第40話 さらなる異常
商店街を歩いていくと、奇妙な光景に次々と出くわした。
どの店も、看板はあるが営業している気配はない。
でも、人(?)の気配はある。
ガラス越しに、チラチラと動く影。
逃げるように奥に引っ込む姿。
そして、町の住人たちの姿。
公園では、ブランコに乗る猫。
いや、乗るというより、人間のように座っている。
足を前後に振って、ブランコを漕いでいる。
チェーンを握る前足は、人間のような動き。
でも、顔は完全に猫。
(掲示板で見た『二足歩行する猫』の報告!)
「器用〜!」
美久は写真を撮ろうとしたが、猫はスッと降りて逃げてしまった。
もちろん、2メートルの距離を保って。
道端では、新聞を読む猫。
ベンチに座り、前足で器用に新聞を持ち、じっと記事を見つめている。
老眼鏡までかけている。
鼻の上に、ちょこんと。
「賢い〜!」
でも、よく見ると新聞は逆さまだった。
文字が、上下反転している。
読んでいるふりをしているだけ?
それとも、猫には逆さまの方が読みやすい?
美久は、そっと目を逸らした。
考えないようにする。
考えたら、おかしくなりそうだから。
電柱の前では、二本足で立つ猫。
直立不動の姿勢。
まるで、待ち合わせをしているかのように。
腕時計...いや、前足に時計を巻いている。
文字盤を確認する仕草。
人間そのもの。
「おしゃれ〜!」
美久の声が、震えていた。
もう、感嘆詞しか出てこない。
まともな感想を言おうとすると、恐怖が溢れ出しそうだから。




