表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/103

第54話 祢古屋旅館への道

猫たちに囲まれながら、美久は町の中心部へ向かった。


もう、周りの景色を見る余裕もない。


ただ、足を前に出すだけ。


右足、左足、右足、左足。


機械的な動き。


心ここにあらず。


道中、美久は小さな声で呟いた。


「みんな、幸せそうですね」


黒猫が答えた。


「まあ、それなりに」


「いいな」


美久の声に、羨望が滲んだ。


心の底からの羨ましさ。


羨ましい。


居場所がある猫たちが。


仲間がいる猫たちが。


受け入れられている猫たちが。


人間をやめてでも、ここにいることを選んだ人たちが。


「私も、仲間が欲しかった」


ポツリと漏らした本音。


22年間、押し殺していた願望。


黒猫は、言葉に詰まった。


この人間の孤独が、痛いほど伝わってきた。


ずっと一人で。


ずっと拒絶されて。


それでも、猫を愛し続けて。


諦めずに、信じ続けて。


そして、やっと辿り着いた場所でも...


「君は...」


黒猫が何か言いかけた時、大きな建物が見えてきた。


木造三階建て。


堂々とした和風建築。


「祢古屋」という看板。


達筆な文字が、夕日に照らされている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ