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第66話 深まる絶望

美久は、鈴を見つめた。


祖母の形見。


ずっと大切にしてきたお守り。


「これが...原因...」


「いえ」


少女が否定した。


「鈴は、力を制御するためのもの」


「これがなければ、もっと...」


「もっと?」


「あなたの力は、もっと強力で制御不能だった」


美久は、愕然とした。


「じゃあ、これがあっても2メートルなら...」


「なかったら、もっと遠くから逃げられていた」


「10メートル?20メートル?」


「分からない。でも、相当な距離」


美久の顔が、さらに青ざめた。


「私...本当に疫病神...」


膝から力が抜ける。


正座が崩れて、ぺたんと座り込む。


「生まれつき、猫に害を与える存在...」


「そうじゃない」


少女が、強い口調で否定した。


「あなたは、害を与えているんじゃない」


「守っているの」


「守る?」


「彼らが、人間に戻ることから」


美久は、顔を上げた。


涙で濡れた顔。


理解できない、という表情。


「でも、みんな幸せそう...」


「そう、今は」


黒猫が言った。


「でも、全員が自分の意思で変化したわけじゃない」


「迷い込んで、なし崩しに変化した者もいる」


「本当は、人間に戻りたい者もいるかもしれない」


「でも、方法がない」


「そこに、あなたが現れた」


美久は、理解し始めた。


でも、それは新たな重荷だった。


「私の存在が、みんなを脅かしている...」


「望まない変化を、強制するかもしれない...」


「だから...」

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