◆◆◆第31話:無敵の後付け設定? だったら付箋(シール)を剥がして敵のオデコに貼っちゃえ!◆◆◆
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「あははっ! 来週のお話も今日に引っ張ってきちゃったから、晩ご飯までたーっぷり遊べるね!」
「次回へ続く」の壁を粉砕し、時空を前倒しにしてズンズン進むシーラたち。
すると、暗闇の空間にペラペラと紙の擦れる音が響き、巨大な「黄色いメモ帳」を持ったインテリ風の神霊が現れた。
『……尺を無視するとは恐れ入った。だが、物語が破綻しそうになった時、我々には最強の修正手段が残されている!』
メモ帳から黄色い紙を一枚ベリッと剥がし、神霊が不敵に笑う。
物語の矛盾を強引に揉み消し、新たなルールを上書きする『後付け設定の神・レトコン』である。
『私はこの世界における「衝撃の事実(後付け)」を司る者! 今この瞬間から、過去の描写を無視して新たな設定を追加させてもらう!』
レトコンが黄色い紙をフッと息で吹き飛ばすと、それは空間をヒュンッと飛び、闇の兵士たちの背中にピタッと張り付いた。
その紙には【※実は、闇の兵士は極度の運動不足だった】と書かれている。
「た、隊長! 急に体が……ぜぇ、ぜぇ……ただ歩いてただけなのに、息が上がって一歩も動けねえっす!」
「急に『そういう設定』が追加されたせいで、これまでのスタミナが全部嘘みたいに……!」
『フハハハ! これぞ後付けの力! さらに!』
レトコンがもう一枚の黄色い紙を飛ばすと、今度はシーラが肩に担いでいた巨大剣『ナイトメア・ブレイカー』の刀身にピタッと張り付いた。
そこには【※実は、この剣は柔らかいスポンジで出来ていた】と書かれている。
ボヨンッ。
その瞬間、分厚い鋼鉄だったはずの巨大剣が、まるで安物のクッションのようにフニャフニャに折れ曲がってしまった。
『見たか! これで貴様の武器は無力化された! 今明かされる衝撃の真実の前に、気合など——』
「へえー! なにこれ!」
レトコンの勝ち誇った説明を完全に無視し、シーラは自分のフニャフニャになった剣の刀身に張り付いている「黄色い紙」を指でつまんだ。
「この黄色い紙、裏側にノリがついててどこにでも貼れるシール(付箋)になってるんだね!」
『……は? シール? いや、それは世界観を書き換える神聖な設定資料——』
ペリッ。
「あははっ! 綺麗に剥がれたー!」
シーラが剣から付箋を物理的にひっぺがした瞬間、フニャフニャだった剣は「カキンッ!」と音を立てて、元の硬い鋼鉄の巨大剣に戻ってしまった。
『なっ!? なにをしている! 一度追加された公式の後付け設定を、ただのシール感覚で物理的に剥がすなァ!』
「このシール、すっごく面白いね! だったらさ!」
シーラは剥がした【※実はスポンジで出来ていた】と書かれた付箋を持ったまま、猛烈なダッシュでレトコンの目の前まで肉薄した。
「これ、おじさんのオデコに貼っちゃおーっと!!」
『……ヒッ!?』
ペタッ!!
シーラはレトコンの広いオデコに、勢いよく後付け設定の付箋を貼り付けた。
次の瞬間、レトコンの体が「ボヨヨンッ!」という間抜けな音と共に、全身真っ黄色の巨大な柔らかいスポンジへと変身してしまったのだ。
『ぎゃあああああっ!? 私の体が! 自分で作った後付け設定のせいで、ただの巨大スポンジにィィィッ!』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・大掃除(床磨き)』ぃぃぃっ!!」
「あ、ちょうどこの辺の床、ホコリが気になってたんだよね!」と満面の笑みを浮かべたシーラは、スポンジと化したレトコンの体をガシッと掴み、メタ次元の床にこすりつけて猛烈な勢いでゴシゴシと床磨きを始めた。
*キュッキュッキュッキュッ!!
『あわわわわっ! 神霊である私が! メタ次元の清掃用具として消費されていくゥゥゥッ!』
凄まじい腕力による摩擦でゴシゴシとすり減らされ、後付けの神はピカピカになった床と引き換えに、真っ白な泡となって消滅してしまった。
「あははっ! 床も綺麗になったし、シール遊びも楽しかったー!」
神霊が消滅したことで、兵士たちの背中に貼られていた付箋もパラリと剥がれ落ち、彼らの体力も無事に元通りとなった。
「シ、シーラ隊長……ついに『衝撃の後付け設定』すら、ただの付箋扱いして引っこ抜いちまった……!」
「敵の追加設定を剥がして、逆に敵のオデコに貼ってスポンジにする……隊長の気合の前には、作者の都合すらただの文房具っすね……!(戦慄)」
「よーし! お掃除もしたし、どんどん奥に進むよー!」
どれほど理不尽な後付け設定であろうと、どれほど衝撃の事実であろうと。
シーラの「貼ってあるシールなら剥がせる」という究極の物理的思考(と気合)の前では、ただの便利な清掃アイテムを生み出す遊びでしかなかった。
あらゆる設定を物理でひっぺがしながら、闇のヒロインの無法者戦記は、いよいよ物語の創造主そのものが潜む最深部へと向けて、一切のブレーキなしで突き進んでいくのである。
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