3
9月の第一週と第二週の土日に連続で大雨が降って欲しい。台風でも可。
2016/6/30 改稿
東大陸ランベス【雲海の都サバーニャ】
霊峰ガラベルの山頂付近を開拓して造られた【雲海の都サバーニャ】はその名の通り、雲が海の様に広がっている様を眺める事が出来る。
大昔にその時代に在った王朝から迫害された宗教の信者達が逃げ延び開拓したのだが、その宗教もかつての神と魔王の戦いによって歴史に消え、廃墟になった【サバーニャ】を冒険者達が拠点として利用する様に。
その後、大賢者の秘術が広まるとテイマーによるモンスター利用が日常にも恩恵を与え、大型モンスターや飛行モンスターによる移送により大量の荷があっても問題なく来れる様になるとテイマー目的に商人達も出入りするように。
更には口コミでその風景が広がると一般人も立ち寄るようになって、今では観光名所としても名高い東大陸でも有数の都となった。
彼等のホームも【サバーニャ】にあり、新たな仲間である『スライム・オリジン』アリアと共に転移魔法によって【サバーニャ】へと帰還していた。
とはいえ大規模の都は全て防御結界が張られており、外部からの転移魔法等も弾くために転移出来るのは入口付近となる。
「やっぱ空気薄ぃなオイ」
「この高さでは仕方ありませんよ。【サバーニャ】に入れば結界によって空気も標準値に保たれてますが、入口の方は転移魔法の為に結界の範囲外ですからね」
「でも元々は昔の冒険者達が日常生活のついでに訓練も兼ねてここに住むようになったのに、この便利結界で台無しよね」
「観光客は金を落としますからねぇ。商人だけならそんな結界張らなくても金の匂いに釣られて勝手に何度も来るでしょうが、観光客は違いますから。都の管理・運営は今でもテイマー、いや冒険者の手によってされてますからこっちが優先度が高くとも、やはりその他にも気を配らざる得ないというのが現実と言うモノです」
「…………取りあえず、乗る」
一緒に転移してきたガイゴラの上に改めて乗るアーリーに続き、レオ達もその背に乗る。
元々テイマー達が住む都の為、モンスターが通行するのを前提に建てなおしてるので中型モンスターのガイゴラも普通に通ることが出来る様に道は広めに都市開発がなされている。
そもそもテイマーの主な移動手段がモンスターであり、また商人の荷を運んだり観光客の観覧にもモンスターが使われてるので、多くの大型、中型モンスター等が道を往来している。
そんな外周部とは別にあるテイマー達の拠点となる居住区は都の中心部は大きな道は無く、細い道が入り組んでいる。
これは【サバーニャ】の人口が拡大して周りに広がっていった為に現在の居住区となっている旧【サバーニャ】が自然と中心の位置に置かれたのが理由である。
そして道の関係上と居住区への侵入制限も相まって中心部は出店等が多かった周辺部とは違い、鳥の羽ばたきや虫の鳴き声、遠くになった周辺部の音だけが聞こえるだけの静けさに包まれている。
これは【サバーニャ】を拠点に置き始めた始めの頃の冒険者達が諍いの煽りで家が壊されるたりが良く有った為に『騒ぐなら街の外で』というローカルルールと、情報を特に重要視しているテイマー達は情報が漏れたり盗まれたりしないように住処には音遮断の魔法をかけるのが一般的な為だ。
そうしてアーリー達は自分達のホームへと帰還した。
「さて、アリアについてですが、検査の結果としては基本的に普通のスライム系統と変わりはありません。ただコアの部分が普通のスライムとは異なり、ドラゴン系統の上級モンスターと比較しても遜色の無い魔力密度でした。予測ですが、このコアの魔力密度ですと普通のスライムでは進化出来ない種族にも進化出来、準来の種族も一足飛びに上級モンスターへ進化が可能と思われますねぇ」
ホームの機材を使ってアリアを調べたヒデムの報告を、思い思いにくつろぎながら聞いていた面々。
真っ先に反応したのは好奇心の強いディアラだった
「ちょっと、普通のスライムじゃ進化出来ない種族ってもしかして神や魔王とかにも直接なれるかもしれないって事?」
「ええ。アリアは『星の記憶』等と並ぶ生きたファンダズマ級アイテムと言っても過言ではありません。正真正銘に全てのモンスターの系譜の原典と言える存在で、可能性は無限大でしょう」
その生きたファンダズマ級アイテムのアリアはアーリーの頭の上を陣取ってポヨンポヨンと跳ね、アーリーも気にしてない様子で魔導書を読み耽っている。
「ハッ!つってもよぉ、そのスライムをどう育てりゃあ神やら魔王に進化するかってのは分かんねぇんだろう?そこらの屑モンスターになっちまう可能性の方がデケェんじゃねぇのかぁ?」
「確かにレオの言う通りです。普通のスライムからの進化育成手順はありますが、間をスキップしての育成手順なありません。ですが、私に二つ程考えがあります」
「流石ヒデムね!」
「考えねぇ。ヒデムのそういうのが全うであった記憶が無ぇがなぁ」
「一つは単純です。特定の神や魔王に来歴するアイテムをアリアに徹底的に与えるのですよ」
「はい?」
「ほれ見ろ」
「来歴するアイテムはファンダズマ級を除いてもBクラスからSクラスに幾つかあります。神か魔王、どちらかに関わるのを集め与える事で進化のルートをある程度定める事が出来るはずです」
「ヒデム先生よぉ、BとかSとか軽く言うが、それにかかる予算ってのは幾らだ?俺らが自力で集めるとかになってもそれに掛かる時間ってのを考えりゃあ、普通に別のモンスターで神とか魔王の育成ルートを辿る方が確実で手っ取り早いだろうよぉ」
「ええ、言うは易し行うは難しの実例ですね。これに比べれな二つ目はまだ現実的でしょう」
「んだよ?」
「別モンスターの進化ルートを辿らせてみるのですよ」
「え?でもそれって意味があるの?」
「正しくは参考にするですかね。吟味し多少の修正を行う必要がありますから。ですが、可能性としては低くはないのですよ。元々スライムはどの種族とも近似値を持つ種族ですので、その誤差を含めて再構築します。これに一つ目の考えを補助として加えれば確実性が高まります」
「おいおい、結局宝探しをさせる気かよ」
「あくまでルートを安定化させるだけですから数はそれほど必要はありませんし、与える間隔も長くとっていいでしょう」
「それでも結構なのになるわね……」
「しかもそのプイランニングも今からやるっつたらどんだけかかんだって話になるがな。で、アーリーはどう思ってんだ?」
三人の視線がアーリーに集まる。
アーリーは魔導書から顔を上げて小さな口を開いた。
「…………物は試しで、やってみていい。他に別案があるわけでもないし」
「では決まりですね。皆さん、ご協力のほどを宜しくお願いしますよ」
「わぁたよ。アーリーが言うなら別に文句は無ぇさ。ゴルゴンを育てるついでに金ぐらいは稼いできてやるよ」
「準備が大変ね。今回で出費しまくったから、また色々と集めとかないと」
「…………まだ換金とかもしてないし。今度街で売ってくる」
一先ず方向性が決まり、アリア育成計画が始動する。
プルプル揺れるアリアがどんな進化を辿るかは、今は誰にも分からない。
ニックネーム:アリア
個体名:スライム・オリジン/種族:スライム(起源開放)
Lv1
ステータス
HP:105
MP:50
力:15
防御:150
速さ:5
賢さ:30
魔力:200
運:10
アビリティ
自己再生:B
捕食:B
魔力開放:E
魔力防御:C
スキル
無し




