◆◆◆第41話:絶対ルールのカードバトル? だったらレアカードを折って「段ボールハウス(遮光)」にしちゃえ!◆◆◆
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「すぅ……すぅ……ステージの床で作った寝袋、防音バッチリで最高……むにゃむにゃ……」
アイドルのライブステージを強引に丸め込み、外部の光と音を完全に遮断した特製寝袋の中で、シーラは至福の爆睡タイムを満喫していた。
しかし、突如として「シャッ! シャッ!」というカードを切る鋭い音と、熱血アニメのようなBGMが空間に鳴り響いた。
『——俺のターン! ドロー!!』
暗闇の空間が、近未来的な「巨大デュエルアリーナ」へと強制的に書き換えられる。
腕にド派手なカードリーダー(デュエル盤)を装着し、ツンツン頭をした神霊が、宙に浮かぶ光のテーブルと共に現れた。
絶対的なルールとドローの運命を司る『カードゲームの神・シャッフル』である。
『フハハハ! 肉弾戦などという野蛮な争いはもう古い! 次なる新連載は、知略とデッキ構築が勝敗を分ける【トレーディング・カードゲーム】だ! この空間では「公式ルールブック」が絶対の法律! プレイヤーへの直接攻撃はシステムバリアによって完全に無効化される!』
シャッフルが盤面にカードを叩きつけると、眩い光と共に「攻撃力5000」の巨大なホログラムのドラゴンが咆哮を上げて出現した。
「た、隊長! 起きてください! 今度は世界がカードゲームになっちまいました!」
「バリアのせいで、俺たちの剣が相手に届かねえっす! ルールに従ってカードでモンスターを召喚して、相手のライフポイントをゼロにしないと——」
『その通り! さあ、我が最強の【完全美品・アルティメットレア】の神のカードの前に、ライフごと散るが——』
「……ちょっと、おじさん」
寝袋(丸めたステージの床)の隙間から、シーラが不機嫌そうに顔を出した。
「ホログラムのドラゴンがピカピカ光って眩しいんだけど。あと、おじさんの腕についてるその『紙の束』……」
シーラは、シャッフルのデュエル盤にセットされていたカードの束をジッと見つめた。
「一枚一枚が分厚くて、すっごく硬くて丈夫な紙で出来てるね!!」
『……は? なにを見ている。これは特殊なホログラム加工と、傷ひとつない硬質プラスチックケース(スリーブ)で保護された、市場価値1億円の神の——』
「ちょうどよかった! 寝袋の入り口から光が入ってこないように、これで『屋根』を作ろうっと!!」
『……はい?』
シーラはバリアを完全に無視し(プレイヤーへの攻撃は無効だが、盤面への干渉は想定外だった)、シャッフルの腕から1億円のレアカードの束をガシッ! と物理的に強奪した。
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・レアカード折り曲げハウス(図画工作)』ぃぃぃっ!!」
シーラは分厚いレアカードを両手で掴むと、真ん中から容赦なく「メキョッ!!」と真っ二つに折り曲げた。
『ぎゃああああああああっ!? 折った!? 私の! 鑑定評価満点(PSA10)のアルティメットレアカードが、真ん中からクッキリと折り目がついて市場価値がゼロにィィィッ!!』
「メキョッ! バキッ! うん、硬いからしっかりした壁になるね!」
シーラは悲鳴を上げるシャッフルを尻目に、へし折った高額レアカードを次々と組み合わせてガムテープ(どこから出したのか)で貼り合わせ、寝袋の入り口を覆う完璧な「カード製の段ボールハウス(遮光屋根)」を完成させてしまった。
カードが物理的にへし折られ、工作の素材にされたことで、盤面に出現していたドラゴンのホログラムも「バグッ……」とノイズを出して消滅してしまった。
『あ、あああ……私の最強のデッキが……ただの小学生の図画工作の素材(日よけ)に……デュエリストとしての魂が……』
シャッフルは、真ん中から無惨にへし折られたカードの残骸を見てショックのあまり白目を剥き、そのまま泡を吹いて気絶して消滅した。
「あははっ! 硬い紙で屋根を作ったから、今度こそ完全に真っ暗だよ! おやすみなさーい!」
「シ、シーラ隊長……ついに『絶対ルールのカードゲーム』すら、1億円のレアカードをへし折って段ボールハウスにしちまった……!」
「プレイヤーへの直接攻撃がダメなら、相手のデッキ(資産価値)を物理的に破壊してショック死させる……隊長の気合の前には、公式ルールもただの紙切れっすね……!(戦慄)」
どれほど高価なレアカードであろうと、どれほど絶対的な公式ルールであろうと。
シーラの「眩しいから硬い紙で屋根を作りたい」という究極の物理的欲求(と気合)の前では、ただの良質な工作素材でしかなかった。
デュエリストの魂すらも豪快にへし折り、完璧な暗闇(カードハウス付き寝袋)を引きこもる闇のヒロインは、もはや誰にも止められない爆睡の世界へと旅立っていくのである。
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