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第29話 甘い香り

車に戻って、さらに進む。


すると、空気が変わった。


「ん?」


甘い匂いがする。


窓を少し開けて、深呼吸。


濃密な、花のような香り。


でも、普通の花とは違う。


腐った果実のような、でももっと...魅惑的な匂い。


(これも、ネットで見た情報にあったような...)


「なんだろう、この匂い」


嗅いだことがあるような、ないような。


記憶の奥底で、何かがざわめく。


子供の頃に嗅いだことがあるような...


いや、もっと前。


生まれる前?


「ありえない」


美久は、頭を振った。


でも、確かに懐かしい。


DNAレベルで知っているような、原始的な郷愁。


深呼吸を繰り返す。


甘い空気が、肺を満たす。


すると、頭がくらりとした。


「あ...」


慌ててハンドルを握り直す。


車が少し蛇行した。


(危ない。集中しなきゃ)


でも、なぜか心地良い。


まるで、子供の頃に戻ったような...


母親の腕の中にいるような...


安心感。


「何考えてるんだろ、私」


美久は、窓を閉めた。


この香りは、危険だ。


本能的にそう感じた。


でも、同時に惹かれる。


もっと嗅ぎたい。


もっと深く。


もっと...


「ダメダメ!」


美久は、自分の考えを振り払った。

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