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登校 1

「皆さん。初めまして、このクラスを担当する宇佐見 麻衣子(うさみ まいこ)と言います。私も先生1年生です。皆さんと一緒に成長していきたいので宜しくおねがいします。」


そう言って教壇に立つ先生は90度お辞儀をした。その先には教卓がある。当然、先生はその机に頭をぶつけて…


「痛ったぁぁい!……はっ。で、では、皆さん自己紹介をしてください。自分の趣味や特技、伝えたいことなどを加えたものをお願いします。」


痛そうにしていたが、生徒の前ということを思い出したのか、涙目になりながらも自己紹介を始めさせた。

今日や僕や龍燈さんが3年間通うことになる大鷹高校(おおたかこうこう)の入学初日。龍燈さんは入試のときはこの学校に入学する気はなかったのでいなかったが、その後、2次募集で無事この学校に入れることになった。


「出席番号 1番 安藤 希美(あんどう のぞみ)です。宜しくおねがいします。趣味は裁縫です。」

「出席番号 2番 伊藤 灯芯(いとう とうしん)です。宜しくおねがいします。特技は走ることです。」

・・

・・

・・

・・




………僕、趣味ってなんだっけ?……料理でいいや。


その後も自己紹介は続き、ついに僕の番が来た。


「出席番号 24番 滝之瀬 龍海です。宜しくおねがいします。趣味は料理です。」


うん。特に大きな反応はなし。これなら、一年間平穏に過ごせそうかな。


「出席番号 30番 龍燈 彩です。宜しくおねがいします。趣味は読書です。」


うん。龍燈さんも普通の自己紹介をしてくれた。


このクラスは全員で35人。学年の人数は一学年7クラスの計245人。クラスは書道・美術・音楽で分かれていて僕は書道選択。龍燈さんも母さんから聞いて書道選択だ。


「はい、全員の前での自己紹介は終わったので次の時間は班に別れて詳しくやりましょうか。」


この学校は進学校だが、4月の間は授業がほとんど無く、交友関係を築くことに設けるらしい。なので、こんなに自己紹介に時間を割けるというわけだ。


休み時間に入り、本でも取り出そうかと思ったら突然、目の前に誰かが現れた。


「龍海さん!!一緒のクラスですね!」


龍燈さんだ。表情を見るまでもなく声だけでものすごく嬉しそうだとわかる。


「うん。これから1年間よろしく。」


本人は忘れているのだろうが彼女は美少女だ。なので、声をかけようとしていた&声をかけた人がこっちを凝視している。特に、仲良くなろうとしたのかすでに声をかけ、冷淡な返事をされた龍燈さんの隣の席の男子生徒は殺意のこもった視線を送ってくる。


そんな事も知らずに彼女は


「いえ、1年間だけじゃありません。何十年も一緒がいいです。」


と返答してきた。その言葉に僕らを見ていたクラスの人達がざわめく。おまけに、彼女の顔が真っ赤なので更にざわめきが広がる。


そんなざわめきの中、一人の男子生徒が別のクラスからやってきた。周囲からは「おい、あいつ。」「ああ、南中学で一日にして100人から告白されたという100人切りの異名を持つ、須藤 瞬(すどう まどか)だ」「だけど、あいつ顔は良かったし頭も良かったけどこの学校に入れるほど性格良かったっけ?」という声が聞こえてくる。


そんな、100人切りの彼は僕と龍燈さんの前に来ると


「やぁ、初めまして。龍燈さん。僕は須藤 瞬。」

「はぁ、なんですか。わざわざ、別のクラスから。」


気のせいか、龍燈さんの声に氷の棘が刺さっている気がする。


「実はね、君に一目惚れしてしまって。だから、僕と付き合ってくれないかい?」


いきなりの告白。しかも顔を見て好きになったというパターン。僕も周りの生徒もドン引きだ。そんな彼に対し龍燈さんは・・・。


「お断りします。それじゃあ、用はなくなったと思うので帰ってください。」

「それでですね、龍海さん。今日、学校が終わったら一緒に買い物に行きませんか?今日も料理を教えてほしいんです。」


ブリザードの返事で断り、僕に放課後買い物に行かないかと誘ってきた。しかも、料理を教えてほしいという言葉を残して。


「いいけど……。「ちょっと待て!!」あぁ、やっぱり。」


100人切りの彼が再起動し、叫んできた。


「は、恥ずかしがらなくてもいいんだよ。もう一度チャンスをあげよう。僕の彼女になりたまえ!」


うわっ。あんなにはっきりと言われたのにここまで執着が強いとは。しかも、なりたまえって。確実に彼の高校生活は周りから白い目で見られるだろう。


龍燈さんは・・・


「はぁぁ。しつこい人ですね。あなたの彼女になる気はありません。はっきり言ってあげましょう。()()()()。それに私には好きな人がいるので。」


思いっきり拒絶した。すると、100人切りの彼は周りに人がいることも忘れて


「ふ、ふ、ふざけるな!!なんで、僕の彼女にならない!!」


癇癪を起こし、握りこぶしを振り上げようとした。だが、告白して振られるならまだ放って置けるが手を出すとなれば話は別だ。僕は彼の拳を立ち上がって手を伸ばして受け止める。立ち上がった際に椅子が倒れるが、そんなことは気にしていられない。


「なんだ、お前!!邪魔をするな!!!」


僕の方にも殴りかかってきたが、苛立ちでぶれぶれだから、交わすのは簡単だった。すると、彼は椅子を持って襲いかかってきた。


僕は龍燈さんを庇いつつ、交わしてがら空きのお腹に拳を入れた。


「うっ!」


彼はお腹を抱えて蹲った。しばらくすると、先生が来て2時間目の最中僕と龍燈さん。100人切りの男子生徒。それと周りの生徒数名が話を聞かれることになった。



































「本当に済まない!!」


僕と龍燈さんの前には頭を下げる校長先生がいる。見事に光を反射している頭を見てなんで、こんな事になったんだと思った。



発端は面接官の一人のせいらしい。その面接官は100人切りの彼の親にお金を大量に積まれて合格を出してしまった。


この学校は成績だけじゃなく、普段の学校生活と面接での態度も合格判定に入れる。成績はいいが、生活態度と面接がダメダメなことを知った彼の親が面接官に袖の下を送り彼をこの大鷹高校に合格させたのだ。


そして、今回の事件でなんで彼のような生徒が入学できたのかという事になり、早急に調べたところ、癒着が判明。とりあえず、その面接を努めた教師と100人切りの彼を退学にし、被害を受けた僕と龍燈さんにこの学校の責任者である校長先生が謝っているということだ。


「いえ、実害は()()ありませんでしたから。」

「私も、龍海さんが守ってくれたので。それに、私にとっては実害はありませんので。」


「そうですか。ありがとうございます。もう、このような教師は本校にいられないようにします。」


この校長先生は誰に対しても敬語・丁寧語らしい。理由は常日頃からそういった口調なら誰からも好印象をもたれやすいからだそうだ。


「わかりました。それでは。」

僕と龍燈さんは校長室から出ていく。今日は4時間授業があり、今は4時間目が始まって5分後といったところ。龍燈さんとゆっくり歩いていき、教室に入る。2時間目と3時間目は参加できなかったが先生が全員駆り出されたので自習で、4時間目の今班で自己紹介をしているみたいだ。


「すみません。遅れました。」


教室に入り遅れたことを先生に詫びると

「いいんですよ。それより、こんな自体を招いてしまってごめんなさい。この学校の教員として深くお詫びするわ。」


先生は教卓に頭をぶつけながら謝った。


「いえ、校長先生にも謝っていただきましたし、龍燈さんも無事でしたから。」

「ええ。私も龍海さんが守ってくれたので。」


その後、班での自己紹介に入るよう言われて、別々の班に分かれたが


「ねぇ!龍燈さんって滝之瀬くんと恋人なの!?」


という質問が龍燈さんにされ、その質問に対し龍燈さんは


「いえ、私の許嫁で、大好きな人で、将来の旦那さんです!」


と、返答した。おまけに顔を真っ赤にしながらも幸せな表情で言ったのでまたもや、クラスはざわめき僕の平穏な学校生活は消え去っていくのであった。







(注)


学校側の対応や教育方法はこの小説の中での設定です。実際に同じことが起こってもこの様になるとは限りません。
















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