私と別れと頑固ジジイ
「ぇ、?もう大丈夫ってどういうこと?」
突然のフシからの宣言に呆然となるケメル。
そんなケメルを見ながらぽつぽつと説明を始める
「いやー、単純にもう大丈夫かなって思ってね?」
「最初は君は人に話しかけるのも、一苦労でまったく商人に向いてないと思ったし、正直私、判断間違ったかなって思ってなんだけど」
「フシさん、言葉に気をつけて……お、俺今すごい泣きそう・・・・・」
突然の暴言に驚き、そう言って目から涙を溢れさせ涙声で訴えるケメルに苦笑するフシ「けど」と言葉を続ける
「けど、ここ数日で凄く成長したね、今じゃ、街で挨拶されても笑顔で挨拶を返して、これからは領主のところにお抱えの商人だ。これから、必要な知識とコネを学んでいくだろう。」
「・・・・・、き、気をつけてって言ったじゃないですか〜……もう、前が見えないですよ〜」
「せっかく、別の意味で領主の所では我慢したのにっ」
そう言い溢れんばかりに涙を流し鼻まで垂らす始末
それでも、何とか持ち直しフシを真剣な眼差しで見つめながら、真意を問う
「本気……なんですね。」
「そうだね、」
「どうして、か聞いてもいいですか?」
そう問われ、すこし考えたあとゆっくりと語り出す
「何故、かそうだね。まずは君がもう私が近くで見守る必要がないほど強くなったこと、元々商売としては役に立たなかったし、今じゃ、あの領主が君を育たててくれそうだしね。あの人なんだかんだ言っていい人だよ?」
「そうですね、商品価値が、とか何とか言ってましたけど。半分は俺を心配して言ってくれたんだと分かります。絶対、認めないと思いますけど。」
ケメルは、そう苦笑し、さらに問う。
「まずはってことはまだ、あるんですよね?」
「うん、2つ目は、宿り木はふたつも要らないと思ったから、」
「宿り木?」
「うん・・・・・最初は私の存在が心を支え、ここまで来たでも、強大すぎる存在はいずれ依存の対象となる、
君は心が強い子だ、万が一にもならないとは思う」
「なら、「けどね」っ!」
「周りの人間はそうとは限らない。君はこれから立派な商人になる。そうなれば必然的に多くの人間と関わり、私が不死鳥という答えにたどり着くものも増えていくだろう。領主も気づいていたしね、そうなれば君は必要以上によこしまな考えをもった者と対峙する必要が出てくる。元々、立派になったら別れるつもりだったしね?」
だから、これからは領主について行き学びを得るといい、とそう語るフシにケメルは、考えた、これは俺が未熟なせいか。とフシさんを護る力がないから別れることになるのか。一縷の望みにかけて再度、問いかける
「ど、どうしても、考えは変わりませんか。」
「うん」
「ま、まだ俺は未熟です!領主様に学ぶって言ってもまだ掛かりますし、まだ一緒にいても……」
「いや、別れるならば早い方がいい、学ぶのなら領主の所でしっかりと学びなさい。いつか、私と別れてしまうという考えがあっては、君の学びの妨げとなる。」
ケメルは、フシのその言葉に「そんなことはない!」とはっきり言えなかった。
そしてまた、フシがケメルの肩に乗り語りかける
「その代わり、しっかりと学びなさい。あれほどの凄腕の領主の所で吸収できる物はどんどん取り込んで、いつか、立派な大商人になったらまた、会いに来る」
「また、そんなこと言って……泣きそうになるじゃないですか。」
「考えは変わらないんですね・・・・・」
「うん、」
「ハァ〜〜、わかりました。なら待っててください
すぐに知識を吸収して立派な大商人になって、また、また!貴方を見つけます。」
「ああ、待ってるよ。」
こうして、ケメルと別れることとなったフシは明朝、
再会の約束を交わし宿の窓から一気に飛び立った。
リフュルーの街からしばらく飛んで、身体を紅色に戻し、森上空を飛んでいると、何やら老人が剣を持ちモンスターと戦っていた。
キィィン、ガキン、と何度かモンスターと老人の武器がぶつかり合う互角の勝負
老人の見た目は歳に見合わぬガッシリとした肉体、使っている武器も見た感じ何度ぶつかっても刃こぼれもひとつしていない。
戦っているモンスターは銀牙狼の様だあいつは、牙が銀、毛皮は鉄のように硬くしなやかで有名で素早く、爪と牙の攻撃が強烈だ。
普通の老人ならばすぐにやられているモンスターだが
と次の瞬間、突然老人が膝をつき銀牙狼の爪を受け吹き飛ばされてしまう。何とか剣を受け致命傷を避けたが左腕を痛めていた。ここままでは危ないと思い、出助けすることに
銀牙狼の前右脚と後ろ左脚をバードリルで吹き飛ばし体制を崩す
「ご老人、今だー!」
その言葉を受け、剣を銀牙狼の目に突き刺し次に喉元を切り裂く。
「ふぅー、危なかっなね、ご老人って!」
スタスタスタスタ……
怪我をした状態でどこかに行こうとしていた森の奥の方に、なので老人の目の前に瞬時に行き進行方向を塞ぐ
「どこに行く気だい?そんな怪我で森の奥に行ったら、次こそ、その命無くなるよ?人の命はひとつ限りなんだから……大切にしないと。」
フシのその言葉に眉を顰め口元を歪めフンッと鼻で笑う。まるで「わかってらい!」とでも言いたげな表情だ。
「テメェにゃあ、関係あるめいよ、奇怪な鳥め!」
「関係あるよっ!私は!君の命の恩人だ!助けた命を無為に捨てられたら困る!」
「そもそも、君はこんな森の奥になんの用だったのさ?」
そう聞くと、老人は次は顔全体を歪め、「銀牙狼の牙に用だったんだよ・・・・・」といい、フシは疑問に思う
「銀牙狼ならさっきふたりで倒したじゃないか?
なら早く解体してお帰り。」
「けっ!誰がどこの鳥の骨とも知らねぇ野郎と倒したやつを自分の手柄にせにゃならんのだ!」
「わしはのぉ、自分一人で倒し、牙を取る必要があったつうのにどこかの鳥に邪魔されたっ!」
フシは思ったこの子、頑固だ、所謂頑固ジジイってやつだ、たぶん。と
「だから、わしはこのまま森に入っ、て、もう……い……ちど。」
と、言葉を言っている最中に倒れてしまった。
フシは仕方ないと思い、身体を大きくし老人を背に乗せ、銀牙狼の牙とついでに毛皮を取り。のっそ、のっそと一先ず森を出るため歩き出した。
そうして、歩いていると老人が呻き、目を開け目覚めた。
「んっ、おう、わしは一体?確か奇怪な鳥に素材回収を邪魔されて……」
「誰が、奇怪な鳥かっ……私はフシだよ」
そう話しかけると老人はギョッ、とした顔となり、驚く
「てってめぇは、さっきの奇怪な鳥っ!な、なんでわしはオメェの背に乗ってんだっ!?しかもてめぇ、さっきはそこまで大きくなってなかったろ!」
そう騒ぎ出す老人にフシは少し面倒と思いつつ疑問に答えた。
「まず、順番に説明すると、背に乗っている理由は、私が倒れた君を森の外に移動させるため、「なんだとっ!」ひとまず聞いてっ!それで、身体が大きいのは、私自身、大きさを好きに変化させられるからかな?」
その説明を聞き、老人は疲れた様子で、口を開いた
「あ゛〜、もういい。疲れた、何やら銀牙狼の牙があるし、毛皮まである、これ剥がすの大変なんだぞ?、それをてめぇ、疲れた様子がとくねぇし、あれから日が結構動いてんじゃねぇか。昼頃か?てっことはだっ!それだけ歩いてわしを背負った状態で元気ピンピンとか、もういい・・・・・」
「それで?君の家はどこ?君、老体にしては元気だけどそこまで遠くないでしょ?」
「あ?あ゛〜森の中だ、周りを見るに幸いこの近くだ。けっ!あれだけ啖呵切ってこのザマとは、あのガキが五月蝿そうだ……」
「あのガキ?」
「……とりあえず、この先をまっすぐあるてりゃ家がポツンとある、感謝はするが、ちと黙ってろ・・・・・」
その言葉にフシは特に言うことも聞くこともなかったため、その言葉を聞き傷に触らぬようのっそり歩きいたら、本当にポツンと家があり何やら、少年が一人家の前で待っていた。
「ねぇ、あの子が君の言っていた子供かい?」
その言葉に顔を少しあげ、目視した瞬間顰め気怠げそうにああ、といい顔を下げた
すると少年がこちらに気づき声を上げる
「?、オッホー!スッゲー!デケェ鳥!なんで!?
なんで、デケェ鳥が家に来たの?あれ?ジジイ何鳥に乗ってんの?ずりぃ!ずりぃジジイだけデケェ鳥に乗って俺も乗せろ〜!あれっ?ジジイ怪我してんの?
なんで?なんで?あっ!わかった!銀牙狼だろ!
なーんだ、ジジイ怪我してんじゃん!あんな犬、楽勝だっとか言ってた癖にアッハッハー、アハハハハ」
早口でどんどん喋っていく大笑いする少年にフシはついていけず呆然としていたが少年が笑った瞬間、我慢の限界と言わんばかりに老人が少年の頭を掴み怒鳴る。
「いつまで、笑ってんだ!クソガキがー!」
「イデッ、イデデデデッ、ごめん、許してジジイ!」
「それに、ダレガ!ジジイダァー!」
「ごめんなさい!おじいちゃーん!」
そんな光景を挟まれた状態で聞いたフシはとりあえず
老人を手当し手寝かせた方がと考えていた。




