第十一歩 災い転じて発注す
アイロ洞穴を更に奥へと進んでいく。個人的な目的は達成したので、戻ってもいいのだが折角深いところまで来たのでボスを倒してしまおう。ということになった。基本的にダンジョンにはボスが最奥に配置されている。ダンジョンは、同レベル帯のモンスター達とロックリザードのような適正レベルより少し強めのモンスターが配置されている。ちなみにフィールドは様々なレベルのモンスターが徘徊している。ランドカウのような低レベルのモンスターやアイオロスのような明らかに強すぎる奴まで。しかも単体のレベルは低くても、ピコウルフのように群れを作るモンスターもいるのでフィールドでレベリングを行う人はそんなに多くはない。だが群れるモンスターを全滅させればそれだけでも十分稼げる。それだけでなく、全滅ボーナスがついて更に稼げるという。パーティーでいくと効率的なのだろう。
「このダンジョンに「モニュメント」があればいいですねー」
モニュメント?
「アーネよ、「もにゅめんと」とはなんじゃ?」
「私もソウさんから聞かされただけなので見たことは無いのですが、なんでも「自然が作り出した造形物」だそうです。」
「詳しく」
もともと自分がこのゲームをやった理由の一つに見たことの無いものを見てみたい、というのもある。現実でも実際に自然が作り出した造形物は存在するが、写真でしか見たことがなかった。
「まだ今日が初日とあって、発見数はほとんどありません。今見つかっている物の一つは「風鳴きの岩」ですね。いくつか穴が空いている大きめの岩で、風を受けると口笛のような音がなるらしいです」
「ほう、じゃが何でソウはそれを知っておるのじゃ?まさか、第一h」
「いえ、掲示板情報だと言っていました」
「そ、そうか」
しかしモニュメント・・・自力で見つけ出したいものだな。そのあとにもモニュメントについての話をしていた。モニュメントの近くに配置される宝箱にはそのモニュメントに関したアイテムが入っていたり、もしモニュメントを見つけたら掲示板に情報をのせた方が良いとか、モニュメントを発見すると経験値が多く入る。ということが分かった。
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どうやら最後の階層についたようだ。もう少しで、最奥の方だろう。道中でもモンスターが襲ってきたが、バットやゴブリンだけで流石にロックリザードがもう一体出てくる、ということはなかった。壁も今までは土と同じ色をしていたのだが、ここは鉄の色が混じっていて黒色に近い色をしている。
「む・・・MPポーションが無くなってしもうた」
「私の持っているものを使いますか?」
「・・・回復出来なくなる方が困るのじゃ。ぬしが持っておれ」
「分かりました。最悪シオンさんにぶつけます」
「確かにそれでも回復出来るが、地味に痛いんじゃよ、それ・・・」
そんなことを話しながら歩いていた。そのせいで俺達は足元の注意を疎かにしてしまった。
「流石に緊急時にはy」
ガッ
アーネの足が地面から出ていた石に引っかかる。
「キャッ!」
アーネが転んでしまう。その時何もなければ、ドジだなぁ。と思うだけだった。しかしそのドジは普通には終わらなかった。アーネが倒れこんだ辺りにヒビが入り始める。それが崩れるまでに時間はかからなかった。
「え、ちょ!?きゃあああああ!!」
アーネがひび割れて出来た、穴に落ちていってしまった。慌てて穴に近寄って声をかける。
「アーネ!!大丈夫かーー!!」
少しして、何かが水に落ちる音がした。どうやら下は水が張ってあるらしい。しかしロープの類いを持っていないので引き上げることは不可能だろう。・・・最悪死に戻るだけだろう。俺は意を決して穴に飛び込んだ。
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気がついた時には俺は水に浮いていた。高いところから落ちる経験が一切無い俺は落ちている時にこう思った。
「タマヒュンってあんな感じなんじゃな。今は無いけど」
で、そのあと水に叩きつけられて気絶と、カッコ悪い・・・俺。
「シオンさん!しっかりしてください!」
「ぬぐ・・・お主か、大丈夫かの?」
「・・・貴女には言われたくはありませんね」
ですよねー。助けに来て気絶してたら世話無いわな。と、違和感に気づく。何故か同じ洞窟内のはずなのにさっきより明るいのだ。
「ここ、結構明るいの」
「ええ、あっちの道に光が。行こうとしたらシオンさんが落ちて来たんです」
「め、面目ない・・・」
うわぁ、本当に俺カッコ悪い・・・。兎に角、この光の正体を掴みに行きたい。おお、冒険しているようだ。
「じゃあ、行くとしようか」
「了解です」
通路を進んでいくと更に光が強くなる。その先は広い空洞になっていた。出るとそこには、
「これは・・・大きい水溜まりと、中心に鉄の塊?」
「見てください!周りの鉄鉱石に虫がいっぱいついています!」
本当だ。水溜まりの所々から突き出している鉄鉱石の塊にたくさんの虫がついている。調べると、
発雷蛍:体内にある発電器で強く発光する珍しい蛍。目撃数も少なく、生態もよくわかっていない。
珍しい虫なのか、採取した方がいいのかな。と考えていると、突如、発雷蛍達が強く発光し始める。それに伴って蛍達がついている鉄鉱石が青白く光始め、ある一つの現象を引き起こす。
「あの鉄鉱石・・・どうなっているんでしょうか?」
「む・・・!水にふれてはいかん!」
「え、何故です?」
「あの鉄鉱石、放電しているぞ」
鉄鉱石が放電を始める。やがて電気が目に見えるようになり、水溜まりの表面でのたうつように走り始める。すると水も青白く光だす。やがて蛍達は水のなかに入ってゆき、放電した状態を維持し続けた。
モニュメント「発雷蛍の産卵場」を発見しました
「見つけてしまったの・・・モニュメント」
「ここは発雷蛍の産卵を行う所なのですね。でも何故このように・・・」
「それはわっちにもわからぬ。だが、こやつらにとっては必要なことなのじゃろうな」
情報を掲示板に載せれば考察する人が考えてくれるだろう。まぁ恐らく蛍は卵を水草に産む。放電は恐らく外敵対策かもしれんな。経験値もかなり入って、一気に3つもレベルが上がった。あと、さっき話していたことを考えると・・・。
「やはりあったな」
隅に宝箱が置いてあった。開けると中身は、
内容
雷電鉄鉱:雷の属性が付与された鉄。発雷蛍の放電現象によって作られる希少な鉱石。
発雷蛍の発電器官:発雷蛍が放電や発光に使用する器官。雷の魔力の増幅効果が期待できる。
ピュアウォーター:不純物が限界まで取り除かれている純水。飲んでもよし、調合にもよし。
「なかなか、良いものじゃな!」
「う~ん、私にはあまり必要ではありませんね・・・私の魔法は「光魔法」「回復魔法」「補助魔法」ですから・・・」
「ではわっちが貰っても良いかの?」
「むぅ、では条件・・・というよりもお願いがあります」
ん?なんだろうか・・・流石にアーネはぶつけます無茶振りしてこないよな・・・?
「シオンさんは武器作成ツリーをとっていますよね?」
「然り。ぼうぐもいけるぞ?」
「では、時間が空いたらでいいのでロッドの作成をお願いします!」
ロッド・・・ロッド!?なんでまた?
「ふぇっ!?・・・なんでわっちに?」
「簡単です!私に武器が作れる知り合いがいません!・・・あと、実は武器・防具の作成が出来る方がほとんどいないのですよね」
「なぜじゃ?」
「今のところ、作成しなくても問題が無いんですよね・・・ある程度はNPCのお店で買えるので・・・」
「成る程のう・・・」
確かに、ある程度買えるのならばわざわざ素材を集めて作る必要ないものな。でもオリジナルってロマンじゃないか?否!ロマンだ!
「ロマンは正義!」
「どうしたんですか、いきなり」
「気にせんで良い、どうやらそこから戻れそうじゃ。速くボスを倒さねばな」
「あれ?ロッドの件は?」
「引き受けた。素材は使いたいものがあったら相談じゃな」
「・・・了解です。では宝箱の物は貴女に渡します。約束ですからね?」
アーネと職人として約束した。いつ納品出来るかは判らんが確りとこなそう、仕事には全力で取り組む主義だからな。あと、雷電鉄鉱が面白そうだ。ふっふっふっ、楽しみが増えたぜ。さっさとボスをブッ飛ばさないとなぁ。
俺達はもう一つの通路に向かっていった。ここのボスはどんなんだろうか・・・。




