表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんか知らんけど世界が騒いでる~転生したら最強赤ちゃんでした~[カクヨムに連載中]  作者: Kurara-Lunaria


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/26

第7話 なんか選ばれたし友達出来た

さらに数分後――


「すみません。報告していたら遅くなりまし……た。あれ?」


ネラージュが部屋に戻ってきて、きょろきょろと辺りを見回す。


「ルーク様……?」


ついさっきまでいたはずの小さな生徒の姿が見当たらない。


机の上には、きれいに書かれた文字と、読み終えられた本だけが残されていた。


「……まさか」


ネラージュの視線が、部屋の奥へと向く。


重厚な扉。


普段は固く閉ざされているはずのそれが――


ほんのわずかに、開いていた。


 


◆禁書庫。


 


静まり返った空間。


本棚が整然と並び、空気はどこか澄んでいる。


ルークはその奥の椅子に座り、完全に本の世界に入り込んでいた。


ページをめくる音だけが、静かに響く。


 


カチャ。


 


扉が開く音。


ネラージュが、ゆっくりと中に入ってくる。


「……やはり、ここでしたか」


その声で、ようやくルークが顔を上げた。


「あ、おかえり」


何事もなかったかのように言う。


「ちょっと本読み終わっちゃってさ。面白そうなの多いから、ここで読ませてもらってた」


軽い。


あまりにも軽い。


ネラージュは一瞬言葉を失ったあと、静かに息を吐いた。


「……ルーク様」


「ん?」


「ここがどこか、分かっていらっしゃいますか?」


「本がいっぱいある部屋」


「間違ってはいませんが違います」


即答だった。


「ここは“禁書庫”です」


「へぇ」


反応が薄い。


「通常、この部屋には誰も入れません」


ネラージュは、後ろの扉へ視線を向ける。


「あの扉は特別でしてね。精霊と――ある存在の力で守られています」


「ある存在?」


「……条件を満たした者しか、開けることができないんです」


ルークは少しだけ振り返って扉を見る。


さっき開けたやつだ。


特に何も考えずに。


「ふーん」


(軽く流しましたねこの子)


ネラージュのこめかみがぴくっと動いた。


「普通は“ふーん”で済む話ではありません!」


思わず声が強くなる。


「つまりルーク様は、“選ばれた”ということです」


「そうなのか?」


「そうなんです!」


「へぇ」


「へぇじゃないです!!」


ネラージュは頭を抱えた。


(リアクションが薄すぎて逆に怖いです)


…… 


少し落ち着いてから、ネラージュは咳払いをする。


「……ですが、これは好都合でもあります」


「好都合?」


「はい。先ほど国王様とも話したのですが――」


少しだけ真剣な表情になる。


「ルーク様は、明らかに通常の人間とは違います」


「そうか?」


「そうです」


即答。


「言語理解、記憶力、魔力……どれを取っても規格外です」


(断言しましたね)


「そこで提案なのですが」


ネラージュは一歩近づく。


「“古代語”を学んでみませんか?」


一瞬、間が空いた。


「…古代語?」


「はい。現在、読める者はほとんどいません」


ネラージュの目が、わずかに輝く。


「ですが、もしルーク様なら――」


言いかけて、口元を押さえる。


「……いえ。読めなくても構いません」


(今“絶対読める”って思いましたね)


「もし興味があれば、私が所属している学者チームに――」


「えー……」


ルークは少しだけ考える。


正直、めんどくさい。


だが――


古代語、という響きは悪くない。


「まあ、面白そうではあるな」


「では!」


「明日からでいい?」


「ぜひ!!」


即答だった。


こうして、その日の授業は終了した。


◆ルークの部屋


「やあ」


……誰かいる。


ソファに座っていたのは、あの王子だった。


「なんでいるんだ?」


「ひどいなぁ」


軽く笑いながら立ち上がる。


「今日はどうだった?」


とりあえず聞かれたので答える。


「楽しかったよ」


本音だ。


本は面白かったし。


シリウスは少し考えてから、静かに口を開いた。


「……さ」


「ん?」


「出来れば、なんだけど」


少しだけ視線を逸らす。


「君と、友達になりたくて」


意外な言葉だった。


「みんな、気軽に話してくれないんだ」


シリウスは苦笑する。


「次期国王だからって、距離を置かれる」


「……」


「僕は普通に話したいだけなんだけどね」


なるほど。


「だからさ」


まっすぐルークを見る。


「君みたいに普通に話してくれる人が、欲しかったんだ」


……そこまで言われると、断る理由もない。


「いいよ」


「本当?」


「うん。じゃあ名前で呼ぶか」


「そうだね」


「名前なんだっけ?」


「今聞く?」


少し笑ってから、シリウスは言った。


「シリウス・グラン=ヴァルディア」


おお。


「強そうな名前だな」


「そうかな?」


「シリウスって呼んでいい?」


「いいよ」


少し嬉しそうに笑う。


「でも僕、そんなに強くないよ」


「いやいや」


ルークは即答した。


「俺より強いだろ。だって俺1歳だし」


沈黙。


「……君、1歳じゃないよね?」


「いや、1歳だぞ?」


さらに沈黙。


(誰でも疑います)


「あとなんか技名っぽい」


「名前が?」


「うん」


シリウスは吹き出した。


「ふふ……初めて言われたよ」


しばらく笑ってから、軽く手を振る。


「また来るね」


「おう」


ガチャ。


部屋が静かになる。


……なんだったんだ。


まあいいか。


今日はもう寝る。


ベッドに潜り込もうとした、その時。


ガチャ。


「おやすみ!」


「うわぁっ!?」


バタン。


……静寂。


……なんやねーん!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ