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料理 1

SIDE 龍燈 彩



「えいっ!」


私は今、龍海さんのためにお夕飯を作っています。作っているのは、ハンバーグ。レシピの見た目とはかなり違っていますが、父も美味しすぎて寝込んでしまったと、母が言っていたくらいですから大丈夫でしょう。


「え〜と、塩胡椒を少々。」


・・・出にくいですね。もう少し力を込めて振りましょう。


ドバッ


・・・・・・混ぜてしまえば分かりませんね。



「・・・このままじゃ面白くありませんね。せっかく龍海さんに食べてもらうんです。何か、ひと工夫を・・・あっ、レモンがあります。これで爽やかなハンバーグに。」



次は成形です。せっかくなのでハートの形にしましょう。・・・よし。あとは焼くだけです。


油をよく引いて、火をつけます。このとき、強火ではなく弱火から中火と書いてありますね。え〜と、理由は強火だと中が生焼けだからですね。火を、少し弱めの中火にして、(ハンバーグ)を入れます。片面が焼けたら、ひっくり返して・・・あ〜!!ハートが、ハートが割れてしまいました。仕方ありません。これは、私が責任を持って食べましょう。龍海さんにはハートのやつを食べてほしいですからね。


両面が焼けたら、料理酒をふりかけ、蓋をする。・・・料理酒って入れていいんですかね?まぁ、酔っ払ってしまったら私が介抱しますし大丈夫でしょう。・・・・・お酒で浅くフライパンに池ができてしまいました。レシピには・・・大さじ3とありました。・・・蒸発させましょう!火を強めて、蓋をすればお酒が多い事以外レシピ通りのハンバーグの作り方です!!これなら、龍海さんを喜ばせることもできるでしょう。













SIDE 滝野瀬 龍海




僕は、今不安な気持ちが溢れかえりそうになりながら椅子に座っている。この不安な気持ちの理由は台所から聞こえる調理音?だ。調理上で発生しないような音が聞こえて来ている。・・・龍燈さん、料理は最近作り始めたって言っていたな。・・・大丈夫だろう。きっと。



「龍海さん。できました!」


龍燈さんが大皿を持って近づいてくる。その大皿の上は少し焦げてはいるがたっぷりとソースがかかった美味しそうなハンバーグがあった。


「お疲れ様、龍燈さん。・・・美味しそうだね。」


「はい。過去一番によくできました。ただ、時間がなかったのでお味噌汁はインスタントですが。」

龍燈さんが申し訳無さそうに言う。だが、別に味噌汁はインスタントでも構わない。


「いいよ。インスタントがあるのは時間がないときのためだしね。」

そう、僕もたまに時間がないときはインスタントの味噌汁を代用している。案外、簡単で美味しいのだ。


「じゃあ・・・食べてみてください。」

そう言って龍燈さんは大皿を差し出す。


「・・・いただきます。」

僕は大皿からハンバーグを一つ取ろうとしたが・・・


「あっ!!それは、駄目です。こっちを食べてください。」

と、入れ替えられてしまった。さっきのハンバーグとは違いこのハンバーグはハートの形をしている。


「さぁ、どうぞ。」

そう言ってから龍燈さんもさっき入れ替えたハンバーグを食べようとしている。


「う、うん。」

一応、中が焼けているかの確認をしてから口に入れる。


口に入れた瞬間、物凄い胡椒の辛味とお酒の匂いが充満した。あとから来るのは・・・レモン?飲み込んでから、舌がしびれていることに気づく。味のバランスが・・・。


「どうですか。龍海さん。」

龍燈さんは餌を前にした子犬のような笑顔で聞いてくる。当然、ありのままを言えるはずもなく


「・・・ちなみに胡椒と料理酒はどのくらい入れたの?」

と質問に質問で返してしまった。すると、龍燈さんはわかりやすく狼狽え


「ちょ、ちょっと多かったですかね。では、私も。」

と、止める間もなく口に入れてしまった。


そして、口の中のものを飲み込んでから龍燈さんは


「・・・・・」

バタリ


倒れてしまった。



















SIDE 龍燈 彩




う、うぅ。ここは?

優しい匂いに包まれながらぼんやりと目を覚ますとそこは龍海さんのベットでした。すると、口に異物を感じました。


「!卵の殻?口の中がなんか変な感じです。」


私は何を食べたんでしたっけ?確か・・・あっ!!!私は私の作ったハンバーグを食べて倒れてしまったのでした。まさか、ここまでひどいとは。おまけに、卵の殻まで入っているなんて。せっかく、龍海さんに美味しいって言ってもらえるように頑張ったのですが。・・・龍海さんもハンバーグも食べていました!!大丈夫でしょうか。ですが、まずあの劇物(ハンバーグ)をなんとかしたほうがいいですね。


そう思って急いで、リビングに行くと


「・・・・・・・ごちそうさまでした。」


龍海さんが劇物(ハンバーグ)を一人で食べきっていました。


「えっ、龍海さん!それ、全部食べきったんですか!そんな、美味しくないもの!」

私は、それをひとくち食べて失神したというのに。


「・・・まぁ。お腹減っていたし。食べ物はあまり捨てたくはないし。それに、何より龍燈さんが一生懸命作ってくれたからね。」


そう言いつつも龍海さんの顔は青白いです。きっと、無理して食べたんでしょう。時計を見ると今の時間は夜の9時。2時間も食べ続けたということになります。





「龍海さん。」


思わず言葉が口から出てしまいます。言いたくないのに。


「ん、なに?龍燈さん?」


もし、私が考える中で最悪の返答だったら私はもう生きていけないのに。


「私は、・・・私は迷惑ですか?」


「え?」


嫌です。聞きたくありません。でも、口が勝手に動いてしまいます。


「突然、押しかけてきて。最初は冷たく接して。その後、グイグイと迫って。おまけに、料理すらまともに作れなくて。こんな、私は迷惑ですよね。龍海さん。」


嫌です。迷惑って言わないでください。


「・・・確かに最初は何なんだろうって思った。突然、許嫁とか決めてきた両親にも龍燈さんにも苛ついた。」



あぁ、苛つかれていたんですね。その言葉を聞いた瞬間、足元が崩壊した感じがして、立っている感覚がなくなりました。しかし、床に倒れ込む瞬間に私の体は温かい存在に受け止められました。


「へっ?」


「でも、今日1日で君と話す時間が、歩く時間がとても楽しかった。だから、迷惑だなんて思わない。君が僕のことを嫌わない限り、ここにいてほしい。僕のこの感情が恋愛感情というものなのかは分からない。けれど、もしそうなら僕は君が、龍燈さんが好きになってきているのだと思う。」


その言葉を聞いた瞬間、顔だけじゃなく体中が熱くなったのがわかりました。龍海さんの頬にも薄っすらと赤みが差しています。



「・・・龍燈さん。もし、僕のことが嫌じゃないなら明日から一緒に夕飯を作らない?僕がサポートするから。」




「は、はい。よろしくおねがいします。」


そしてその言葉を最後に、私は情報量過多でまた気絶してしまいました。












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