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第58話 奥の部屋へ
一番奥の部屋に案内された。
立派な床の間のある、広い和室。
十畳はあろうかという広さ。
床の間には、掛け軸。
達筆で何か書かれているが、読めない。
古い言葉のようだ。
障子は新しく張り替えられている。
真っ白な和紙が、残照を柔らかく通している。
畳も、比較的新しい。
い草の香りがする。
落ち着く香り。
黒猫が、障子の前で止まった。
「ここだ」
そして、また前足でノック。
コンコン。
「どうぞ」
中から、澄んだ声。
若い女性の声。
でも、どこか古風な響きがある。
障子を開けると、そこには少女が座っていた。




