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第53話 会議の結果

やがて、大きな黒猫が戻ってきた。


表情は複雑だった。


困惑、諦め、そして...決意?


「決まった」


「...はい」


美久は、涙を拭いて顔を上げた。


袖で乱暴に拭いたので、顔が赤くなっている。


「君を、責任者のところへ連れて行く」


「もう会いましたけど」


美久は、管理者の方を見た。


黒いスーツの猫人間は、少し離れたところで見守っている。


「違う。本当の責任者」


「本当の?」


美久は、気のない返事をした。


もう、何も期待していなかった。


期待して、裏切られるのが怖い。


心が、これ以上傷つくのを拒否している。


黒猫は、美久の様子を心配そうに見た。


「君、大丈夫?」


「大丈夫です。慣れてますから」


その言葉に、黒猫は胸を突かれた。


耳が、ペタンと後ろに倒れる。


申し訳なさそうな表情。


「慣れてる...か」


苦い響き。


その言葉の重さを、黒猫は理解した。


「はい。生まれてからずっとこうでしたから」


美久は、力なく微笑んだ。


その笑顔が、痛々しい。


無理やり作った笑顔。


崩れかけの笑顔。


「22年間、ずっと」


黒猫は、言葉を失った。


22年。


人間の22年が、どれほど長いか。


どれほどの孤独か。


どれほどの苦痛か。


猫の寿命なら、2回分。


その間ずっと、拒絶され続けた人生。


「...行こう」


黒猫は、優しく言った。


声に、本物の優しさが込められている。


美久は、ゆっくりと立ち上がった。


よろよろと。


膝が震えている。


立ちくらみがする。


でも、白猫が心配そうに見守ってくれている。


それが、少しだけ力をくれた。

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