第二十一歩 のじゃ娘と変態どつきあう
ショーとの集合場所は北の門の広場である。理由はあるが、それは追々。
適当な店でポーションと呪符(弱)を多目に購入し、ヤツとの待ち合わせ場所に向かう。買い物するために遅れると伝えてあるので、恐らく先に着いているだろう・・・そうだ!
この時、シオンがしていた顔を見た周りのプレイヤーは「まるで小悪魔だ」「どっちかってーと女狐?」「やられているヤロー爆発しろ」「羨まけしからん」と思ったとかなんとか。
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ファスティアの北側は平原を挟み、山岳地帯と渓谷が広がっている。レバスクはその渓谷の中でも大きな谷に作られた鍛冶と吊り橋の町らしい。いわく「高所恐怖症にはツライ」「ブーラブラー!(吊り橋が)」とのこと。まぁ、俺が行くのはまだまだ後だが。
さて集合時間より少し早めにやって来てショーのヤツを待つ。但し隠れながらな!!
そして、集合時間ギリギリでショーがやってきて、近くの木のベンチへと腰掛けて俺を待つようだ。クハハ、そこは意外と後ろをとりやすいベンチだ。俺はこっそりと後ろから近づき、ショーの肩を叩いた。
「遅れてすまぬな」
「おぉ!オゴッ!?」
ショーの頬には俺の人差し指が刺さっていた。よくある「肩を叩いて振り向いた頬に立ててた指を刺す」というドッキリである。
「くふふっ、久々で読めなかったじゃろぅ? 」
小悪魔っぽくにやけてみる。ショーは若干のMっ気があるのでこうすると喜ぶかな?と、からかい半分だった。だが奴は俺の想像の斜め上を行った。いきなり俺の両手を両手で掴んだ。
「な、なんじゃ?」
「シオン、いやシオンちゃん」
「ちゃん付け止めんか馬鹿タレ」
「結婚を前提として付き合ってくれ!」
「何を言っとるんじゃ馬鹿タレ」
「頼む!一生のお願い!」
「とうとう血迷ったか馬鹿タレ。後お主の一生のお願いはいくつ在るんじゃ」
「だって、そんな目で見られたら、ねぇ?」
「そろそろいい加減にしやがれ、シバくぞ」
「・・・すいませんでした、なのであの頃に戻るのは止めてください」
「よろしい・・・ふぅ、全く」
どうしてこうなったし、まぁ落ち着いた様で何より。ちなみに何でこんな奇行に走ったのかというと。
「愛に餓えてんだよ」
「お、おう」
「あとお前自覚無いのか解らんがホントに美少女だぞマジで。何?何なの?何で現実でその姿じゃないの?バカなの?結婚するの?むしろしてください」
「・・・」
〜〜しばらくお待ち下さい〜〜
そこには大量の武器が刺さったショーが五体投地に似たポーズで倒れていた。自分でも何があったかは覚えていない。ただ凄く頭が痛いことと、とんでもない疲れが残っていた。正直モザイクかけて良いレベル。急いで武器を回収する。ショーも何か起こしたくはなかったが起こすことに。
「す、すまぬ」
「・・・久々にひどい目にあったぜ・・・うん、調子に乗ってすいませんでした・・・」
やっぱり翔は翔であった。翔は昔から自分の中の趣味、性癖に関しては饒舌になる。かつて高校の休みの日に俺にあらゆるフェチについて熱く(?)語られたことがあった。最初はまだ良かったが二時間過ぎた辺りでコイツを舐めていたことが分かった。コイツは生粋の変態だと。最終的に半日無駄にした。逃げられねぇし、トイレのふりして逃げようとしたらついてきてトイレのドア越しに語ってくるんだもの・・・。
「ところで、なんで北門前集合なんだ?」
「うむ、ショーよ。PVPをするぞ」
「まだボコり足りないのか・・・」
「ちゃう、ちゃう」
理由としては先日のあれは変則的な上にほぼほぼマグレに等しい。なのでしっかりとした対決をしたいのだ。ショーならそれなりにやりこんでいるし丁度いいかなと思った次第である。
という訳で草原に出て早速始めることに。
「スタンダードでいいだろ?」
「まぁデスマッチは流石にの、ハンデ無しでな」
「そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫じゃない、大問題じゃ」
「おいおい・・・」
正直ショーの方が装備の質は上である。良いとこから買ったんだろうなぁ、デザインバラバラでキメラみたいだけど。自分にとって都合のいい効果がついた装備を装備しているんだろう。見た目はアレだが強さを求めた結果である。
でもなぁ、流石に鉄鎧に神官帽はミスマッチが凄い。しかもこいつパラディンでもなんでもない剣士と冒険者のジョブだからなぁ・・・。
《start!》
「死にっ晒せやぁぁぁああああ!」
「さっきの仕返ししてやるぜぇ!」
結論から言おう。
無事に一勝二敗二分でした。チクショウ。
やはり経験の差と装備の差は埋めにくいと改めて理解した。まぁハンデ無しの装備そのまま、レベルは一緒。よく一勝出来たものだと思った。
「何でお前一勝出来てるんですかねぇ」
「最後の勝負でだから、慣れたんじゃないかの」
「そう思いたいわ、俺装備ハンデ無かったらもう一回負けてたかも」
「とにかく付き合ってくれてありがとうなのじゃ」
「お、おう・・・現実でもこうだったらなぁ」
「ツッコミ疲れたから勘弁して欲しいのじゃ」
「俺は至って大真面目だ!」
「胸張って言うなぁ!」
変態が何かのたまっているが無視だ、無視。さて旅団について聞いてみよう。すると。
「俺は旅団「フロンティア」にいるな。主にフィールド、ダンジョンの探索、素材の回収を主にやっている。要は 最前線旅団の一つだな。これから行くレバスクにも団員がいるからそこを拠点にしてやってく予定だ」
おぅなるほどー。つまり結構有名で大きいところに入ったと。しかも素材集めもやっている。そのうち覗いて見よう。
「こっちからもいいか?武器作っているのか?」
「のじゃ、まだ素材の等級が低くて良いものは無いがな」
やっとウォクエリスに向かえる程なのだ。まだ弱いしな。そうするとショーは少し思案したあと。
「うちからも素材買えるから余裕出来たら来てみたらどうよ」
あー結構魅力的だな。でもまだ俺の手に終えない代物かも知れんし何より。
「でもお高いんじゃろう?」
「うん、それは勘弁な。俺個人がとってきたのでいいなら適当だろうからそれで」
そんなこんなで商談が進み、お開きになる。
「じゃあそろそろ行くわ。シオンとこにも素材売りに行くからなー」
「出来れば安く、頼むぞ」
「そうだなぁ、扇情的なポーズでお「いや、適正で、お願いします」・・・しょうがないにゃあ」
うぜぇ。そんなこんなで変態はレバスクへと向かった。俺もいい加減ウォクエリスへ向かうことにする。そろそろソウも戻ってきているだろうと思い、出店へと足を進めた。




