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第70話 新たな発見

「待って」


少女が、何かに気づいた。


立ち上がって、美久に近づく。


2メートルで止まるが、じっと観察する。


「美久さん、あなた...」


「はい?」


「純粋に、ただ猫が好きなだけ?」


「え?もちろん」


美久は、当たり前のように答えた。


「他に理由なんてありません」


「猫を飼いたいとか、所有したいとかじゃなくて?」


美久は、少し考えてから答えた。


「飼いたい気持ちもあります」


「でも、それより...」


「それより?」


「ただ、一緒にいたいだけ」


「触れなくても?」


少女の質問は、核心を突いていた。


美久は、きっぱりと答えた。


「触れたら嬉しいけど...」


「見てるだけでも幸せです」


「声を聞けるだけでも」


「同じ空間にいられるだけでも」


「それだけで、十分幸せです」


少女と黒猫は、顔を見合わせた。


何か、重要なことに気づいたような表情。


「それだ」


「それ?」


黒猫が説明した。


「多くの人間は、猫を『飼う』ことを考える」


「所有し、管理し、支配する」


「自分の思い通りにしたがる」


「でも、あなたは違う」


少女が続けた。


「ただ、存在を認め合いたいだけ」


「共にいることを望むだけ」


「相手を変えようとしない」


「それって...普通じゃない?」


美久の素朴な疑問に、二人(?)は苦笑した。


「普通じゃないわ」


「むしろ、稀有」


「人間は、愛するものを所有したがる」


「自分のものにしたがる」


「でも、あなたは...」


子猫が、美久の顔を見上げて言った。


「だから、ボクはお姉ちゃんが好き」


「!」


美久は、また泣きそうになった。


嬉しくて、嬉しくて。


初めて。


初めて、猫に「好き」と言われた。


22年間、待ち続けた言葉。


夢にまで見た言葉。


「私も...私も好き...大好き...」


美久は、子猫を抱きしめながら泣いた。


幸せの涙が、止まらない。

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