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遅くなりました。
「えー、皆さんのご協力もあり計画の初期段階に当たる素材集めも一通り済みました。残りは数か月先のエクストラダンジョンで回収予定ですので、初期段階はこれで一応の完了を終えたと判断し、これよりアリア魔王化計画第二段階の発動をここに宣言します」
「ヤッハー」
「やったー」
「……どんどんぱふぱふ」
【雲海の都サバーニャ】にある拠点にて箱を積んで作った即席の壇上でヒデムが高らかに計画の本格的始動を宣言、それに合わせてイスに座っている仲間たちから棒読みではあるがパチパチと軽い拍手と共に熱いエールが返ってくる。
「第二段階では特定のモンスターをアリアに狩らせつつ、余計なモンスターは我々か他のテイムモンスターで露払いし余計な種族経験値は一切入れない様にします。またエサとして使う素材もお手元においてある紙に書かれた一覧通りのを与え、手元に無い場合は繋ぎのエサとなる『モンスターのお食事屋さん:ビーフ味』で持たせる様に」
『モンスターのお食事屋さん』はロングセラーのモンスターフードで、テイムモンスターの日常食良し、モンスターを釣る撒き餌としても良し、余分な習得値が無い様に秘伝の製法で造られてるためヒデムが言う様に進化計画を進めている際に与える素材アイテムが無い場合の繋ぎとしても良し、そこ等のレーションより美味いという評判から冒険者の非常食として良しとテイマーにとっては必須アイテムといっても過言じゃないフードアイテム。
因みに味はビーフ味、ポーク味、チキン味、人肉味、コーンポタージュ味、チョコレート味、コーラ味、オレンジ味、林檎味等々、色々な種類があるのでモンスターの特徴にあった餌を与える事が出来るという利点もあるのだ。
「んでヒデム先生よぉ、どこっから狩りを始めんだ?コレが規格外つってもスライムの範囲での話、場所しだじゃあ一撃でぽっくりだぜ」
「分かっていますよ。レオの攻撃を耐える強い物理耐性とステータスを持ち、魔法防御スキルCランクを所持してるとはいえ攻撃手段は乏しい。ですが如何せんアリアの育成は暗中模索な故にそこらの雑魚で強くする余裕はありません。考えられる余裕は育成の誤差の保険としたいですからね」
「じゃあ私達が特定のモンスターを弱らせてアリアにトドメを刺させる感じ?それだと経験値は少なくなっちゃうけど」
「出来れば避けたいところですが、確実な手段ですので始めはそれでいきます。後はレベルアップ時の増加値を確認しながら戦いのプランを変更するかを随時検討します。育成地は天空塔にて高位天使族を狩り、餌としては用紙に書いてある通り悪魔・獣系統の素材を与えます。当面の予定としてはこれをレベル20まで続ける事になりますね」
「よりによって天空塔だとぉ?ハッ、少しはコッチの負担も考えて欲しいんだがなぁ、おい」
「勿論考慮したうえでの決定ですよ。アーリーとディアラへの攻撃は私とモンスターで防ぎますのできちんとアリアを護って下さいねレオ」
「けっ」
このパーティで戦闘を行う場合、前衛はレオとテイムモンスターしかいないため、モンスターと肉薄する位置でレベル1のアリアを守れるのは必然的にどちらかになるが、テイムモンスターはその知能にもよるが基本的には大雑把な行動しか命令できないので最新の注意を払って守らないといけないこういう状況では不適切となる。
ヒデムも一応は僧兵としての経験もあるためいつもは中衛として後衛の二人を護っていて多少無茶をすれば前衛も出来るが、敢えて敵の攻撃を貰ってでも守らないと行けないななれば適正としては若くして熟練の戦士であるレオには遠く及ばない。
よってレオが一番しわ寄せを食らう破目になるのだ。
だがそれを任せられるのは個々の適正もあるが、一番は任せても大丈夫という信頼関係に基づいている。
レオもそれを分かっているからこそ軽口を吐きヒデムも同じ様に返せるのだ。
「ではレオには重点的に魔法耐性のある防具を装備して貰い天空塔へ挑みますが、アーリーから何かありますか?」
「……ん」
アーリーはイスから降りトコトコとヒデムがいる正面まで行くと何時もの調子で、だかどこかキリッと引き締まった顔で宣言する。
「…………おやつは50000ルピカまで」
「ちょっと待とうかアーリー。相場の100倍は流石にアウトだから」
「そりゃあどこの高級飯屋の飯代だぁ?おい。菓子だけで袋を一杯にする気かよ」
「ハッハッハッ、これは久々に高級菓子店にでも足を運びましょうかね」
「……楽しみ」
「ヒデム!余計な事は言わないで!ちょっと、アーリーダメよ!」
「酒でも買ってくっかな」
いつものノリでアーリー達はアリアの本格的育成を開始した。
アリアが超貴重なモンスターで入手法は分かっていても二度とは造る事もテイムする機会も無いと分かっていたが、あくまで他のモンスターと代わり無く扱っていた。
どんなモンスターも本質的には変わらない、他のモンスターと同じく何時も通り育成計画に沿ってしていけば大丈夫と皆思っていたのだ。
テイマーが現れてから500年以上も経った現在までだれも、『オリジン』の存在すら知らなかったというのに。




