◆◆◆ 第22話:因果律の逆転? だったら先に「勝利の宴」をやっちゃえ! ◆◆◆
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「あははっ! おっきな声を出したらスッキリしたー! さあ、次はいよいよ神様たちの親玉かな?」
言霊の神を「元気な挨拶」で吹き飛ばし、神域の最深部へと向かってズンズン進むシーラたち。
その行く手に、空間そのものが鏡のように反転し、歪んだ天秤を手にした神霊が立ち塞がった。
すべての事象の原因と結果を司る『因果の神・カルマ』である。
『……止まれ、論理の破壊者どもよ。我は因果律そのもの。この宇宙において「原因」のない「結果」は存在せず、「結果」は必ず「原因」に従う』
カルマが天秤を傾けると、シーラたちの周囲の空間がグニャリと歪んだ。
『我はすでに、貴様らとの戦闘における【因果】を逆転させた。貴様らが我を「攻撃する(原因)」を起こした瞬間、そのダメージは我ではなく貴様ら自身に「返ってくる(結果)」よう設定された。いかなる気合を込めようと、剣を振った瞬間に貴様らは自滅する』
「隊長! ダメっす! 攻撃した分だけこっちがダメージを受けるなんて、絶対に手が出せない防御陣っすよ!」
「気合を入れて殴れば殴るほど、俺たちが痛い目を見るってことか……!」
『いかにも。宇宙の絶対法則【因果律】の前には、力も気合も無意味。さあ、絶望と共に自滅——』
「へえー! つまりさ!」
カルマの重々しい宣告を遮り、シーラは巨大剣『ナイトメア・ブレイカー』を床に置き、リュックからゴソゴソと冷えたジュースの入ったグラスを取り出した。
「『結果』が決まれば、それに合わせて『原因』が後からついてくるってことだよね!」
『……は? 何を……』
シーラは満面の笑みでグラスを高く掲げ、後ろの部下たちに向かって叫んだ。
「みんなー!! この因果のおじさんを倒したお祝いの『打ち上げパーティー』、今から始めちゃうよーっ!! カンパーイ!!」
「えっ!? あ、は、はい! カ、カンパーイ!!(ヤケクソ)」
言われるがまま、戸惑いながらもジュースで乾杯し、唐突に「勝利の宴」を始める闇の兵士たち。
『な、な、なっ!? 貴様ら、何を血迷っている! まだ戦いは始まってすらいないぞ!』
「だ・か・ら!」
シーラはジュースを一気に飲み干し、口元を拭ってニカッと笑った。
「あたしたちが『敵を倒して大喜びでお祝いしてる(結果)』を先に作っちゃったんだよ! だから宇宙のルールを守るために、『おじさんがボコボコにされて負ける(原因)』が、今すぐ起きないと辻褄が合わないでしょ!!」
『……は?』
カルマの思考が完全にフリーズした。
「結果(勝利の宴)」がすでに確定してしまった以上、因果律を司る彼自身の能力が、「原因(カルマの敗北)」を強制的に引き起こそうと働き始めたのだ。
『ば、馬鹿な!? 私の因果律を、気合とノリの【先払い】で逆手にとっただと!? 宇宙の法則が……辻褄を合わせようと、私自身に物理的ダメージを……!』
ボキィィィィッ!! ドグァァァァッ!!
シーラが指一本触れていないにも関わらず、カルマの体に見えない「気合の猛打(原因)」が次々と叩き込まれていく。
「さあ! 打ち上げのメインディッシュ(原因)をいっくよーっ!!」
「結果」によって縛られ、身動きが取れなくなったカルマに向かって、シーラは巨大剣を思い切り振りかぶった。
「必殺! 『気合と根性のォォ……因果強制・後払いスマッシュ』ぃぃぃっ!!」
ドッゴォォォォォォォォォォォォォォン!!!
『ぎゃああああああああっ!? 順序が……原因と結果の順序がめちゃくちゃだァァァッ!』
天秤ごと真っ二つに叩き斬られ、因果の神はエラー音のような悲鳴と共に光の塵となって消え去った。
「あははっ! ほらね! 先にお祝いしちゃえば、絶対に勝てるんだよ!」
「シ、シーラ隊長……ついに宇宙の因果律すら、『宴会の先払い』っていう屁理屈と気合でねじ伏せちまった……!」
「俺たちの隊長、どんな神様よりタチが悪い(最高)っすね……!(歓喜)」
「よーし! 因果のおじさんも倒したし、このまま本物の打ち上げパーティーを続けよー! お肉焼くよー!」
原因があって結果がある?
そんな宇宙の真理すらも、シーラの「先に打ち上げをやっちゃえば勝てる!」という規格外のポジティブさの前では、ただの都合の良い舞台装置でしかなかった。
すべての概念と法則を気合で破壊し尽くし、闇の軍勢はいよいよ、神域の最奥に座す「絶対の存在」へと王手をかけるのである。
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