第101話 猫カフェ「ねこまち」準備開始
2025年3月下旬
謎の資金援助を受けて、美久は本格的に猫カフェの準備を始めた。
場所は、駅から徒歩10分の古い一軒家。
「ここなら、みんなも来やすいかな」
美久は、祢古町の猫たちのことを考えて物件を選んだ。
いつか、再会できる日のために。
不動産屋で契約する時、現金一括払いに驚かれた。
「珍しいですね、最近は」
「はい...貯金してたので」
改装工事は、友人たちが手伝ってくれた。
「みく、すごいじゃん!本当に開くんだ」
千春が、ペンキを塗りながら言った。
「奨学金の返済免除って、そんなに貰えるの?」
「...運が良かったの」
美久は曖昧に答えた。
でも、心の中では感謝していた。
みんな、ありがとう。
絶対に成功させるから。
2025年4月15日
改装がほぼ完了した時、美久の元に一匹の猫が現れた。
黒猫。
でも、普通の黒猫じゃない。
「君...まさか」
黒猫は、美久を見て小さく鳴いた。
「にゃあ」
でも、その鳴き声には、確かに感情がこもっていた。
瞳の奥に、見覚えのある知性の光。
「本当に...来てくれたの?」
黒猫は、美久の足元で丸くなった。
2メートルの距離ではなく、すぐそばで。
「ありがとう...みんなにもよろしく伝えて」
黒猫は、「にゃあ」と返事をするように鳴いた。
まるで「了解」と言っているかのように。
■開店初日
2025年4月20日(土)
猫カフェ「ねこまち」が、ついに開店した。
開店初日、予想以上の客が来た。
友人たち、大学の仲間、近所の人々。
「素敵なお店!」
「猫ちゃん、人懐っこい!」
「内装、すごくお金かかってそう」
最後のコメントに、美久は苦笑した。
確かに、お金はかかった。
でも、それは愛情の対価。
プライスレスな想いの結晶。
黒猫は、完璧に普通の猫を演じていた。
でも、美久には分かる。
彼の瞳に宿る、深い知性と優しさ。
そして、時々見せる意味深な表情。
まるで「みんな元気だよ」と言っているような。
閉店後、美久は黒猫に話しかけた。
「みんなのお金で開店できた」
「絶対に成功させるから」
「必ず、恩返しするから」
黒猫は、美久の膝の上で喉を鳴らした。
ゴロゴロと、満足そうな音。
それが、みんなからの返事のように聞こえた。




