表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校一のギャル姫と、コインランドリーで助けたことをきっかけに友だちになった  作者: ミハリ
第2章 学校一のギャル姫との日々は、波乱の連続になりそうです
16/22

第16話 初めての男友達

 俺の目の前で、1年A組で最も目立つ人気男子3人――水沢みずさわさん、中村なかむらさん、林はやしさん――は、まるで俺が聖なる山から下りてきた偉大な導師であるかのように、90度のお辞儀をしたまま固まっていた。


「あ、頭を上げてください……」こんな風に注目を浴びることに激しい居心地の悪さを感じながら、俺はぎこちない声で言った。


「宇佐美うさみ先生が俺たちを弟子にしてくれるまで、絶対に頭は上げないぞ!」と、中村さんは頑固に姿勢を保ったまま答えた。


「せ、先生って呼ぶな! お、俺はコミュ力強者なんかじゃないぞ……! いつも教室の隅で大人しく座ってるだけの、ただの陰キャなんだからな!」


 水沢さんはゆっくりと体を起こし、期待に満ちた目で俺を見つめた。


「その隅っこで静かにしてるからこそだよ、宇佐美! お前はすべてを冷静に観察できるんだ! 頼む……せめて、明日の朝、白川しらかわさんに挨拶する時に緊張しないためのコツを1つか2つ教えてくれよ!」


「そうだよ、宇佐美! 俺たちには本当に導きが必要なんだ!」林さんも体を起こし、胸の前で両手を合わせた。


(コツって何だよ? 俺があいつと普通に話せる秘密は、あいつの本性が口うるさくて、おせっかいで、口の周りを汚しながらポテチを食うようなやつだって知ってるからだぞ! もしそんなことをこいつらに言ったら……白川さんの『高嶺の花』としての評判は、今この瞬間に粉々に砕け散る!)


 だが、この3人のクラスメイトの顔を見つめていると……胸の奥で何か不思議な感情が渦巻くのを感じた。


 以前の俺なら、面倒事に巻き込まれたくないからと、すぐに断って背を向け、彼らを置いて立ち去っていただろう。


 でも今は……白川さんと知り合ってから、『人間関係』に対する俺の考え方が少し変わっていた。


 少なくとも、話を共有したり、一緒に遊んだり、ただ一緒に時間を過ごしたりする友達がいるというのは、俺が思っていたほど悪いことじゃないと気づいたのだ。


 もしかしたら……これがチャンスなのかもしれない。自分のコンフォートゾーンから抜け出し、男友達と一緒に普通の高校生活を送るためのチャンス。


「わ、わかった……できる限りのアドバイスはしてみるよ」


「本当か!?」3人の男子は一斉に歓声を上げた。


「で、でも……」


「ここで話すわけにはいかないだろ? バスケコートの真ん中に突っ立って、学校のアイドルの女子について話すなんて……なんか変だし」


「あ、確かにそうだな!」水沢さんは同意して頷いた。「駅前のカフェで話すのはどうだ? 今日は俺が奢るぜ!」


「そ、そうじゃなくて……」


 俺は小さく呟いたが、その声は隣のコートから聞こえるバスケットボールの弾む音に掻き消されそうになった。


 体が急にこわばった。頭の中で組み立てた言葉が、突然喉に引っかかってしまったのだ。


 他人を家に誘うなんて……ましてや、こんな風にじっくり話すのが初めての相手を……それには想像以上の勇気が必要だった。


「ん? どうした、宇佐美?」


 中村さんが首を傾げ、俺の奇妙な様子に気づいた。彼は一歩近づき、温かい表情で俺を見つめた。


「どうした? 遠慮しないで言ってくれよ。もっと居心地のいい場所があるなら、俺たちはそこに行くからさ」


 その穏やかな口調のおかげで、俺は少し落ち着きを取り戻すことができた。深呼吸をして、3人の顔を順番に見つめた。


「も、もし嫌じゃなければ……お、俺のアパートで話すのはどうかな?」


「え……?」


「…………」


「…………」


「そ、それに……」


「じ、実は……アドバイスをするのは構わないんだけど……そ、その代わりに……お、俺……水沢さん、中村さん、林さんと友達になりたいんだ! そ、そう! 俺たち、友達になりたい!」


「…………」


「…………」


(馬鹿、馬鹿、馬鹿! 俺の話し方、ぎこちなすぎるだろ……絶対変なやつだと思われた! 絶対笑われる!)


 しかし、嘲笑の声の代わりに次に聞こえてきたのは、両肩を強く叩かれる音だった。


「ぷっ……あはははは! 何だよそれ、宇佐美!?」


 俺は顔を上げた。水沢さんが親しげに俺の左肩を組みながら、声を出して笑っていた。


「話し方堅すぎだろ! 『さん』付けなんてやめろよ! 普通に水沢って呼べよ、馬鹿!」


「そ、そうだよ! お前って案外面白いやつだな、宇佐美!」中村さんも笑いながら俺の右肩を組み、俺の体は彼ら二人の間に挟まれた。「お前が頼まなくても、さっき俺たちの頼みを聞いてくれた時から、俺たちはもう友達なんだぜ!」


「わあ、わあ……俺たちのグループに新メンバー追加だな!」と林さんが言った。


「俺たちのグループへようこそ、宇佐美! これからは遠慮なんてするなよ、な!?」


 俺は何度も瞬きをした。さっきまでの恐怖が嘘のように消え去っていた。彼らは俺の不器用さを全く笑わなかった。それどころか、両手を広げて温かく受け入れてくれたのだ。


「あ、ああ……ありがとう、水沢……中村……林……」


「よし! 正式に友達になったことだし、何をぐずぐずしてるんだ!?」中村さんは肩から手を離し、出口の方を勢いよく指差した。「今すぐ宇佐美のアパートに突撃だ! 俺たちの聖なる僧侶の秘密基地がどんなもんか、見てみたいぜ!」


「よっしゃ! 行くぞ! なあ宇佐美、ゲーム機持ってるよな? 後でついでに遊ぼうぜ!」


「おい、人の家で勝手に暴れるなよ、林」


「行こうぜ、宇佐美。案内してくれ」


 俺たち4人は体育館を出て、学校の廊下を通り抜け、正門へと向かって歩き出した。


 道中、中村と林はずっとくだらない冗談を飛ばし続け、水沢はそれを見て笑いながら俺の肩を叩き、強引に俺を会話の輪に引き込んだ。


(ああ……隠れることなく一緒に帰れるクラスメイトがいるって、こんな感じなんだな……)


 平穏な生活が崩壊する始まりになると思っていた5月は、意外にも新しいページを開いてくれた……それも、悪くないページを。


 もちろん、後で白川さんについてどんなでたらめなアドバイスをするか、まだ考えなきゃいけないけど。


 でも今は……この新しい友達と一緒に帰る時間を楽しみたいと思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ