◆◆◆第40話:大熱狂のアイドルライブ? だったらステージを丸めて「寝袋」にしちゃえ!◆◆◆
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「すぅ……すぅ……王宮の瓦礫、意外と風通しがよくて涼しい……むにゃむにゃ……」
断罪イベントの会場を物理的に解体し、自らの手で「光の届かない辺境」を作り上げたシーラ。
冷感抱き枕(怨霊)を抱きしめながら、今度こそ完璧な熟睡モードに入っていた。
しかし、突如として「キュルルンッ☆」というポップで弾けるような効果音が鳴り響き、暗闇の空間を数万本のレーザー光線と、鼓膜を揺らす重低音のダンスミュージックが切り裂いた!
『——さあ、血生臭いバトルやドロドロの愛憎劇はもうおしまい! 次なる新連載は、みんなに笑顔と元気を届ける【アイドル・リズムゲーム】の世界だよっ☆』
まばゆい光に包まれた巨大なライブステージが出現し、フリフリのアイドル衣装に身を包んだツインテールの神霊がマイクを片手にウインクを決めた。
歌とダンス、そしてリズムを司る『アイドルの神・メロディ』である。
『アリーナァァァッ! 盛り上がってるゥゥ!? この空間は「ライブドーム」! 暴力は一切禁止、勝敗はどれだけ正確にリズムを刻み、観客のボルテージを上げるかで決まるの! さあ、私の新曲に合わせて、飛んでくる【ノーツ(音符)】をタイミングよくタップしてねっ☆』
メロディが歌い始めると同時に、空中にホログラムの「判定ライン」が出現。
そして、シーラたちに向かって、赤や青に光る巨大な円盤状の物体が、音楽に合わせて猛スピードで飛んできた!
「た、隊長! 起きてください! 今度は世界が音ゲーになっちまいました!」
「剣で斬ってもノーツを『Miss』判定されてダメージを受けるだけっす! リズムに合わせてタップ(手でタッチ)しないと、俺たちのHPが削られちまう!」
『フフン! 野蛮な腕力じゃ、この完璧なリズムとBGMの奔流には勝てないわ! さあ、怒涛のフルコンボ攻撃、耐えられるかしらっ☆』
ドカドカと響き渡る重低音と、チカチカと点滅するステージ照明。
お昼寝の環境としては「最悪」としか言いようがない状況の中、シーラはゆっくりと立ち上がった。
「……ねえ」
シーラは、猛スピードで飛んでくる光る円盤をジッと見つめた。
「この飛んでくる丸いヤツ……弾力があって、すっごくフワフワしてるね!!」
『……は? 何を言ってるの? それはリズムに合わせてタップする神聖な音符の——』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・クッション大収穫祭』ぃぃぃっ!!」
シーラはリズムや判定ラインを完全に無視し、飛んでくる何百個もの巨大ノーツを、凄まじいスピードで「ガシッ! ガシッ!」と空中で直接キャッチし始めた。
「わぁーい! 柔らかくてすっごく気持ちいい! これ、枕とベッドのマットにするのに最高だね!!」
『なっ!? ば、馬鹿な! リズムゲームのノーツを、ただの「寝具の素材」として物理的に回収しているだとォ!?』
あっという間に飛んできたノーツをすべて掻き集め、フワフワの巨大なベッドを作り上げたシーラ。
しかし、彼女はまだ不満そうに眉をひそめていた。
「ベッドはできたけど……お姉さんの歌声がすっごくうるさいし、チカチカ光ってて眩しいよ! 電気消して!!」
『消すわけないでしょ! これはライブステージの演出——』
「消さないなら、光が入らないように包まっちゃえばいいんだよね!!」
シーラはフワフワのノーツベッドの横に立つと、足元に敷かれていた【LEDの輝く巨大なライブステージの床】の端っこを、両手でガシッと物理的に掴み取った。
『……え? ちょっと待って、貴女まさか、ドームのステージそのものを——』
「そぉぉぉぉれっ!! 『強制・ステージ巻き巻き(恵方巻)』ぃぃぃっ!!」
メリメリメリメリメリッ!!! ギュルルルルルルッ!!!
シーラが凄まじい腕力と気合でステージの床を引っ張ると、なんと巨大なライブステージが「カーペット」のようにベリベリと剥がれ、そのままクルクルと丸まり始めた!
そしてシーラは、ノーツで作ったベッドごと、丸めたステージの床(防音・遮光バッチリ)の中に潜り込み、巨大な「寝袋(または恵方巻)」を完成させてしまったのだ!
『ぎゃああああああああっ!? 私の! 私の華やかなアイドルドーム公演が、ただの「分厚い筒状の寝袋」に巻き込まれて強制終了させられたァァァッ!』
ステージごと巻き込まれたアイドルの神メロディは、分厚い床の防音効果によって歌声もかき消され、そのまま寝袋の布地の一部となって「アンコール……」と呟きながら消滅した。
「あははっ! ステージの床を丸めたら、真っ暗だし音も聞こえなくて最高ー! おやすみー!」
寝袋(元ステージ)の中から、満足げなシーラの声と、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。
「シ、シーラ隊長……ついに『音ゲーのノーツ』をクッションにして、ライブステージを丸めて『寝袋』にしちまった……!」
「光と音の暴力すら、物理的に丸め込んで最高の防音寝室に変える……隊長の睡眠欲の前には、アイドルライブもただの便利なキャンプ用品っすね……!(感涙)」
どれほど華やかなライブであろうと、どれほど完璧なリズムであろうと。
シーラの「うるさいから丸まって寝る」という究極の物理的欲求(と気合)の前では、ただの分厚いお布団の素材でしかなかった。
新ジャンルの刺客たちを次々と「快適な睡眠グッズ」に変えながら、闇のヒロインの無法者戦記は、どんな世界観も意に介さず、ひたすらに安らかな眠りを貪っていくのである。
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