◆◆◆第28話:敵の長〜い過去回想? だったらフィルムを引っぱり出して大縄跳びにしちゃえ!◆◆◆
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「ふぅーっ、死亡フラグのバーベキュー、お腹いっぱいになったね! さてさて、次は何をして遊ぼうかなー!」
完璧な「お約束」を物理的にへし折り、すっかりくつろぎモードのシーラたち。
その時、暗闇の空間に突如として「悲しげなピアノのBGM」が流れ始め、周囲の景色がセピア色に色褪せていった。
『……素晴らしい気合だ。だが、私の【真の力】を引き出す時が来たようだな』
セピア色の空間に浮かび上がったのは、無数の映画のフィルム(映写機)を纏った神霊。
キャラクターの過去を改変・付与することで絶大なパワーアップを引き起こす『回想の神・リコレクション』である。
『私はこれから【悲しき過去の回想シーン】に入る! この回想が続く3話分の間、私はシステム上「完全無敵」となり、回想明けにはステータスが100倍になる! さあ、私の数奇で悲劇的な生い立ちを見るが——』
リコレクションが両手を広げると、空間全体に彼の悲しい過去(セピア色の映像)を映し出す、巨大な「フィルムの帯」がグルグルと展開され始めた。
「た、隊長! ヤバいっす! 敵が『長めの回想シーン』に入りやがりました!」
「この間は絶対に攻撃が通らねえし、終わったら超強化されて戻ってくる、最悪の遅延行為(お約束)っすよ!」
『フフフ……無駄だ。メタ的な時間が止まっているこの空間で、貴様らは私の過去を涙しながら見守ることしか——』
「へえー! なにこれ!」
悲しいBGMとセピア色の演出を完全に無視し、シーラは自分の周囲をグルグルと回っている「過去回想のフィルム(物理)」をガシッと掴んだ。
「このペラペラした黒い帯、すっごく長くて丈夫そうだね!」
『……は? 何を触っている。それは私の悲劇的な記憶を映し出す神聖な——』
「ねえみんな! ちょうどいい長さの紐があるから、食後の運動に『大縄跳び』しようよ!!」
『……はい?』
シーラは回想フィルムの端っこを闇の兵士の一人に渡し、自分も反対側をしっかりと握りしめた。
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・超高速大縄跳び(早送り)』ぃぃぃっ!!」
「は、はいっす隊長!! そーれ、ぐるんっ!」
ギュルギュルギュルギュルギュルッッ!!!
シーラと兵士が凄まじい腕力でフィルムを回し始めた瞬間、リコレクションの「悲しき過去」を映し出していた映像が、ビデオの超高速早送りのように猛スピードで流れ始めた。
感動的だったBGMのピアノも「キュルルルルルッ!」という間の抜けた音になり、悲劇的な神霊の過去が完全にギャグ映像と化していく。
『あわわわわっ!? 私の! 涙なしでは語れない3話分の回想シーンが、たったの5秒で早送りされていくゥゥゥッ!』
「はいっ! いーち! にーい! さーん!」
他の兵士たちは、高速で回される「回想フィルム」の中を、楽しそうにピョンピョンと跳び跳ねている。
「あははっ! 早いよ早いよー! 引っかからないようにね!」
『や、やめろォォォッ! 過去の余韻が! キャラクターの深みが、ただの縄跳びのロープとして消費されていくゥゥゥッ!』
回想シーンを強制的に早送り(物理)されてしまったため、リコレクションの「回想明けのパワーアップ」は発動条件を満たさずに不発。
それどころか、自分の存在意義であるフィルムをロープ代わりにされ、摩擦でボロボロになった回想の神は、涙目になりながら「キュルルルッ」と音を立てて消滅してしまった。
「あははっ! 大縄跳び、すっごく楽しかったね! 運動したらまたお腹空いちゃった!」
「シ、シーラ隊長……ついに敵の『無敵の回想シーン』すら、フィルムを引っぱり出して縄跳びにしちまった……!」
「感動の過去編を5秒で終わらせてパワーアップを阻止する……隊長の気合は、作者の尺稼ぎすら許さねえっすね……!(感涙)」
「よーし! 運動もしたし、次のお部屋に行こうー!」
どんなに悲しい過去があろうと、どんなに無敵のパワーアップイベントであろうと。
シーラの「長い紐なら縄跳びにできる」という純粋な遊び心(と気合)の前では、ただの便利なレクリエーション道具でしかなかった。
メタ次元のあらゆる「お約束」を遊び尽くしながら、闇のヒロインの無法者戦記は、いよいよ物語の根幹すらも揺るがす領域へと笑顔で突撃していくのである。
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