◆◆◆第30話:ここで「次回へ続く」? だったら「次回」を今日に引きずり込んじゃえ!◆◆◆
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「もぐもぐ……うん! ゼロカロリーのドーナツ、空気みたいで美味しいね! さあ、どんどん行こう!」
戦闘力インフレの神からむしり取った「0(ゼロ)」の輪っかをサクサクと完食し、ご機嫌でメタ次元の暗闇を進むシーラたち。
すると突如、空間全体に「デデンッ!」というドラマチックな効果音が鳴り響き、画面(視界)の四隅がゆっくりと黒く暗転し始めた。
『……これまでの刺客がことごとく破れるとは。だが、メタ次元の防衛線は崩させんぞ』
フェードアウトしていく空間の奥から、分厚い台本を手にした眼鏡の神霊が現れる。
物語の進行速度を操り、読者を焦らすことを使命とする『尺稼ぎの神・ヒキノバシ』である。
『私はこの連載のペース配分を司る者! 貴様らがどれほど非常識な力を持っていようと、物語の「枠組み」には逆らえない! 今週のページ数(尺)はこれにて終了だ!』
ヒキノバシが台本をバタンと閉じると、シーラたちの目の前の空間に、絶望的なほど巨大な明朝体の文字が上からドスンドスンと降ってきた。
【 —— 次 回 へ 続 く !! 】
「た、隊長! ヤバいっす! あいつ、逃げきれないと悟って、強引に今週のお話を終わらせようとしてやがります!」
「俺たちの体が……止まっちまう! このままじゃ、来週の更新日まで丸一週間、この中途半端なポーズで放置されちまうっすよ!」
『フハハハハ! どんな強者も「連載の都合」には勝てん! 貴様らはここで一週間、読者と共に次の展開を待つがいい! さらばだ!』
空間が完全に暗転し、物語の時間が強制終了しようとした、まさにその時。
「えーっ!? なにそれ!」
シーラは、空間を塞ぐように降りてきた【次回へ続く】という巨大な文字の壁に、両手でガシッと指を食い込ませた。
「あたし、今日中に一番奥まで行って、晩ご飯の前にお昼寝したいのに! 来週まで待ってられないよ!!」
『……は? 何を言っている。すでに今週のページ数は尽きて——』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『次回・強制前倒し引きずり込み』ぃぃぃっ!!」
シーラは凄まじい腕力で、【次回へ続く】の「次」という文字の端っこをガッチリと掴み、綱引きの要領で「うおおおおっ!」と後ろへ力任せに引っぱり始めた。
『なっ!? なにをしている! やめろ、そんなことをすれば物語の時空が——』
メリメリメリメリメリッ!!! ズバァァァァンッ!!!
シーラが気合一発で文字を引きずり倒した瞬間。
暗転しかけていた空間がガラスのように砕け散り、その奥から「来週描かれるはずだった景色(第31話の空間)」が、ズルズルと今週のエピソード内に物理的に引きずり出されてしまった。
『ぎゃああああああああっ!? ペ、ページが! 来週分の原稿が、強引に今週の枠内に引きずり込まれてページ数がパンクするゥゥゥッ!』
「はい、これで『次回』も『今日』になったね!」
シーラは、引きずり倒した【次回】の文字を巨大な鈍器のように軽々と持ち上げると、逃げようとしていた尺稼ぎの神・ヒキノバシの頭頂部に向かって、思い切り振り下ろした。
ドッゴォォォォォォォォォォォォン!!!
『あ、あああ……引き伸ばし作戦が……せっかちな読者(主人公)の力技で……巻き進行に……』
ヒキノバシは【次回】の文字の角で綺麗に脳天を割られ、「巻きでお願いします」という幻聴と共に消滅した。
「あははっ! ほらね! 待てないなら、先のお話を引っ張ってくればいいんだよ!」
暗転していた空間はすっかり元通り(快適な暗闇)になり、固まりかけていた兵士たちも無事に動けるようになった。
「シ、シーラ隊長……ついに『次回へ続く』っていう連載の強制終了すら、来週のお話を物理的に引っ張ってきて無効化しちまった……!」
「待つのが嫌だからって時空ごと前倒しにする……隊長のせっかち(気合)の前には、一週間の焦らしも通用しねえっすね……!(感涙)」
「よーし! これで時間も節約できたし、晩ご飯の前にもうちょっとだけ遊ぼうー!」
どれほど強引な尺稼ぎであろうと、どれほど絶望的な「引き」であろうと。
シーラの「待つのは嫌だから今すぐやる」という究極の物理的せっかちさの前では、ただの文字の壁でしかなかった。
連載の都合すらも気合でねじ曲げ、闇のヒロインの無法者戦記は、休むことなく(次回の分まで)笑顔で突き進んでいくのである。
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