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第65話 陽の巫女の伝説
少女が読み上げる。
「『陽の巫女の一族』」
「太陽の力を宿し、浄化の力を持つ者たち」
「彼らは、闇を払い、歪みを正す」
「しかし、その力ゆえに...」
黒猫が引き継いだ。
「陰の存在からは避けられる」
美久は、混乱した。
頭の中で、情報が渦巻く。
「陰の存在って...猫が?」
「いえ、猫は陰陽どちらでもない」
少女が説明する。
「猫は、境界の生き物」
「昼と夜の間」
「現実と夢の間」
「生と死の間」
「だから、陰陽のバランスに敏感」
「ただ、この町は...」
「陰に傾いている」
黒猫が引き継いだ。
「人が猫になるということは、ある意味で陰への変化」
「現実から夢へ」
「理性から本能へ」
「社会から自然へ」
「だから、陽の力を持つあなたは...」
「天敵...」
美久の声は、絶望に沈んでいた。
新たな理解が、さらなる絶望を生む。
ただ嫌われているんじゃない。
存在そのものが、相反している。
水と油。
光と影。
絶対に交わることのない、対極の存在。




