◆◆◆第29話:戦闘力が天文学的数値にインフレ? だったら増えた「0(ゼロ)」をむしり取ってドーナツにしちゃえ!◆◆◆
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「あははっ! 大縄跳びですっごく動いたから、なんだかまた小腹が空いてきちゃったなー」
敵の長々とした回想シーンを早送りで終わらせ、最高のリフレッシュを果たしたシーラたち。
平和な暗闇を歩いていると、突如として空間がグラグラと揺れ始め、頭上に「巨大なデジタルカウンター」を背負った筋肉ダルマのような神霊がドスンと降り立った。
『……フハハハ! 過去回想を潰されたか。だが、物語が終盤に差し掛かっている以上、この絶対法則からは逃れられんぞ!』
神霊が力強くポーズを決めると、空間そのものが震え始めた。
バトル漫画の最終局面において、強さの基準を際限なく引き上げる『インフレの神・ミリオン』である。
『私は物語が進むごとに、ステータスの桁数を無尽蔵に増やすことができる! 見よ、私の初期戦闘力は「1000」だが、ここからインフレが加速する!』
ミリオンが叫ぶと、彼の頭上のデジタルカウンターの数字が猛烈な勢いで増え始めた。
【戦闘力:1000】
【戦闘力:1000000】(百万!)
【戦闘力:1000000000000】(一兆!)
「た、隊長! ヤバいっす! あいつの戦闘力、どんどん『0(ゼロ)』が増えていって、もう数え切れない桁になってます!」
「これが長期連載の末路……『戦闘力のインフレ』! あんな天文学的な数値で殴られたら、宇宙ごと消し飛びますよ!」
『フハハハハ!! まだだ、まだインフレは止まらんぞ! 戦闘力一京! 一垓! さあ、この圧倒的な数字の暴力の前に——』
「わぁーっ! すごいすごい!」
インフレの恐怖に震える兵士たちをよそに、シーラは目をキラキラさせながら、ミリオンの頭上にズラリと並んだ【1000000000000000000000…】という無数の「0」を見上げていた。
「あのさあ、おじさん!」
『なんだ! 圧倒的な数字にひれ伏す気になったか!』
「その頭の上に並んでる丸い輪っか、穴が空いててすっごく美味しそうだね!!」
『……は?』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『無限ゼロ・ドーナツむしり取り』ぃぃぃっ!!」
シーラは凄まじい脚力で跳躍すると、ミリオンの頭上に浮かんでいた物理的なホログラムの「0」の群れに向かって手を伸ばし、ガシッ! と鷲掴みにした。
『なっ!? なにをしている! それは私の天文学的な戦闘力を示す数字のゼロ——』
ブチブチブチブチブチィィィィッ!!!
「あははっ! 大漁大漁ー!」
シーラは、ミリオンの戦闘力を底上げしていた無数の「0」を、まるでブドウの粒でも収穫するように力任せにブチブチとむしり取ってしまった。
『ぎゃあああああっ!? 私の! 私のインフレした戦闘力がぁぁぁっ!』
大量の「0」をむしり取られた結果、ミリオンの頭上に残された数字は、一番先頭にあった悲しき【戦闘力:1】のみとなってしまった。
「よーし、おやつにしようっと!」
着地したシーラは、むしり取った「0」の輪っかの一つを口に運び、サクッと噛み砕いた。
「ん! サクサクしてて、綿あめみたいで美味しい! しかも『ゼロ』だから、何個食べてもカロリーゼロだね!」
「シ、シーラ隊長……ついに敵の『天文学的な戦闘力インフレ』すら、ゼロをむしり取ってドーナツにしちまった……!」
「インフレした数字を物理的に食って戦闘力を『1』に戻す……隊長の気合(と胃袋)の前には、どんなパワーアップもただのおやつっすね……!」
戦闘力が「1」になってしまったミリオンは、もはやスライム以下の存在となり、シーラが「0」を食べるついでに放ったゲップの風圧だけで、ヒュンッと吹き飛んで消滅してしまった。
「よーし! カロリーゼロのドーナツでお腹も満たされたし、どんどん先に行こうー!」
どれほどインフレが進もうと、どれほど戦闘力の桁が増えようと。
シーラの「丸い輪っかは全部ドーナツ」という究極の物理的食欲(と気合)の前では、ただのサクサクしたおやつでしかなかった。
メタ次元のあらゆる概念を食らい尽くしながら、闇のヒロインの規格外な大冒険は、ついに物語の創造主の喉元へと笑顔で迫っていくのである。
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