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なんか知らんけど世界が騒いでる~転生したら最強赤ちゃんでした~[カクヨムに連載中]  作者: Kurara-Lunaria


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第11話 みんな巻き込むぜ!

――1週間後(1歳)――


◆訓練場の隅


他の騎士たちから少し離れた場所で、俺は一人、石を握っていた。


朝の光が差し込む中、空気は静かだ。


周囲に人はいない。


……いや、正確には“近づいてこない”。


(理由は言わなくても分かりますよね。)


手の中の石に意識を集中する。


力を入れる。


ほんの少し。


ほんの少しだけ。


――ぐっ


……砕けない。


形を保ったまま、手の中に収まっている。


「……よし」


ゆっくりと息を吐く。


成功だ。


一週間。


ひたすら繰り返した結果。


ようやく、“壊さない力加減”を掴んだ。


強くするのは簡単だった。


だが、抑えるのは本当に難しい。


(普通は逆なんですけどね。)


軽く手を開く。


石は無傷のまま。


完璧だ。


周囲を見回す。


……誰もいない。


遠くの方に騎士たちが固まっているのは見えるが、明らかに距離を取っている。


まあいいか。


「呼ぶか」


――数分後。


「出来たぞ!」


声を張る。


離れた位置から、ライナスが慎重に近づいてくる。


一歩ずつ、様子を見るように。


(完全に警戒されていますね。)


「……本当ですか?」


疑い半分の声。


「見れば分かる」


石を渡す。


ライナスはそれを受け取り、じっくり観察する。


回して、指で押して、角度を変えて。


そして――


「……壊れていない」


小さく呟いた。


その声に、後ろにいた騎士たちもざわつく。


「成功、ですね」


ゆっくりと頷く。


「これなら、剣を振っても問題ないでしょう」


「マジか」


思わず声が出る。


ようやく次に進める。


木剣を手に取る。


深く息を吸って――


振る。


スッ――


空気を切る音。


何も起きない。


風も出ない。


剣も飛ばない。


ただの、綺麗な一振り。


「おお……」


思わず見直す。


完璧だ。


ブレイザーがぽつりと呟いた。


「……なんて綺麗な軌道だ」


その目は完全に見入っている。


シリウスも腕を組みながら頷いた。


「制御できるようになったら弱くなるかと思ったけど……逆だね。

無駄が全部消えてる」


(褒めてるようで若干失礼ですね。)


ライナスも満足そうに頷く。


「問題ありません。

その感覚を維持してください。」


「分かった」


軽く剣を振りながら感覚を確かめる。


……よし。


安定してる。


なら。


「じゃあさ」


振り返る。


「ここにいる騎士、全員と模擬戦するか」


一瞬。


空気が固まった。


「「えっ……」」


声が揃う。


明らかに引いている。


(そりゃそうです。)


「なんでだ?」


普通に聞く。


すると騎士たちが顔を見合わせた。


言いにくそうにしている。


まあいいか。


「じゃあ条件つける」


少し考えて、言う。


「俺に勝ったら――魔法で剣、強化してやる」


ピタッ。


空気が止まる。


次の瞬間。


「マジで!?」


「それ本物の強化!?」


「絶対強くなるやつだ!!」


さっきまでの空気が嘘みたいに変わる。


目の色が違う。


(分かりやすすぎません?)


ライナスがため息をつく。


「……強くなる話になるとこれです」


「まあ分かるけどな」


ブレイザーも苦笑している。


「……あ、団長も参加な」


「えっ」


間髪入れず言う。


「ライナスも」


「はい?」


周囲が盛り上がる。


「頑張ってください団長!!」


「副団長もお願いします!!」


(巻き込みましたね。)


シリウスが前に出る。


「じゃあ始めるよ」


一歩下がる。


「――開始!」


その声と同時に。


騎士たちが一斉に動いた。


足音が重なる。


複数方向からの同時攻撃。


剣の軌道が交差する。


……だが。


全部見える。


視線、重心、力の入り方。


動く前に分かる。


一歩ずれる。


斬撃が空を切る。


そのまま次。


避けて、流して、軽く当てる。


一人。


また一人。


確実に倒していく。


今は制御できている。


力も、速度も。


“普通より少し強い程度”に抑えている。


(基準がおかしいですが。)


――数分後。


静寂。


立っているのは、俺だけ。


シリウスが手を上げる。


「勝者――ルーク・アルヴェイン!」


勝った。


まあ、そうなるか。


軽く息を吐く。


だが。


一人だけ気になる奴がいた。


ブレイザーとライナスは別として。


最後まで、少しだけ反応していたやつ。


そいつに近づく。


「どうだった?」


声をかける。


騎士は頭をかきながら笑った。


「いやー、速すぎっすね。

一応ガードしたつもりだったんですけど」


癖が強めの口調だな。


だが動きは悪くなかった。


「名前は?」


「カイネル・ドラヴァンっす。よろしくっす」


……ノリ軽いな。


(かなり浮いてますね。)


「その名前覚えておこう」


短く言う。この言葉、言ってみたかったんだよね。


カイネルが少し驚いた顔をした。


まあいい。


――その後。


部屋に戻る。


ベッドに倒れ込む。


「……楽しかったな」


天井を見上げる。


騎士たち。


シリウス。


ブレイザー。


ライナス。


……いい環境だ。


剣は、もういいだろう。


なら次だ。


「魔法だな」


体を起こす。


魔法をちゃんと教えられるやつ。


いるはずだ。


◆客間


扉を開けると、国王がすでに座っていた。


「珍しいな。おぬしから来るとは」


「単刀直入に言うけど、魔法教えられるやついる?」


間髪入れず聞く。


国王が固まる。


「……もう剣は終わったのか?まだ一月も経っておらんぞ」


「終わった」


短く答える。


国王はしばらく黙ったあと――


小さくため息をついた。


「……まあ、おぬしだしな」


(諦めましたね。)


「魔法団長を呼ぶ」


騎士に指示を出す。


しばらくして。


バタバタと足音が近づいてくる。


「失礼します!遅れました――」


扉が開く。


勢いよく入ってきた人物が――


こちらを見た瞬間。


「きゃーーー!!可愛い!!」


突撃。


「ぐえっ」


抱きつかれた。


強い。


見た目と違って、普通に力がある。


(頑張ってください。)


国王が呆れた声で言う。


「エルフェード、苦しがっておるぞ」


「はっ!すみません!」


ぱっと離れる。


目がキラキラしている。


「私、可愛いものが大好きでして……!」


知るか。


国王が説明する。


「こやつが魔法団長、エルフェード・ミスティアだ。

このルークに魔法を教えてもらう」


エルフェードが身を乗り出す。


「なるほどー!魔法覚えたいんでちゅね〜?」


……。


限界だ。


「普通に話せるし!心は絶対そっちより上だからな!?」


(ついに言いましたね。)


エルフェードの目がさらに輝く。


「わぁ!元気!!いいですね〜その感じ!」


(会話が成立していません。)


国王が笑いを堪えている。


「まあ任せたぞ」


「はい!」


エルフェードが手を引く。


「じゃあ行きましょう!

私のおもちゃ――じゃなくてお友達として!」


……今、聞き間違いじゃないよな?


(アウトです。)


引っ張られながら思う。


……なんでここ、変なやつしかいないんだ?


(類は友を呼ぶ、ですね。)


納得いかないまま。


俺の“魔法編”が、始まった。

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