第42話 猫カフェ(?)への道
黒猫に導かれて歩いていくと、商店街の奥に比較的きれいな建物が見えてきた。
木造二階建て。
他の建物と違って、手入れが行き届いている。
壁の塗装も新しく、瓦も整然と並んでいる。
看板が掛かっていた。
「猫々茶房」
達筆な筆文字。
墨の濃淡が美しい。
「猫カフェ!」
美久の期待は最高潮に。
目を輝かせて、建物を見上げる。
「やった!絶対入る!」
黒猫は、複雑な表情で美久を見た。
金色の瞳に、心配と困惑と、そして少しの期待が混じっている。
「本当に...入るの?」
「当たり前じゃん!」
美久は、迷わず扉に手をかけた。
木製の引き戸。
取っ手は真鍮製で、猫の形をしている。
ひんやりとした感触。
「ちょっと待っ」
黒猫の制止も聞かず、美久は扉を押した。
ギィィ...
古い蝶番が、重い音を立てる。
扉が開くと、薄暗い店内が見えた。
店内の光景
目が慣れてくると...
「うわ〜!」
店内にも猫がいた。
たくさんの猫。
10匹、20匹...いや、もっと。
薄暗い店内のあちこちに、光る瞳が見える。
金色、緑色、青色。
様々な色の瞳が、美久を見つめている。
でも、配置が異常だった。
等間隔。
完璧な等間隔。
まるで、誰かが定規で測って配置したような。
縦3メートル、横3メートルの正方形グリッド。
その交点に、正確に一匹ずつ。
チェス盤の上の駒のような正確さ。
向きも統一されている。
全員が入口の方、つまり美久の方を向いている。
そして全員、美久を見ている。
瞬きもせずに。
石像のように動かない。
呼吸しているのかも分からないほど、静止している。
美久の笑顔が、凍りついた。
口元は笑顔の形のまま、でも目が笑っていない。
これは...
異常すぎる。
動物の行動として、ありえない。
群れを作る動物でも、ここまで正確な配置は取らない。
軍隊でも、ここまで完璧には並べない。
でも、すぐに復活。
美久の心の防御機構が作動する。
「みんな、お行儀いい〜!」
声が、若干うわずっている。
でも、ポジティブな解釈を続ける。
きっと、特別な訓練を受けているんだ。
サーカスの猫みたいに。
そう、それならありえる。




