◆◆◆第34話:学園ラブコメへの強制ジャンル変更? だったら食パンごと「運命の曲がり角」を粉砕しちゃえ!◆◆◆
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「すぅ……すぅ……んがっ。むにゃむにゃ……平和だなぁ……」
メタ次元の創造主を沈め、世界を「永遠のリラックス空間(暗闇)」に染め上げたシーラ。
闇の兵士たちと共に、最高に心地よい床(原稿用紙)の上で心ゆくまで爆睡していた、その時である。
『——新連載スタート! 春、それは新しい出会いの季節!』
突如として、暗闇の空間にポップで可愛らしいナレーションが響き渡った。
次の瞬間、シーラが寝転がっていた真っ暗な床が「アスファルトの通学路」に変わり、周囲には満開の桜が舞い散り、キラキラとした眩しい朝の陽射しが差し込んできたのだ。
「ん……? なに、急に眩しいし、なんか桜の匂いがする……」
「た、隊長! 起きてください! 世界が急に『キラキラした学園モノ』に上書きされようとしてます!」
寝ぼけ眼をこするシーラの前に、この空間の新しい主役(新連載の主人公)が現れた。
口に「焼いた食パン」をくわえ、寝癖のついたイケメン男子高校生が、通学路の曲がり角に向かって猛烈な勢いで走ってくる。
「遅刻、遅刻ゥ〜! くっそー、新学期初日からこれかよ! おっ、あそこの曲がり角を曲がれば——!」
『ラブコメの神・ロマンス』の声が天から響く。
『フフフ! 闇のファンタジーなどという時代遅れの連載は終わりだ! これからはこの【運命の曲がり角】で美少女とぶつかり、恋が始まる王道の学園ラブコメの時代! さあ、新主人公よ! そこに寝転がっているヒロイン(シーラ)とぶつかり、フラグを立てるのだ!』
「うおっ!? なんだこんな道の真ん中に人が——止まれねえええっ!」
食パンをくわえた新主人公が、お約束の「激突イベント」を起こすべく、寝起きのシーラに向かって突っ込んでくる。
「……あ」
シーラは、向かってくるイケメンの顔……ではなく、その口元にくわえられている「こんがり焼けたバタートースト」をガン見した。
「ちょうど朝ごはん、食べたかったんだよね!!」
『……は?』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・朝食横取りラリアット』ぃぃぃっ!!」
シーラは立ち上がるや否や、信じられない跳躍力で新主人公の顔面めがけて飛びかかった。
そして、彼が口にくわえていた食パンを空中で「ガブッ!」と直接噛みちぎり、そのままの勢いで彼の首元に極太のラリアットを叩き込んだのだ!
ドッゴォォォォォォォォォォォォン!!!!
「ぐはぁっ!? 食パンが……俺のフラグアイテムが奪われ……」
主人公の少年は、綺麗な放物線を描いて桜の木に突き刺さり、完全に気絶した。
『ぎゃあああああっ!? 私の! 私の完璧なボーイ・ミーツ・ガールの出会いが、ただの朝食の引ったくり(物理的暴力)にィィィッ!』
「もぐもぐもぐ……うん! 外はサクサク、中はフワフワで美味しい! バターもたっぷりだね!」
さらにシーラは、主人公が曲がろうとしていた「運命の曲がり角(コンクリートの塀)」の前に立つと、巨大剣『ナイトメア・ブレイカー』を振りかぶった。
「こんな邪魔な壁があるからぶつかりそうになるんだよ! 見通しを良くしてあげる!」
ドッシャァァァァァァァァァン!!!
シーラの一撃で、「運命の曲がり角」という概念を持った塀そのものが跡形もなく粉砕され、ただの更地になってしまった。
『あ、あああ……恋が始まる曲がり角が、ただの空き地に……学園ラブコメというジャンルそのものが、暴力の前に崩れ去っていく……』
ラブコメの神は、ときめき成分を完全に失い、桜の花びらと共にサラサラと消滅した。
「よーし! 美味しい朝ごはんも食べたし、お日様も消して、二度寝の時間だよー!」
シーラが空の太陽(ラブコメ世界の照明)を石を投げて物理的に叩き割ると、世界は再び安らかな暗闇へと戻っていった。
「シ、シーラ隊長……ついに『別ジャンルの新連載』すら、主人公から食パンを奪って壁ごとぶち壊しちまった……!」
「運命の出会いすら、ただの朝ごはんのデリバリー扱い……隊長の気合は、掲載誌のジャンルすら選ばねえっすね……!(感涙)」
どんなにキラキラした青春のお約束であろうと、シーラの「寝起きで腹ペコ」という究極の物理的欲求(と気合)の前では、ただの美味しい朝食イベントでしかなかった。
新たなジャンルの侵略すらも軽々と蹴散らし、闇のヒロインの無法者戦記は、いよいよ次元もジャンルもめちゃくちゃにしながら続いていくのである。
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