第十七歩 どうしてこうなった
「ふう、少し長かったが中々面白かったのう。かたじけないのじゃ、ルン」
「なぁに、これくらいお安いご用さ!さぁ、その名を轟かせてこい!シオン!」
「うむ!」
とりあえず聞いた事を纏めてみる。先ずは異種族との友好関係。人と友好的なのはエルフ、ラミア、ドワーフ、リザードマン、フィス、ワーウルフ、オーガ、ケンタウロスとのこと。オーガが友好的なのは意外であった。それぞれ簡単に説明。
エルフは2つに別れており、魔力に富んでいて魔法を自由に操る「ウィザ・エルフ」と呼ばれるエルフと、体力と魔力が人より上の平均であり、信仰と自然を大切にする「フィリン・エルフ」と呼ばれるエルフだ。どちらもそれぞれ村や都市があるらしい。
ラミア族は人との関係が最も深い。理由はラミアというとよくある話だが子孫を残す為らしい。それで昔のラミアの女王はラミア族に「きちんと合意の上で行うように」というお達しがあった。無理矢理は重罪らしいぞ。
ドワーフは少し小柄ではあるが、力は人よりもかなり上で大体鍛冶や旅人になるのが普通とのこと。硬派な職人が多いものの、その腕は確かである。後、大の酒好きである。
リザードマンは中立に近いが全く交友が無いわけではない。各地に点々としており森や荒野等に集落がある。旅の途中で出会うことが大体で、他の種族の町で生活しているリザードマンは少ないとのこと。
フィスは魚人で姿は人に近いが、体色が青くて所々にヒレがついている。この種族も交友が深いが、最近詳細は分からないが厄介なことになっているらしく腕自慢を募っているらしい。
ワーウルフは全身毛に覆われ、頭部が本当の狼である。一族の結束がかなり強く、人に次いで主要都市の数が多い。厳しい訓練で鍛え上げられた軍隊は最強とも言われている。
オーガは身長が平均2.5メートルの巨人族。その体躯を利用して土木、建築が得意である。現にこの大陸の首都の大きな城はオーガと協力して建てられたものである。
ケンタウロスは集落ごと移動している一族。彼らの首都以外の村は定住することはなく、独自の技術による組立式の家を持ち転々と移動している。それによって見聞がかなり広く、噂好きなんだとか。他の種族に関しては、
「そいつら以外にもいるが、まぁ良くて中立だと考えといた方がいいな」
とのこと。確実なのは友好のあるところにだけ関わることらしい。
次に決闘について、決闘にはいくつか種類が存在し「デスマッチ」「ヒットカウント」「ポイント」「スタンダード」が存在する。
「スタンダード」は普通に戦うもの。ただしレベル差に応じて弱い方に補正がかかるので立ち回りが重要である。
「ヒットカウント」は攻撃が当たった回数で勝敗を決めるものである。少しルールを変えた「一定の回数、攻撃に当たると負け」と言うものがある。戦闘の立ち回り練習ならこれである。
「ポイント」は相手とポイントの奪い合いである。攻撃を当てるとポイントを落とすのでそれを拾っていき、一定のポイントになった方が勝利である。
「デスマッチ」は・・・ルールはスタンダードと変わらないが、ひとつ違うのは「やられたら死に戻り」という点である。本気の決闘ならこちらをおすすめする。
「闘技場ではデスマッチは行えない。殺されちゃあこちらが面倒だからな」
「確かに、スタンダードでもルール一緒じゃしなぁ」
「だな。観戦が出来るものと出来ないものがあるから、観戦出来るやつを見てみた方が速いぞ。それにな、ここは命のやり取りしてるんじゃない。互いの信念を貫くため、自分の力を磨くため。そんな奴等がここに来ている。なぁに、私が目を黒くしているうちは不粋な奴は許さねぇぜ」
「言いおるではないか。よし!その粋や良し!一杯だけだか奢っちゃろう」
と、軽い気持ちで言ったら
「お?いいのか!?ならこれから受付交代だしシオンについていくぜ!」
こ、こいつ、狙ってたかのように・・・しかも俺に対する説明を上手く引き伸ばしてシフト終了時間と被せおった。しかも仕事とサボりを両立させたな。これなら怒れない。俺も上も。しかも誘わなくても着いてくる気満々だったな、これ。
「はぁ、まぁ良かろう。何が良いんじゃ?」
「じゃあ、ブラッドサバトで」
ちくしょう、それ一番高いカクテルじゃねぇかよ。この人容赦ねぇ。
初めて会ったラミア族は、男勝りの呑兵衛でした。
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「ぷっはー!やっぱこれだこれぇ!!」
どうも、柚人もといシオンです。そこのルンといういま赤黒いカクテルを飲みつつ、ほろ酔い状態になっており、俺の肩に手を回されて一緒に歩いている。この人逃がす気ゼロだわ。とりあえず俺らはいま行われているスタンダードバトルの会場に来ているが、かなりの人が集まり歓声が聞こえてくる。程よく掻き分けて見えるところまで来てみたのだが・・・なんか観客が2つの陣営に別れてないか?試合を見てみると盾と片手剣の剣士と槍持ちの戦士が戦っていた。今のところ槍持ちが上手いこと槍の間合いを保ち剣士が中々攻勢に出れないもよう。すると二人が会話を始めた。
「どうした!お前の想いはその程度かぁ!」
「くっ・・・このままじゃ・・・」
「諦めろ、そして認めろ!」
「断る!」
何の話をしているんだ?ああ、ここは己の信念を貫く場所。あいつらはお互いの信念でぶつかり合っていr
「何故!?何故お前は姉という存在の素晴らしさに気付かない!?」
・・・・・・へっ?
「男には譲れぬ想いがあるのだ。お前こそ!妹の良さを認めようとしない!許さぬぅ!!」
・・・・・・えぇ。
「ふっ、妹が俺に何をしてくれたというのだ。ただあざとさを振り撒くだけだろ!それなら姉の存在こそ!俺の小さい頃からずっと見守ってくれた!辛いとき、苦しいとき、相談に乗ってくれる!・・・姉はいいぞ」
「そーかぁ!?俺にはリアルで姉がいるがそんなことになった試しがねぇぞ!!むしろ足蹴にしてくるわぁ!!妹の方がはるかにイイッ!慕ってくれて、着いてきてくれて!それでいていざというときは大人っぽく!これほど俺をハートキャッチする存在はいないぞ!」
こいつら・・・シスコンじゃねぇか!!しかもよく見ると周りが2つに別れているのって・・・。
「oh・・・」
「ハッハッハッ!!これだからこの仕事止めらんねぇぜ!!面白い奴等が多いからな!」
両陣営が掲げている旗に「姉萌え同盟」と「妹至高連盟」とあってもうどうでも良くなってきた。とりあえず早く決着着けてくれよ・・・そもそも相手に自分の性癖をぶつけることが迷惑な上に反発買いやすいんだから・・・あれ?さっきも言ったか?これ。
いっそ、俺が決着着けてやろうか。




