表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/103

第20話 レンタカー店にて

7時30分、レンタカー店に到着。


朝一番の営業開始時間に合わせて来たが、すでに数人の客が待っていた。土曜日の朝から出かける人は意外と多い。


「おはようございます!予約していた相沢です!」


美久の元気な挨拶に、若い男性店員が眠そうな顔で対応してくれた。まだ完全に目が覚めていないようで、あくびを噛み殺している。


「相沢様...ええと、軽自動車のご予約ですね」


「はい!一番安いやつで!」


本当は、もっと大きな車が良かった。でも、予算を考えると軽自動車が限界。それでも、車があるだけでありがたい。


手続きを進めながら、店員が聞いてきた。


「本日はどちらまで?」


「えっと...山の方をドライブしようかと」


曖昧に答える。「祢古町」と言っても、どうせ知らないだろうし、説明するのも面倒だ。というより、説明できない。


「山道でしたら、お気をつけくださいね。この時期はまだ路面が凍結している場所もありますから」


「はい、気をつけます!」


契約書にサインをして、いよいよ車のキーを受け取る。


駐車場に案内されると、そこには白い軽自動車が待っていた。


スズキのワゴンR。少し古い型だが、きれいに整備されている。


「相棒、今日はよろしくね」


美久は、車のボンネットを優しく撫でた。まるで、生き物に話しかけるように。


荷物を積み込む作業は、パズルのようだった。


助手席には猫グッズ満載のバッグ。いつでも取り出せるように。 後部座席にも予備の猫用品が山積み。 トランクには、それ以外の荷物をぎっしり。


「忘れ物ないよね...あ!」


美久は慌てて、もう一度バッグを確認した。


「猫の絵本!これも持っていこう」


車に戻って、ダッシュボードの下から取り出したのは、古い絵本。


『ねこのまち』


表紙は色褪せ、角は擦り切れている。幼い頃から大切にしている絵本で、美久が文字を覚えたのもこの本だった。


内容は単純。人間の女の子が、猫だけが住む不思議な町に迷い込む話。そこで猫たちと友達になって、楽しい時間を過ごす。最後は人間の世界に戻るが、「またね」と約束して別れる。


「今思えば、予言みたいな話だなあ」


絵本を助手席の見える場所に置く。なんとなく、縁起が良さそうで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ