◆◆◆第25話:強制的な新展開(シナリオ)? だったら赤いクレヨンで修正(リテイク)しちゃえ!◆◆◆
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「すぅ……すぅ……んがっ! ふぁ〜、よく寝たぁ!」
無限の神を倒し、あらゆる概念から解放された「究極のリラックス空間(完全な闇)」で、シーラは最高のお昼寝から目を覚ました。
周囲では、闇の兵士たちも幸せそうにいびきをかいている。これにて一件落着、世界は永遠の闇に包まれました——。
『——しかし、闇の軍勢の平和は長くは続かなかった。突如として、大光帝すら凌駕する【真・超光神】が降臨し、世界を再び眩い光で包み込んだのである!!』
「……ん? なにこの声?」
誰もいないはずの暗闇の空間に、突如として重々しい「ナレーション(地の文)」が響き渡った。
それと同時に、空中に黒い明朝体の『文字』が次々と浮かび上がり、シーラたちの頭上に物語の展開を勝手に書き出し始めたのだ。
『我は【創造の書記官・プロット】。この世界の上位、さらにその外側に位置し、物語の展開と設定を紡ぐ者』
空中に浮かぶ巨大な羽ペンとインク瓶。それがカタカタと動きながら、世界に新たな「設定」を書き込んでいく。
『貴様らがどれほど神々を倒そうと、連載が続く限り「新たなる強敵」と「光のピンチ」は強制的に供給される。それが【物語の絶対法則】である! さあ、真・超光神よ、現れ——』
ナレーションと共に、空間が再びチカチカと不快な光を放ち始めようとした、その時である。
「た、隊長! なんだかよく分かんないっすけど、作者みたいなヤツが勝手に俺たちの平和を終わらせようとしてるっすよ!」
「ふざけんな! 俺たちはやっとゆっくり寝られるようになったんだぞ!」
文句を言う兵士たちをよそに、シーラはゴソゴソと自分のリュックを漁り、丸太のように巨大な「赤いクレヨン」を取り出した。
「あのねえ、羽ペンのおじさん!」
『おじさんではない、物語の創造主——』
「勝手に人の休日の予定を書き換えないでくれる!?」
『……は? 何を……』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『強制・赤ペン先生(物理)』ぃぃぃっ!!」
シーラは巨大な赤いクレヨンを両手で構え、空中に浮かび上がっていた『——しかし、闇の軍勢の平和は長くは続かなかった。』というナレーションの文字に向かって、猛然と跳躍した。
『なっ!? ば、馬鹿な! 地の文に直接干渉するなど、メタフィクションの限界を超えて——』
キュキュキュキュキュッ!!! バツーーーッ!!
シーラは凄まじい腕力で、空中に浮かぶ展開の文字の上に、容赦なく赤いクレヨンで巨大な「×(バツ)」を書き殴った。
『ぎゃあああああっ!? 私の考えた完璧な新章のプロットが、小学生の落書きみたいな赤字で全否定にされたァァァッ!』
「はい、やり直し! ここはこう!」
さらにシーラは、消えかかっているプロットの隣に、赤いクレヨンで強引に続きを書き足した。
『……という夢を見たのだった。シーラたちは今日も一日中ゴロゴロして、とても幸せでした。おしまい!(にっこりマーク)』
『あ、あああ……物語の整合性が……無理やりすぎるハッピーエンドの力技で、私の存在意義が完結させられてしまうぅぅぅ……』
自ら書き足された「おしまい!」という絶大な強制力によって、羽ペンとインク瓶はポンッと音を立てて消滅し、現れかけていた光の敵も、何事もなかったかのようにスッと消え去った。
「あははっ! ほらね! おかしな文章があったら、上から赤で直しちゃえばいいんだよ!」
「シ、シーラ隊長……ついに『物語の地の文』すら、赤いクレヨンで物理的にボツにしちまった……!」
「新章の展開を『夢オチ』で強制終了させる……隊長の気合は、もはや作者の都合すら超えてるっすね……!(感涙)」
「よーし! 落書きして遊んでたらまた眠くなってきた! みんな、二度寝の時間だよー!」
どれほど壮大な新展開や設定を用意しようと、シーラの「休日の予定を邪魔するな」という理不尽な赤ペン指導(物理)の前には、文字通り「おしまい」にされる運命だった。
神々を超え、ついに「物語の枠組み」すらも気合で書き換え始めた闇のヒロインの無法者戦記は、いよいよ次元の壁を突破して(勝手に)突き進むのである。
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