。
連れていかれた二人組の男たちは事情を聞かれだけで注意はされたものの逮捕まではされなかった。
魔剣の魔物はただの魔物だった頃から人が嫌いで人に討たれ怨みが募り魔石に意識が宿り二人組の男に拾われ魔剣となったそうだ




