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遅くなりました……
―――天空塔・50階―――
「HAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
「ッ!クソがぁ!!!」
直径4mはある球体の全身から純白の翼が機能性と必要性が全く感じられない配置で無茶苦茶に生えまくっているモンスター『ホーリーボール』が口も無いのに叫び、衝撃波を四方八方に発生させたのをレオが薙げ斬りで衝撃波を飛ばす剣技を放ち前方位からくる衝撃波を相殺する。
だが間髪入れずにホーリーボールは高速回転して全身から生えてる翼からナイフの如く鋭い羽を全体に飛ばしてくる。
「ウッゼエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッ!!!」
再び迎撃の為にレオが衝撃波を放つと同時に、今度は後ろの方からもアーリーが放った野球ボールぐらいの火球が何十も飛んできて、衝撃波によって出来た空白地帯を通りホーリーボールへと直撃する。
火球一つで岩も砕く魔法だったが、高速回転で爆発の破壊力と熱を受け流していたホーリーボールには致命的なダメージにはなっていない。
しかし危険とは判断したのか、翼を畳んで完全な球体形となって一層速く高速回転を行う。
「防御に入りましたね。ディアラ、お願いしますよ」
「任せなさい!《ストリング》!」
ヒデムの言葉に合わせ、ディアラは矢に魔法の糸を付与する呪文を唱えると回転するホーリーボールへと狙いを定め、射る。
ただ射るのではなく威力を増幅させる《パワー・シュート》と呼ばれる弓技の一つを使って射った虎の子のオリハルコンの矢は、高速回転するホーリーボールの翼にもきちんと刺さった。
そして矢に付与されている魔法の糸は高速回転し続けるホーリーボールにグルグルと巻き取られていく。
異変を感じたホーリーボールが回転を止めたが既に遅く、巻き取られた魔法の糸によって多くの翼が展開出来ない状態になってしまっている。
「ヨッシャアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!憂さ晴らししてやるぜぇ!!」
回転が止まるのを確認したレオが一気にホーリーボールへと距離を詰め、魔法の糸が絡んでない部分の翼を正確に突き刺し抉り裂いていく。
「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」
ホーリーボールが苦悶の声を上げてレオを迎撃しようにも攻撃の要たる翼は動かせず、再び回転しようとするが突如ホーリーボールを囲う様に出現した魔法陣により拘束されて身動きがとれなくなってしまう。
攻撃も防御も出来なくなったホーリーボールへ剣、矢、魔法とアーリー達の攻撃が雨霰と降り注ぐ。
純白だった身体は自身の体液によって青黒く染まり、力尽きる寸前となったホーリーボールは遂にズシンッと重い音を響かせ床へと堕ちた。
「ではそろそろトドメですね。アーリー」
「…………来て、アリア」
アーリーが召喚魔法を使い今回の主役たるアリアを喚び出す。
「……やっちゃって」
幾つかの強化魔法を重ね掛けした後にアリアに指示を出す。
アリアは金ぴかに輝く体をピョンピョン飛び弾ませ、瀕死のホーリーボールへと襲いかかる。
ホーリーボールもこの状態からでも反撃しようと身を動かそうとするが、アーリーの魔法拘束が未だに有効なために上手くはいかずに成す術も無くアリアからの容赦無い攻撃を何度も受ける。
本来ならホーリーボールにとってアリアの攻撃は蚊が止まった程度にしか受けないが、さんざんアーリー達の攻撃を受けて大小様々な傷を全身に付けられた状態では、スライムの傷に侵入して内部から攻撃するというえげつない攻撃に耐えきる事は出来なかった。
一方的な攻撃が数分続くとホーリーボールも動かなくなり、アリアもピョンピョンとアーリーの下へ戻ってきてアーリーにじゃれつく。
「ったくよぉ、たかだか一匹を狩るのにもこんな手間がかかるとか冗談じゃねぇっての。流石は神様のお膝元ってかぁ?」
「旧神の一柱が住まっていらっしゃった塔すからねぇ。今は既に居なくとも、未だにその偉大なる御力の影響力が残っています。ですからこの様な力だけ持つ上級天使の“出来そこない”が発生してしまう訳ですね。まぁ出来そこないと言っても上級は上級、下手なエクストラダンジョンのモンスターよりも厄介なのが揃っている訳です。これが聖霊殿となれば聡明な知恵を持つ正真正銘の上級天使が集団を成してうろついているんですが」
「トップクラスのテイマー達は其処等を狩場にしてるのよね。はぁ、トップクラスと私達の差を思い知らされる気分だわ」
「んなモン気にしてもしょうがねぇだろうが。突っ張って背丈以上の事をしても全滅がオチだろうしなぁ」
「それは分かってるわよ。でも、やっぱり悔しいじゃない」
「ハッハッハッ、向上心があるのは良い事ですよ。ですが、アリアが予定通り育てば我々も聖霊殿クラスのダンジョンへ赴く事も出来るようになるでしょう」
「個人的にはモンスターの力に頼らずに行けるようになりたいわね」
「オイオイ、俺等はてっきりテイマーだったとばかり思ってたんだがなぁ。いつから英雄志望の脳内花畑のだったんだぁ?」
「別に英雄何て興味ないわよ。でもああいうモンスターは自分の力で倒せるのが一番でしょ」
「ああ脳筋の方かぁ。まぁ分かってたけどよぉ、そういうのをいい加減にしねぇと嫁の貰い手がいなくなるぞ」
「……アンタが言うなああああああああ!!!」
レオのセルフ後半が万分以上真面目に心配している感じの声音だったのもあってディアラがキレてレオに殴り掛かった。
見た目の細さに反して力強いディアラの攻撃を必死に捌くレオを見ながら止める事もせずにヒデムはにこやかな笑顔を保ったまま傍観し、アーリーもじゃれついてくるアリアの相手をして隣の騒動を気にもしていない。
この後、血の匂いと騒ぎに引きつけられてきたホーリーボールの集団に追われる事になるのはまだ数分先の事である。
ニックネーム:アリア
個体名:スライム・オリジン/種族:スライム(起源開放)
Lv1→13
ステータス
HP:105→182
MP:50→102
力:15→34
防御:150→239
速さ:5→43
賢さ:30→57
魔力:200→365
運:10→15
アビリティ
自己再生:B
捕食:B
魔力開放:E→D
魔力防御:C
スキル
ゲルウィップ(NEW)
ゲルハンマー(NEW)
魔力弾(NEW)




