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第69話 真実の解明

「どういうこと...」


少女が、子猫をじっと観察した。


子猫は、美久の腕の中で完全にリラックスしている。


ゴロゴロと喉を鳴らし続けている。


人間に戻る気配もない。


苦しんでいる様子もない。


「もしかして...」


黒猫が、ある仮説を口にした。


「この子は、まだ完全に変化していない」


「だから?」


「だから、影響を受けにくいのかも」


少女が、別の可能性を示した。


「いえ、違うわ。見て」


子猫の様子を、よく観察する。


確かに、変化の兆候はある。


瞳孔は、少し縦長。


耳の形も、普通の子猫より少し大きい。


爪も、少し人間っぽい形。


「この子の『芯』は、まだ迷っている」


「迷っている?」


美久が聞き返した。


涙を拭きながら。


でも、手は子猫を離さない。


22年分の愛情を込めて、優しく撫で続ける。


「人間のままでいたいのか、猫になりたいのか」


少女は、優しい目で子猫を見た。


「その迷いが、あなたの力から守っているのかも」


「でも、なぜ私に...」


美久の問いに、子猫が答えた。


「だって、お姉ちゃん、優しい匂いがするから」


はっきりとした、人間の言葉で。


子供のような、高い声で。


「!」


美久は、驚いて子猫を見つめた。


「話せるの!?」


「うん」


子猫は、美久の腕の中で体勢を変えた。


美久の顔を見上げる。


「ボク、ずっと見てた」


「見てた?」


「お姉ちゃんが、泣いてるところ」


「みんなに避けられて、悲しそうなところ」


「でも、それでも猫が好きって言ってるところ」


子猫の青い目が、真っ直ぐ美久を見つめる。


「それに...」


「それに?」


「お姉ちゃんも、寂しそうだったから」


「ボクと同じ」


その言葉に、美久の涙がまた溢れた。


でも、今度は違う。


温かい涙。


通じ合えた喜びの涙。


理解してもらえた安堵の涙。


「ありがとう...」


美久は、子猫をぎゅっと抱きしめた。


優しく、でもしっかりと。


もう離したくない、という気持ちを込めて。

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