◆◆◆ 第17話:世界の初期化(フォーマット)? だったら進捗バーを叩き折れ! ◆◆◆
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「お邪魔しまーす! うわあ、ここが一番奥の部屋だね! ピカピカ通り越して、何もない真っ白な空間だよ!」
物理で粉砕したパスワード扉を抜け、シーラたちが辿り着いたのは、上位次元の中枢『マザー・コア』。
上下左右の境界すら存在しない、無限に広がる純白の空間である。
その中心に、幾何学的な光の輪を背負った、無機質で巨大な存在が浮かんでいた。
上位次元のすべてを統括する総括管理者・オメガである。
『……致命的なエラー要因の到達を確認。論理的解決は不可能と判断。これより、全システムの初期化を実行し、世界を設計図から再構築する』
オメガが感情のない声で宣言した瞬間、空間の中央に巨大な『光の帯(進捗バー)』が出現した。
【初期化進行度:1%……2%……】と、世界が消滅していくカウントダウンが視覚化されていく。
「た、隊長! ヤバいっす! あいつ、世界ごと俺たちを消去する気ですよ!」
「体が……透けてきてる!? このままじゃ、俺たちデータごと塵になっちまう!」
光の帯が伸びるにつれて、闇の兵士たちの足元がノイズ混じりに薄れ始めていた。
世界のルールそのものを書き換える「フォーマット」。いかにシーラの気合といえど、世界そのものが消滅してしまえば振るう場所すらない。
『初期化進行度:45%。抵抗は無意味だ。貴様らの存在証明は、まもなく完全に削除される』
絶望的な状況。だが、シーラは自分の手が少し透けているのを見て、感心したように頷いた。
「わー、なんか体がフワフワして面白いね! でもさ……」
シーラは巨大剣『ナイトメア・ブレイカー』を両手でしっかりと握り直し、空中に浮かぶ『光の帯(進捗バー)』をギロリと睨みつけた。
「あの光る棒が端っこまで行ったら、全部消えちゃうんでしょ?」
『いかにも。それがシステムの絶対原則——』
「だったら! あの棒が端っこに届く前に、へし折っちゃえばいいじゃない!!」
『……は? 何を言っている。あれはただの視覚化されたインターフェース(表示)であり、物理的な実体など——』
「いくよーっ! 気合と根性のォォ……『進捗強制ストップ・唐竹割り』ぃぃぃっ!!」
【初期化進行度:89%……90%……】
オメガの警告を完全に無視し、シーラは凄まじい脚力で虚空を蹴り上げ、空間の中央に浮かぶ「進捗バー」のド真ん中へと跳躍した。
そして、論理の象徴たる光の帯に向かって、一切の迷いなく大剣を振り下ろしたのである。
ガッッッッッッッッギィィィィィィィィィン!!!
『な、な、なっ!?』
オメガのシステム音声が、信じられないほどのノイズを上げた。
実体のないはずの「ただの表示」が、シーラの理不尽な気合と腕力によって物理的に叩き斬られ、【初期化進行度:95%】のところで真っ二つにへし折られたのだ。
『ば、馬鹿な!? 進行状況のプログレスバーを物理的に破壊しただと!? フォーマット処理が……エラー! 致命的エラー! 処理が継続できません!』
バキバキと音を立てて砕け散る進捗バーと共に、空間を包んでいた消滅の光がパチンと弾けて消え去った。
透けかけていた闇の兵士たちの体も、すっかり元通りである。
「あははっ! ほらね! 棒が折れたから、消えるのもストップしたよ!」
着地したシーラは、呆然と宙に浮くオメガに向かってニカッと笑いかけた。
『あり得ない……システムの根幹処理が、ただの暴力で……! 論理が……宇宙の法則が……!』
「難しいことはわかんないけど、気合が足りないから途中で止まっちゃうんだよ!」
オメガは完全に処理能力の限界を超え、そのまま「プシューッ」と情けない音を立ててシステムダウン。真っ黒な鉄の塊となって床に墜落した。
「シ、シーラ隊長……ついに世界のフォーマットすら、進捗バーをへし折るっていう荒技で止めてしまった……!」
「表示画面を叩き割ってシステムを止めるなんて……隊長の気合は次元が違うっす……!(感涙)」
オメガが沈黙したことで、上位次元の中枢を覆っていた刺すような眩しい光は消え去り、最高に落ち着く、静かで涼しい「漆黒の闇」が空間を満たしていった。
「よーし! これでこのお部屋も快適になったね! みんな、お疲れ様! ここでゆっくりお茶会にしようー!」
世界を消去する究極の論理すらも、ただの「棒」としてへし折ってしまった闇のヒロイン。
気合と根性さえあれば、世界のバグもエラーも初期化も、すべてはただの物理現象に過ぎない。
シーラの底抜けに明るい笑顔と共に、上位次元はついに完全なる「安らぎの闇」へと包まれたのである。
——第二部・上位次元システム編、完!
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