◆◆◆第38話:背筋も凍る最恐のホラー? だったらヒンヤリ冷たい『エコクーラー(抱き枕)』にしちゃえ!◆◆◆
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「すぅ……すぅ……むにゃむにゃ。コンソメとのり塩……美味しい……」
デスゲームのチップでお腹を満たし、今度こそ完全な爆睡状態に入ったシーラたち。
平和な暗闇に寝息だけが響いていたが、突如として空間が「ジメジメとした古い和室」へと変貌し、ノイズの走る砂嵐のブラウン管テレビが出現した。
『……フフフ、物理攻撃や頭脳戦など、しょせんは生者の遊び。次なる新連載は、決して触れることのできない精神的恐怖……【Jホラー】だ』
障子の奥から、おどろおどろしい声が響く。
人々の根源的な恐怖と呪いを司る『ホラーの神・フィアー』である。
『いかなる腕力を持っていようと、実体のない怨霊を殴ることはできない! この部屋の温度は極限まで下がり、貴様らは底知れぬ恐怖と呪いによって精神を破壊されるのだ! さあ、行け!』
フィアーの声と共に、ブラウン管テレビの画面から、長い黒髪を振り乱した白い服の怨霊が「ズズズ……」と這い出してきた。
怨霊が放つ「呪いの冷気」によって、和室の温度が急激に下がり、窓にはビッシリと結露が浮かび上がる。
「た、隊長! 起きてください! 今度は世界がホラー映画になっちまいました!」
「ヒィィッ! テレビからお化けが! しかも空気がめっちゃくちゃ冷たくて、背筋が凍るっす!」
『呪ってやる……永遠の恐怖に……堕ちろ……』
怨霊がギリギリと奇妙な音を立てながら、爆睡しているシーラの枕元にまで這い寄ってきた。その冷たい手が、シーラの首筋に触れようとした、その瞬間。
「……んん〜? なんか……」
シーラは寝ぼけ眼をこすりながら、のそりと半身を起こした。
「なんか急に、すっごく涼しくて気持ちいい風が吹いてきたね!」
『……は? 何を寝ぼけている。それは死者の国から漏れ出す呪いの冷気——』
「わぁ! お姉さん、すっごくヒンヤリしてて冷たーい!!」
シーラは恐怖するどころか、目の前に迫っていた怨霊の体を両手でガシッ! と物理的に抱きしめた。
『なっ!?』
「ちょうどお腹いっぱいで体が熱かったから、冷感素材の抱き枕が欲しかったんだよね!!」
『ひぃぃぃっ!? ば、馬鹿な! 実体のない幽霊を物理的にホールドするだと!? しかも私の呪いの冷気を、ただの冷房代わりに——』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・ヒンヤリ抱き枕スリープ』ぃぃぃっ!!」
シーラは凄まじい腕力で怨霊を布団の中に引きずり込み、足をガッチリと絡めて「最強の抱き枕」として完全固定してしまった。
「あははっ! 冷たくて最高〜! お姉さん、ずっとこのままでいてね! おやすみー!」
『や、やめろォォォッ! 離せ! 怨霊である私が、元気いっぱいの生者の熱気(気合)で押し潰されるゥゥゥッ!』
シーラの純度100億パーセントのポジティブな気合と体温により、怨霊の「マイナスの呪いエネルギー」は急速に中和(蒸発)されていく。
恐怖で人を呪い殺すはずの怨霊は、ただの「ちょうどいい温度を保つエコな冷却グッズ」として消費され、最後には「暑い……解脱しそう……」とつぶやきながら、安らかな顔で成仏(消滅)してしまった。
「……すぅ……すぅ……涼しくて極楽……」
怨霊が成仏したことで、和室もテレビも跡形もなく消え去り、空間は「適度に冷房の効いた快適な暗闇」へと戻った。
「シ、シーラ隊長……ついに『絶対無敵のホラー(幽霊)』すら、涼しいからって抱き枕にして寝かしつけちまった……!」
「物理無効のオカルト現象も、隊長の気合ホールドの前には実体化して成仏させられる……隊長の睡眠欲、除霊効果が高すぎるっすね……!(戦慄)」
どれほど背筋が凍る最恐の呪いであろうと、いかに実体のない幽霊であろうと。
シーラの「寝苦しいから涼しい抱き枕が欲しい」という究極の物理的欲求(と気合)の前では、ただの便利な夏用エコグッズでしかなかった。
恐怖のジャンルすらも快適な睡眠のために利用し、闇のヒロインの無法者戦記は、いかなる世界観にも邪魔されることなく、我が道(お昼寝への道)を爆睡しながら突き進んでいくのである。
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