◆◆◆第53話:全米が泣く超大作映画化? だったらスクリーンを丸めて「特大の抱き枕」にしちゃえ!◆◆◆
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「すぅ……すぅ……緞帳のお布団、最高……もう一生動かない……」
最高級のベルベット緞帳(掛け布団)に包まれ、トラックの荷台の上で、もはや物理的にも概念的にも完全な「引きこもり状態」を完成させたシーラ。
しかし、大人の集金システムにおける【究極の到達点】が、ついにその重い口を開いた!
ドゥゥゥゥゥーーーーン……!!
突如として、空間全体が震えるような「重低音のIMAXサウンド」が鳴り響き、暗闇が果てしなく広がる「巨大な映画館のシアター」へと上書きされた!
『——起きろ。小さなスマホ画面や、狭い劇場で満足している場合ではない』
ポップコーンとコーラを両手に持ち、3Dメガネをかけた神霊が現れた。
メディアミックスの頂点、興行収入と大スクリーンを司る『映画の神・シネマ』である!
『フハハハ! 最後の舞台は【全米が泣く超大作・劇場版アニメ】だ! 見よ、この縦20メートル、横40メートルの超巨大スクリーンを! 貴様は今から、緻密に計算された完璧な台本に従い、2時間ノンストップで世界を救う壮大なドラマを演じ切るのだ!』
シネマが指を鳴らすと、シーラたちの目の前にそびえ立つ巨大スクリーンが眩いばかりの白光を放ち、鼓膜を揺らすような爆音BGMと共に「壮大な予告編」が上映され始めた!
「た、隊長! 起きてください! 今度は世界が劇場版になっちまいました!」
「あんなデカい画面で、あんな爆音を出されたら、いくら緞帳を被ってても振動で起こされちまうっす! しかも『完璧な台本通りに動け』って、アドリブ禁止のガチガチの指示まで出されてるっすよ!」
『その通り! 映画において、あらかじめ決められたプロットは絶対だ! 役者の勝手な行動など、この大スクリーンでは許されない! さあ、台本通りに涙を流し、感動のクライマックスへ向かって——』
「……ねえ」
緞帳の布団から這い出したシーラは、眩い光を放つ巨大なスクリーンと、シネマが持っている分厚い「完璧な台本」をジッと見つめた。
「なんか、最初から最後までどうなるか全部決まってる台本なんて……すっごく退屈そうだね。私が今、何を感じて、どう動きたいかは、私自身が決めることなのに!」
『……は? 何を言っている。キャラクターは台本通りに動くためのコマであり——』
「それに、あの白くてデカい布。ピンと張られてて眩しいけど……外して丸めたら、すっごく弾力のある『特大の抱き枕』になりそう!!」
『……はい?』
シーラはトラックの荷台から凄まじい勢いで跳躍すると、映画館の壁面にピンと張られていた「超巨大スクリーンの端っこ」を両手でガシッ! と鷲掴みにした。
「いくよーっ! 誰かが決めたプロットなんて関係ない! 気合と根性のォォ……『強制・超巨大スクリーン巻き巻き(抱き枕化)』ぃぃぃっ!!」
ベリベリベリベリッ!!! クルクルクルクルッ!!!
『なっ!? なにをしている! 上映用の巨大スクリーンを、力任せに壁から剥がして丸めるなァァァッ!』
シーラは、数億円は下らないであろう特殊素材の巨大スクリーンを、端から端まで「海苔巻き」のようにクルクルと丸め上げ、あっという間に「長さ40メートルの超特大・高反発抱き枕」を完成させてしまった!
「わぁ〜! このスクリーン、適度な張りがあって、抱きつくとすっごく気持ちいい〜!!」
シーラは完成した特大抱き枕(元スクリーン)を緞帳の下に引きずり込み、ガッチリと手足でホールドして満面の笑みを浮かべた。
スクリーンが物理的に丸められたことで、完璧に計算されていたはずの「壮大な映像」も歪み、上映は完全にストップしてしまった。
『ぎゃああああああああっ!? 私の! 私の完璧なプロットと映像美が……! 主人公が「台本を無視」して「スクリーンを抱き枕にする」という予測不能のアドリブのせいで、上映中止になってしまったァァァッ!!』
計算外のキャラクターの暴走(物理)によってすべての計画をぶち壊された映画の神シネマは、「続編の……構想が……」と呟きながら、ポップコーンと共に弾けて消滅した。
「あははっ! 誰かが決めた結末より、私が今『寝たい』って思う気持ちの方がずっと大事! 抱き枕、最高〜! おやすみなさーい!」
神霊が消滅したことで、映画館の座席も爆音スピーカーも消え去り、空間は再び「シーラのための完璧な暗闇」へと戻っていった。
「シ、シーラ隊長……ついに『劇場版の巨大スクリーン』すら丸めて『抱き枕』にしちまった……!」
「完璧な台本をガン無視して、自分の欲求のままに動いて上映中止にする……隊長の生き様の前には、どんな大作映画のプロットもただの紙切れっすね……!(感涙)」
どれほど壮大な映画であろうと、どれほど完璧な台本が用意されていようと。
「今、私がどうしたいか」というキャラクター自身の自然な欲求(お昼寝したい)の前では、用意された枠組みなど全く無意味だった。
映画のスクリーンすらも快適な寝具セットの一部に組み込み、闇のヒロインの無法者戦記は、すべての「お約束」と「枠組み」から解放され、究極の自由(爆睡)へと到達したのである。
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